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正源宗之の雑歌詩集より 『傘も持たずに』

傘も持たずに出かけて行った

朝から曇って降りそうなのに

傘も持たずに隣の町へと出かけて行った

やっぱり雨は降ってきた

細い細い雨が降ってきた

ミシンの糸に使えそな細い細い雨だった


傘も持たずに出かかて行った

どんより曇って降りそうなのに

ちかくの公園へ散歩に出かけて行った

大きな雨が降ってきた

大樹の幹に身を寄せて

雨が上がるの待っていた

あたりの緑に染まってか

絵の具の代わりに使えそな緑の雫が落ちてきた 

      『傘も持たずに』正源宗之


(正源の娘のひとり言)

私は傘を持たずに出かけられない性格です。
たぶん正源もそんな人です。
そういう人は他にもいっぱい持っていて、
だからかばんはいつも重くて大きくて。
小さなバッグで歩いている人を見かけると
ちょっとうらやましいなと思います。
歳行くほどに重くなった中身を
ひっくり返してみようと思う雨の日です、と言いたいのですが
未だ梅雨に入りません。
そろそろ身軽に歩かなければなりません。
傘を持たずに出かけて行ったから
見えたものはなんて素敵な幸せでしょう。



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