マガジンのカバー画像

創作昔話 みのがし様

5
私フランコ•ロッソがA40という20歳以上の 人々が参加する同人即売会にて所属するサークル遊嬉楼の冊子に書かせて頂いた昔話 です 加筆と修正を施しており 読みやすく してあります…
運営しているクリエイター

#祠

 みのがし様(3)

 みのがし様(3)

三平は懐かしそうに語り、そのまま飯を置いて帰った。才蔵はその神様に頼んで逃げようと思ったが、蔵にいてはどうにもならない。そこで自分と背丈が似ていたもう一人の下男の吉太に、三平を通じて頼み込んだ。この二人はいわゆる捨て子であり、金五郎に養育され今日まで生きてこれた。だが手代の才蔵には手習いや勘定も習ってきた恩もある。

二人は2日間悩んだ後、計画に乗った。さて、祝言の当日、江戸から例の木綿問屋の嫡男

もっとみる
創作昔話 みのがし様(1)

創作昔話 みのがし様(1)

昔々、今の埼玉県あたりにみのがし様という小さな社があった。この社は盗人勘三郎という名の知れた泥棒を神として祀っていた。盗人勘三郎とは、元の名を佐倉の勘三郎と言い、直訴し果てた佐倉惣五郎を信奉していた故に佐倉と勝手に名字をつけていた妙な盗人で、盗んだ銭を5両だけ残しては貧しく身売りをしなければならないような家に紫の布に包んで置いていくような処があった。

だが、勘三郎も歳をとり足がついてしまった。代

もっとみる