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例えば、愛って•••

愛って、いろんな意味があるけど、例えば、その人に恥をかかせないことじゃないかな、と思う。
その人が、恥ずかしくて、惨めな思いをしないように、さりげなく配慮することは、愛だ。

小学5年の時に出会って、今でも付き合ってるIさんと云う友人がいる。
彼女は、よく嘘をつく女の子Hさんと仲良くしていた。
Hさんの嘘は、子供にも嘘だとバレる内容で、みんなから嫌われていた。
私もどうしてIさんがHさんなんかと仲良くしているのか、ずーっと疑問だった。
大人になってから、尋ねたことがあった。
「Hさんてよく嘘をついて、みんなから嫌われていたけど、Iさんは仲良かったよね。何で?」
「私も、嘘だって気づいてたよ。でも、彼女の家、大変だったんだよね。YOUが出てた映画(恐らく是枝監督の「誰も知らない」)みたいな感じで、お母さんは付き合ってる男の人のところに行っちゃって、子供だけで生活してて。私の家も大変だったから、Hさんの気持ちが分かったっていうか。だから『それ嘘だよね』って言いたくなかったの。黙って聞いてあげたかった」
Iさんは、絶対にHさんの嘘を咎めなかった。
Hさんは、嘘をついて精神のバランスを取っていたのかもしれない。
大人になった今なら分かるけど、子供の頃からそういうことを理解していたIさんに、感服する。


「泥の河」という映画がある。
食堂をやってる両親の男の子と、船で生活してる男の子が友達になる。
両親は、友達を連れておいで、と言う。
食堂に、船の子を連れてくる。
彼のお母さんは、船で身体を売っていた。
食堂の客が、そのことを噂すると、食堂のお父さんが「子供の前だ」と怒るシーンがある。
船の男の子は、お父さんがいないし、学校にも行っていない。
食堂の客に限らず、いろんなところでそのような言葉を投げかけられているのだろう。
このお父さんの態度は、まさしく愛だと思う。
私は、このシーンが忘れられなくて、思い出すと泣きそうになる。

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