【短編物語】「きかい好き」
私の名前は柳有希、私は小さいころから”きかい”が好き。心が満たされるし、わくわくする。
ある日、道を歩いているととある”きかい”を見つけた。その”きかい”の前で立ち止まり考えた。
「どうしよう、こんな”きかい”めったにないわ。」
そこに一人の男性がやってきた。その男性はすごく小さく、だが今まで会った男性の中で一番紳士であった。
「お嬢さん、どうなさったのかな。こんな道の真ん中で立ち止まっていると、危ないですよ。」
「ごめんなさい。」
そう言われて私はその”きかい”から離れた。話なんか聞かなくてもいいはずなのにその男性の言うことを聞いてしまった。
それからその道には、あらゆる形で、あらゆる場所に”きかい”がある。
その度に、小さな男性は現れて注意をする。そうしていくうちにいつしか私はおばあちゃんになっていた。
小さかった男性も大きくなり、いつしか私と同じぐらいの年になった。
ある日、私はまた”きかい”を見つけた。
”きかい”の前に立っても危ないよと注意してくれた男性はもうそばにはいない。
初めて私は”きかい”に触れた。大きな衝撃とともにあの男性のことを思い出していた。
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