【短編小説】ニシヘヒガシヘ~夜行バスに乗って~第3話
第3話
24:00 バスの中
バスの中は薄暗い。若い子たちの話し声はちっとも聞こえてこなかった。眠っているのかとそっと後ろを見ると、みんなスマホを片手になにかしていた。友達同士の旅行のはずなのに、それぞれが自分のスマホとにらめっこ。その顔を、液晶画面が発する、色のついた光が照らしている。なんだか奇妙な光景。まあ、うるさいよりはいいんだけれど。
ブブッ。リュックサックのポケットでスマホが震えた。取り出して画面を開く。
『お母さん、今どこ? お父さんから連絡があ