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バレンタインデーには、チョコレートと素敵な音楽を

1月も終盤になり、そろそろバレンタインデーが近づいてきました。
いろいろな場所で、チョコレート売り場が拡張されているのを見かけます。

バレンタインデーに関連する音楽というと、どんな音楽を思い浮かべますか?
「シャラララ〜」で始まるあの歌とか、ディスコ調の歌とかいろいろ思い浮かべられるかと思いますが、今回はご存じの方も多いと思われる「My Funny Valentine」をご紹介します。まるまる「My Funny Valentine」特集です。




「My Funny Valentine」はたくさんのミュージシャンに愛され、演奏されています。ジャズスタンダードとしても有名ですが、最も有名なのが、こちらの曲ではないかと言われています。

Chet Baker

トランペット奏者のチェット・ベイカーが歌うこの演奏は、数あるたくさんのミュージシャンが演奏する中でも特に有名な録音です。1954年に録音されたこちらの演奏は、中性的なチェット・ベイカーの歌声がとても魅力的です。チェット・ベイカーの演奏では、トランペット演奏の録音も残っています。

トランペットといえば、こちらの曲も有名です。

Miles Davis

マイルス・デイビス率いるThe Miles Davis Quintetの演奏です。
クインテットとなっていますが、この曲に関しては、トランペット、ピアノ、ベース、ドラムの4人での演奏(カルテット)になります。
美しい音色のピアノと、少し物悲しいトランペットのリレーがとても素敵です。


ブロードウェイミュージカル「Babes in Arms」

このように、ジャズスタンダードとしてもよく知られる「My Funny Valentine」ですが、元々は「Babes in Arms」というブロードウェイミュージカルのために書かれた楽曲です。作詞がロレンツ・ハート、作曲がリチャード・ロジャースで、1937年に発表されました。

ミュージカルは、ハートとロジャースが書き下ろしたもので、内容は20歳前後の若者を中心とした青春コメディです。
「My Funny Valentine」は、女の子がボーイフレンド(「Valentine」という名前の男の子)に向けて歌う歌です。
歌詞は、最初の方は散々ディスっていて、今風にいうと「見た目が変だから、全然映えないし」という様な内容でなかなか辛辣ですが、でも最後の方は「それでもいいの、そのままでいてね」と言っています。なかなかのツンデレさんですね。
そして歌詞の最後は、
「Each day is Valentine's day(毎日がバレンタインデー)」
と締められています。
キリスト教圏では、バレンタインデーは恋人同士(もしくは家族)で愛を祝う日とされています。それにかけているようです。
この歌詞を書くために、男の子の名前を「Valentine」にしたのであれば、素晴らしいアイディアですね。

こちらのミュージカルは1939年に映画化(邦題:「青春一座」)されたそうですが、その際に登場人物の名前は変更されてしまったそうです。その結果、「My Funny Valentine」は使用されず、その他の曲もほとんど使用されなかったそうです。それだともう違う作品のような気もしますね。

「My Funny Valentine」の原曲がどのようなものだったのかは現在確認はできないのですが、ミュージカルは青春コメディということですので、先にご紹介したような感じの曲とはちょっと違うかもしれませんね。


Bill Evans · Jim Hall

続いては、ビル・エヴァンス と ジム・ホール のデュオの演奏です。
先にご紹介した2曲とはまた感じが違います。ピアノとギターのセッションがとても心地よく、ジャズを堪能できる演奏です。

Oscar Peterson

こちらは、オスカー・ピーターソンのトリオです。
軽快なテンポなので、自然とリズムをとってしまいます。
気分が上がる感じで良いですね。


Jazzミュージシャンに愛されている「My Funny Valentine」ですが、映画にもよく使われています。
続いて映画に使われた曲を2曲ご紹介します。

Sting - My Funny Valentine (feat. Herbie Hancock)

スティングが歌う「My Funny Valentine」です。ハービー・ハンコックとのコラボレーションです。今までのものとは随分雰囲気が違いますね。
ハービー・ハンコックの妖しいピアノの音色と、スティングのハスキーな歌声が相性ぴったりで、大人の雰囲気たっぷりです。
こちらは、日本の映画「阿修羅城の瞳」(2005年公開)のエンディングテーマとして使われました。

マイ・ファニー・ヴァレンタイン (feat. ミシェル・ファイファー)

1989年に公開された(日本では1990年)アメリカ映画「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(原題:「The Fabulous Baker Boys」)のエンディング・ロールに流れる曲です。
ハリウッド女優のミシェル・ファイファーが歌っています。
今回ご紹介した中で、一番切ない雰囲気の「My Funny Valentine」だと思います。
映画の詳しい内容はここでは避けます。
映画の主要人物は、ピアノデュオの兄弟と、女性ボーカリストですが、三角関係の話ではありません。
エンディングがとても切ないです。もしかしたら前向きな終わり方とも捉えられるのですが、エンディングでこの曲が流れることによってとても切なく感じられます。まさにこの映画のために編曲されたのであろう構成で、ピアノの音色と、ミシェル・ファイファーのセクシーな歌声が物語の結末を語っているようです。
映画の音楽は、音楽プロデューサーのデイブ・グルーシンが担当し、グラミー賞を受賞しています。そして劇中の歌の部分は、全てミシェル・ファイファー自身が歌っています。
音楽がとても良いですが、映画自体もとても素晴らしい作品です。まだ観ていないという方は、興味がありましたらぜひご覧になってみてください。
ミシェル・ファイファーの歌は必見(必聴)です。


今回は6曲の「My Funny Valentine」をご紹介しました。
上記アーティストの曲は、今回ご紹介した以外にも違うバージョンの録音があります。また、その他のアーティストの方達の演奏、録音もたくさんあるので、ぜひお気に入りの1曲を探してみてくださいね。

最後に
いろいろな状況下でこのページをご覧になられていると思いますが、偶然にでもご覧いただいた皆様に、少しでも心の安らぎを感じていただけたらと思っております。

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