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創作昔話 長編シリーズ1 善鬼坊

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#善鬼

創作昔話 善鬼坊(6)

だが善鬼も歳には勝てなかった いくら鬼であっても年老いてゆき 床に臥すことが多くなっていった 善鬼も最期を悟ったのか村人を呼ぶように言いつけた 何十年も村にいたのだから代替わりもあったが善鬼のことを知らないものは誰一人としていなかった 村人は衰弱しきった善鬼の言葉を聞いた 

「拙僧は元々村はずれの山に住まう

悪鬼であった 旅人を襲い その死骸を食らって

生きていた どうしようもない奴であった

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創作昔話 善鬼坊(5)

読経が終わった後外に出ると村人は鬼に名前や様々なことを聞いてきた 善鬼は最初は困惑していたが 丁寧に話し 彼らを安心させた

(村人は わしのことは知らないのだ 知らないなら知らないままでいい 彼らを不安がらせてなんになる)

それが善鬼の心の中に浮かび上がったのだ

それからは村の行事に参加したり 祈祷や法要は断らなかったという また村人にも好かれ善鬼という名前は名乗りはしたが 鬼坊さん 鬼坊さ

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