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ジャンルは「猫田」 #創作大賞感想

朝は開店前からパチンコ屋に並ぶので忙しく、夜は人のカネで不味い酒をかっくらって忙しいため、めっきり note 街を訪れる機会が減ってしまっていたという猫田雲丹さん。

うそです。普通にお仕事で忙しいのだと思います。ごめんなさい。

その猫田さんが、創作大賞にやってきた!
ホラー小説ひっさげてやってきた!

猫田さんのホラーと言えば……色々怖い作品はあるけれど、とりあえず、こちらをご紹介。

あー。そういう系のホラーね。読まなきゃよかったね。うんうん。鬱鬱とした気分になるよね。いわゆる「鬱小説」ってやつね。

そんなホラーを期待するじゃないですか。
そんな気分になれると思うじゃないですか。
そして、今回の創作大賞ホラー部門の作品に挑みます。

どん!

こちらの「アヤトビト」
ちょっとホラーチックなタイトルですが、読み始めると、ちょっと青春コメディタッチのようです(*‘∀‘)ホッ
そう言えば、ご本人も「怖くない」っておっしゃってました。

主人公は、高校生で剣道部の「彩」ちゃん。
メインキャラはその他に、
お餅のように白く柔らかそうなほっぺで笑みを浮かべる「もちまる先輩」
愛くるしい小顔と細身の体、なのにおくちが悪い「香山先輩」
あどけなさの残る顔立ちと優しい瞳、見上げるほど高身長の後輩「青木くん」
その4人が「風変わりな怪異と遭遇」する連作短編ホラー、でいいのかな。

キャラが立っててみんな愛くるしい。
そんな剣道部の仲間と、第1章では、ちょっとした?怪我で保健室に行くことになる。

小気味よい会話。クスリと笑える展開。
そこから学校の七不思議的なネタふり。そして実際に現れる怪しい人物。

うんうん。学園もののホラーだね。


と思ったのもつかの間。
せ、先輩……?
保健の先生……?

……( ゚Д゚)……


正直、どんな心境で読み進めたらいいのか分からない。


あ、そうだ。思い出した。
そう言えば、この人は、猫田雲丹さんだった。

こーゆー人だった。

こーゆーの書く人だった。
平常運転だったわ。

襟を正して再び「アヤトビト」に戻ります。

そう。猫田雲丹さんの描く世界。
それは、ホラーであり、ファンタジーであり、ブラックジョークであり。SFであり、ナンセンスコメディであり、恋愛小説であり。

そうだ。
全部ひっくるめて、ジャンル「猫田」だ!

そう考えれば全て納得です。
理解が追いついた私は、冷静に読み進めることができました。

その後もずっと、なかなかの猫田節です。
輪入道に追われるような、海坊主の波にのまれるような。
脳裏に浮かぶ映像は、ハリーポッターだったり、鎌倉物語だったり。千と千尋の美味しそうな匂いだったり、トトロのお腹の上だったり。

そして時折ふと あらわれる、切ない景色。
それはプロローグから小さく聞こえていた鈴の音。
音もなく足元を横切るグレーの毛並み。
ツンと鼻の奥が痛くなるような後悔。

私たちは、彩や先輩たちと一緒に(ちょっと不気味で)不思議な旅に出て、そして喉の奥にあった小さな棘が、柔らかで心地よい髭に変わるのを、体感して優しい気持ちになれます。

とても素敵な ファンタジ……
あっ、いや、ホラー小説部門だったよね。
いや、映像的にホラーっちゃホラーだけどもね。

怖いの苦手~な方に、逆にオススメなホラーです。


これ、応援になってますかね (´・ω・`)?

「猫田」というジャンルをご存じない方で、ちょっと興味が湧いたわって方、ぜひご覧くださいませ。
長いのは無理という方、ぜひ、この機会に他の作品を読んでみてください。だいたい短いですから。
そしてびっくりしますから。


あ、ジャンル「猫田」は全体的に、映画の「デリカテッセン」とか好きな人におすすめかな?

私、観てないけど。
たぶん。





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