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汐喰シーサイドホテルって何なん? 〜コラボ小説ができるまで〜

12月末に、カルフォニ村さん市子さん と三人でコラボ小説を書いて投稿しました。その制作過程を少しご紹介いたします。
(以下、3作品のネタバレを多分に含みます。できれば、こちらのマガジンに登録されている3作品を先に読んでくださいね)


記録によるとそれは、2023年11月29日午後0:00。正午の履歴だった。
豆島がこんなDMをカルフォニ村さん(以下カル村さん)に送ったことが始まりだった。

思い立ったら我慢できず、
面倒だからやめようかと思いつつ、
でもやっぱり言うだけ言ってみる。
コラボ小説書きませんか?
市子さんと3人で。

なんでもやってみる派!

軽っ( ゚Д゚) 

作風からは想像できないノリで返事をくれたカル村さんと打合せ開始。

「たとえば、
マックに居合わせた見ず知らずの人達。
たとえば、
エレベータ閉じ込められたマンションの住人。
3人それぞれの立場で描く物語で」

と脳内の構想を吐き出し二人で整理したところ、舞台は「大晦日のホテル。ラストに花火があがる」と仮決定。それから翌日に市子さんに連絡。
実は、個人的に市子さんに連絡取ったことなど一度もないのに、なぜか最初から「3人で」と勝手に決めていた私。「突然すみません」という連絡とともに、簡単に「年末のホテル・花火」という舞台を説明しつつお誘い。

「素敵なお誘いありがとうござます。
中略)その設定で妄想する午後になりそうです」

やったぁ!(≧▽≦)

返事をもらったのがお昼ごろ。気が変わらないうちにと早速グループトーク招待。三人で改めて「画像や投稿時間を合わせたい」など最低限の希望を伝えてOKか確認してもらった時間が午後3時過ぎ。

「確認しました。
年末の花火で遺灰を打ち上げて宇宙葬を試みる女の子を描きたい場合、花火師さんと知り合いでOKですか?」

えっ Σ( ̄□ ̄|||) もうそんなどえらい設定を考えた?
す、すごいぜ市子さん。豆島は正直びびりつつ、誘ってよかった~と思ったのでありました。(ちなみに花火師さんは最終的には登場せず。私の頭の中には、心中する家族がぼんやり浮かんでいました)

そして、2~3日の間に詳細を打合せていくことになります。

「3つの話に共通するホテルマンがほしい」

「2023は大谷翔平さんイヤーだったので
掃除の人を大谷さんにするのはどうですか」

「都会の高層ホテルか
田舎の観光ホテル
どっちがいい?」

「三重県鳥羽市はどうですか」

実際には、こんなサクサクは決まってません

ということで「鳥羽シーサイドホテル」をモデルとすることにしました。

「どの部屋に泊まるか考えちゃいます。楽しいですね」と市子さん。
「うちの心中家族はリーズナブルな部屋だな。ふむふむ」と豆島。
「お化けは出ないらしい」と口コミサイトを見てがっかりするカル村さん。
それぞれがイメージを膨らませていくのでありました。
※ みなさ~ん、このホテルはお化けでませんので安心して遊びに行ってください。(都合上レストランの場所を変えるなどの設定変更はあり)

タイトルどうしよう? ホテルの名前どうする? など相談し、ホテル名は架空の地名メーカーのようなサイトを活用して決定。

また、お互いの人物同士をどこかで絡めたいので、登場人物の見た目を共有しましょうと思いつくままイメージを吐き出す3人。

「キースリチャーズのTシャツを着ている」
「前髪ジグザグ切り」
「メガネをかけている」
「休日なので髭は剃っていない」

など、どの小説にも一切描写がない設定も実はありました。どれが誰だかわかりますか?

