創作小説 影女刀(4)

所謂あの刀は昔 ある刀鍛冶が打ったもので そのままならなんの変哲もない刀であった

だが その刀鍛冶は非常に女癖が悪い上に

その妻が嫉妬深く常に悋気を起こしていたのだ

という とうとう我慢ならなくなった女は

その刀で夫を斬り殺し 自らもその刀で自害し

果てたのだという 


だがこの話はこれだけでは

終わらず 女はその刀に自らの血を吸わせ

果てた 刀はその頃からか手にした男に幻覚を

見せ 刀に封じ込められている哀れな女と

いい 今まで手にした男を斬らなければ誰の

女房にもならぬ と それに誑かされた男は

その誘惑にかられ 人斬りを行い 最期はその刀によって生気を吸われ命を奪われてしまうのだ


近田も同じく瞠目した 女の執念が産み出した

妖刀であると だがなぜその様な刀が世に

また姿を表したのか それが謎であった

山端は一息置いて言った 


今も凶行が止まぬのはその刀の毒気に当てられた

者がおり 由緒の通りならば最後の人間を切るまではこの連鎖は止まらないと山端は語った

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