*月めくり・#シロクマ文芸部
月めくり君との恋は、傷が癒えたころに
やってきた。
はじめてのデートは、オシャレなカフェみたいな『KARLY』っていうカレー屋さん。
駅の近くで、日当たりがよくて、
店内は広々とした空間で、吹き抜けの天井
にはプロペラみたいなのが、クルクル回ってて
入った瞬間に居心地悪さと、場違いで
店員さんの『いらっしゃいませ』の笑顔に
ドキドキしてしまい、
入り口の段差も何もない所でつまずいて
あやうく転倒しそうになった。
月めくり君はビックリして、ぶざまな私を見て
苦笑い、、、してスタスタと席に座った。
明らかに不釣り合いなカップルだろう。
自己肯定感が低く、コンプレックだらけで
猫背でスタイルの悪い私。
月めくり君はこのお店みたいだ。
オシャレで洗練された雰囲気♡
このお店で水を飲んでるだけで絵になる。
なんで?どうして?よりによって…
私なんかを彼女にしてくれたんだろうか?
聞きたいけれど、怖くて今だに聞けない。
こんなの彼女って言えるんだろうか?
付き合いはじめた、ウキウキ、ルンルンって
いう気持ちにはほど遠くて
頼んだ『スパイシーハーブチキンスープカレー』が来る前にすでに泣きそうになっていた。
月めくり君が、頼んだ『スパイシーハーブほうれん草カレー』をひとくち食べて
『このオシャレなカレーの味、口に合わないなぁ〜。CoCo壱のカレーのほうが絶対美味しいよ。なんでこのお店が人気なのか、わからないなぁ』って真剣な表情で首を傾げた。
この瞬間、私の目の前は
キラキラ・ピッカーンって電流が細胞に
流れたみたいに、一瞬で金色になった。
大袈裟なくらいに、勇気と未来をくれた。
泣きそうで『スパイシーハーブチキンスープカレー』が食べれないんじゃないかと思うほど
落ち込んでいたのに、そのひと言ですっかり
スッキリしてしまい、カレーを食べた後
追加でオーガニックチャイとカボチャの
プリンを頼んで、恐ろしいほど単純な自分に
呆れながらも、月めくり君との恋は
新しく買ったカレンダーを
9月からめくるような恋なんだなぁって思った。
小牧部長様✨
いつもステキな企画をありがとうございます。
(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾
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