そして徐々に細かい設定も共有していくことになります。

市:13歳の少女がエレベーターの中でペットの遺灰をこぼします。ほとんどの時間を部屋で過ごして電源OFFの壁掛けテレビに話しかけます。
→のちに【遺灰少女】と命名。

カル:40代夫婦、妻の心霊スポット巡りに付き合います。妻は闇落ちした長澤まさみ。「体にピース!」とか言いません。夜は砂浜にいきます。
→のちに【心霊夫婦】と命名。

豆:4人家族で心中します。父は佐藤二朗、母は化粧しない奥貫薫。最後の晩餐は最上階でバイキングです。
→のちに【心中家族】と命名。

投稿後に自分たちが楽しむため、細かいストーリーやオチは言い合いません。
ただし、お互いが絡むところは細かく話し合いました。

「エレベーターは何時頃乗ります? 他に乗客います? 先に乗る?」
「廊下を歩いていてドアの隙間から遺灰少女を見ることにしますね」
「バイキングで子供に食事を取ってあげようか? 佐藤二朗にビール飲ませて大丈夫?」

などなど。

もちろん、その状況を「相手も同じように書かなきゃいけない」というわけではなく、齟齬がでないように確認しましょう、という目的。
ですから実際にその決めごとをどのように相手が描いたのかはさっぱり知らずにいます。

そんな打合せ中、豆島的に「なんそれ!」とZAZYばりに突っ込みたくなることが何度かありました。

「市子さん、骨壺の色や大きさが
 決まっていたら教えて」

「オロナミンCです」

えっ? なんそれ!! Σ(・ω・ノ)ノ!

「カル村さん、バイキングでの
 長澤まさみの服装とか教えて」

「首に包帯巻いてます。描写しないけど」

えっ? そんな特異設定を描写しない??
なんそれ!! Σ(・ω・ノ)ノ!

やっぱり面白い人たちだなぁ。めちゃめちゃ楽しいなぁ。

その設定を聞いてから「それが遺灰だとは絶対分からないから、うちの家族はこんな反応するだろう」「まさみが包帯巻いているなら親切な人じゃなくて変な人あつかいしようか」などなど。
最初は想定していなかったこちらの家族の心情や動きが見えてきて、それがとても楽しかったのです。

自分ひとりで考えた話なら「そんな展開にならなかった」というところがコラボの楽しいところなのね! と実感。

ところが、師もダッシュする師走。
あっという間に時は過ぎてゆき……

とっくに書き終えてるつもりが別の小説書き始めちゃって筆が止まっているやべぇ……(*_*) となっていたクリスマス……も酔った勢いで通り過ぎ、いよいよ投稿を予定していた日の前日、28日。

いろいろ書き直していたら
少女が生きているのか死んでいるのか
分からなくなってしまった……
不都合でちゃいますか

え? どいういうこと?

ほんとに今更なんですけど
大谷さん登場にトッテツケ感があって
居なくてもいいですか……

は? いまさら?

私はこちらを甘えたい。
花火の描写ないかもしれない……

ブルータス、お前もか。

投稿予定日の前日になって自分の生死が不明になったり、最初の最初に決めてた設定を覆し始める人たち。

まあ、それでも「立派なコラボ小説になっている」という確信があったのでお互い「ぜんぜん問題なーし」の反応でした。

そして投稿当日も、お互い確認しながら推敲や書き直しに励み、最終的に

「新年にふさわしくなく話が暗い。ご容赦くださいm(__)m」
「私も暗い。不穏と言われてしまう内容。ご容赦くださいm(__)m」
「私も新年にふさわしくない。ご容赦くださいm(__)m」

と、もれなくお断りを始める三人。
っていうか、そういうメンバー集めたの私だから。うん。そうなるって知ってた!( ´∀` ) 

そして予定通り29日金曜、夜8時ピッタリに、「よろしくおねがいしまーーーーすっ!」とサマーウォーズのごとく叫びながら、おのおのが投稿のエンターキーを押したのでありました。知らんけど。

ひゃっほう。画面に3つ並んだよ。

そして各自、ほっと一息ついてから初めてお互いの作品を鑑賞。
アレが同じ!
アノ単語使ってて嬉しい!
コレってアレの?カッコイイ!
などなど、感想を述べ合うのでありました。(代名詞が何を差すかは内緒)


今回、私の願望を叶えるために誘ったにもかかわらず、快く引き受けてくださったおふたり。そして、思った通りの素敵な作品を仕上げてくださったお二人には本当に感謝しています。とても楽しいワクワクな年末を過ごすことができました。(内容は暗くて読者の皆様は別の感情を思い起こさせて申し訳ないですが)

コラボって楽しいですねぇ。
また良かったら、お二人だけとは言わず、どなたか一緒に書きませんか~。

という言葉を新年のご挨拶に代えさせていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。(*´ω`)

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