映画「法廷遊戯」


directed by 深草栄洋
starring: 永瀬廉、杉咲花、北村匠海、戸塚純貴、黒沢あすか、やべけんじ、柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋

法律家を目指すロースクールに通う学生だった三人、美鈴(杉咲花)、清義:セイギ(永瀬廉)、馨:カオル(北村匠海)。彼らを含む学生たちの間で密かに繰り広げられていた「無辜ゲーム」。それは敷地内にある地下に取り残されたような旧校舎廃墟内で行われる模擬裁判で、弁護士、検察官、被告人、裁判官と役割を振られ、弁舌をふるうものだった。あるとき、クラスメートに自身の過去の出来事を告発されたセイギは、異議申立を行うために、幼馴染でもある美鈴を指名し、模擬裁判に勝利を得た。
  やがてそれぞれに卒業して弁護士になったセイギ、法学研究者となったカオルだが、ある日、セイギは「無辜ゲーム」を再び開くというカオルに呼び出された。そこには胸が血に染まって倒れて絶命しているカオルと、その隣で血に染まったナイフを手にしていた美鈴だった・・・
共にロースクールで学んだ三人が、容疑者(被告)、弁護士、死者となったのだ・・・

冒頭の、駅の階段から転げ落ちた男性と女子高生・・・このシーンが大きな伏線だったということが、最後の最後で焦点となって突きつけられる。
  セイギと美鈴の間には、幼馴染であり、どうしても表に出せない秘密が二人の間にあり、その後に絡んできたカオルの父親にまつわる、セイギと美鈴の「犯罪になっていない罪」・・・「無辜」という言葉、罪のないものという意味があるけど、「イノセンス」 ・・・「罪の意識がない」=「罪を犯していない」なのかというと、そうではなく、罪の意識がなくても「罪を犯すことはある」と。それを法律で裁けるのか。
法律で裁ける有罪と、法律では裁けない有罪はある・・
そんな矛盾した答えをつきつけられたような内容だった。

そして、それを演じてる中で、この3人で、とにかく凄まじさを見せてくれたのが杉咲花・・・正直、彼女だけが光っていて、永瀬廉も健闘してたけど、彼女の「狂気」の表現の前に、たじたじとなってしまった・・・のが表情にも出てしまってたかな。
完全に場を支配してたのは、杉咲花さんの冷めた表情から、一転爆発する「嘲笑」だった。
作品を見終わってかなりの日数が経っても、まだかなり色濃く残っているのが、ラストに見せた、あの感情を爆発させる「嘲笑」だった。素晴らしかった。

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