逃走6

逃走6
2023/06/22校正更新
私は誰?シリーズの以前書いた前哨ストーリーです。

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます。

『ウクレイナ』に関してはハルサメとナッツシリーズでバン!取り上げてますんでよろすこ
^_^

じゃんけんぽん!あいこでしょ!あいこでしょ!勝った!
私は左手の拳を突き上げて喜んだ。
今回のナレーションというか一人称は私こと前田リナだ。
なぜ名前がカタカナかだって?
それは私が4歳児で漢字が書けないからとかそう言った理由からではない。
ただ単に愛理ママが漢字を考えるのをめんどくさがっただけに過ぎないのだが。
「ねえちょっと車の窓全部全開にしてくれないかな、だれかさんがリバースした嘔吐物の匂いで気分が悪いんだけど」
『楓凛(ふうりん)』がうらめしそうに言った。
まあこの時点では作者がナマカワをして『姓』を考えるのがめんどくさかったらしいから今は単に『凛』としておく。
彼、じゃない彼女は写真週刊誌のカメラマン、学校に行っているのかどうかは知らないが年は15~6歳くらいだ・・・多分。
「うるさいなあ、あたしだってリバースしたくってリバースしたわけじゃ、自分とこの窓くらい自分で開けなよ」
と倶名尚愛、私のパパの愛人さんで今をときめく無責任な女子高生国会議員だ。
「リナちゃん、あたしのところも開けて欲しいんだけど」
もう一人もわがままを言い出した。
倶名尚愛や私のママである前田愛理とは表向きは与党と野党ということで一見対立しているかのように見えるけど実は与党の別働隊と言われている実質与党だったりする、しかもこの党のメンバーはかなり問題のある人物ばかりでトラブルメーカーとさえ言われている。
名前は山崎秋子といいいかにも代議士代議士という感じの名前だがこいつも女子高生国会議員だ。
しかも二人揃って参議院議員ではなく衆議院議員ときた。
こんな奴らがなれてしまうなんて世も末だが・・・窓か。
「そんなこといちいち私に言わずに各自自分で開けてよ」
私はめんどくさげに言った。だいたい自分ところにあるハンドルをくるくる回すだけじゃないか。
「いやだからリナちゃん車の電源落としちゃってるから」
え?
「だからハンドルを回せば・・・」と言いかけて私はきがついた。今の車そんなものついていない。
「リナちゃんいくつのおばあちゃんなのかな?」
あいちゃんが覗き込むようにしてきく。
やばい!マジで心配をされているようだ。
「は、ははは、やだなジョークジョーク、言ってみただけだよ」
そう言ってごまかしてみた。
「でも親父が昔乗っていたような車じゃなくてよかったよ、あれ後ろ左右のドアはもちろんフロントドアも右左ほぼはめ殺しだったもんな、何かあっても空気の入れ替えができない、地獄だったよ」
凛がしみじみと昔語りを始めた。

「お父さんが乗っていた車って改造車だったんじゃない、レースか何かに出場ができそうな」
私はその話にちょっと興味を持ち始めて尋ねてみた。
「おう、よくわかったな、ロールバーとか張り巡らせられていて狭っ苦しいったらなかったぜ」
その言葉とは裏腹に凛はとても嬉しそうだった。
自慢の父親の車なんだろう。
「凛ちゃんのパパの車のドアにはよほど大きなドアビームか何かが仕込んであって窓ガラスを収納するスペースがなかったんでしょうね」
みんなの視線が私に集中しているのがわかった。
「何言ってるんだこいつ」と言ったところだろう。
「おっといけないこれはリナのおばあちゃんが若い頃の記憶」
ふと口にしてしまいハッと気がついたが時すでに遅し、だったようだ。
「おばあちゃんの記憶って、リナちゃん一体何を言っているの?」
ストレートに聞いてきたのはやっぱりあいおねえちゃんだった。
「そ、そうだった、おばあちゃんによく聞かせてもらった話だからつい、勘違(かんちが)いしちゃったのかな?」
これでごまかせるとは思わなかったけどとりあえず話をそれせてみた。
「ふうん、でおばあちゃんはどんな車に乗ってたの?」
今までは関心がなさそうな顔をしていた秋子姉ちゃんまで身を乗り出すように訪ねてきた。
うん、サニークーペとかいうのを魔改造(まかいぞう)してブルーバードのエンジン乗っけていたよ、ツインカム化してグロスだけど200馬力は出ていたかな?ミッションはもちろん5速のクロスレンジね」
言ってしまってから口を塞いでももう遅かった。
みんながにやにや笑いながら私を見ている。
「ほらほらどうしたの、昔の愛車自慢はそこで終わりなわけ?」
あいお姉ちゃんが意地悪そうに言った。
「や、やだな、おばあちゃんが言っていた話だよ?」
私は必死になって言い訳をして見た。
「でさ、話は戻るけどそんな頃はおばあちゃん、共産党にのめり込んでいてね、大学の校舎とかで立てこもって警察の厄介にもなっていたのよ」
車の話から少々強引かもしれないけど若かりし頃のおばあちゃんがやっていたという学生デモの話に誘導(ゆうどう)してみる。
「共産主義にのめり込んでいた女学生の娘が超ド右翼政党の国会議員ってなんだか面白いな」
凛が身を乗り出してきた。
ヨッシャァ!なんとか誤魔化(ごまか)せそう。
「多分ママ、じゃないおばあちゃんに対する反発もあったと思うんだけど政党そのものに対する懐疑心(さいぎしん)も手伝っていたと思う」
正直口を滑(すべ)らせてしまったかなと後悔した。しかし三人ともスルーしてくれたようだ。
「猜疑心って?昔から日本共産党ってソ連、いや今はロシアか、や中華人民共和国の手先みたいに言われていたんじゃないかな?だから沖縄から基地を追放しようとしていたり、日米安保条約があるから北方領土が帰ってくることはないとか言っていたりする非国民、というか売国奴だから」
秋子お姉さんが毒づくようにいう。
まあバリバリの嫌韓(けんかん)嫌中(けんちゅう)主義者だから仕方がないかもしれないが、私は彼女のひいおじいさんが強制労働者として連れてこられた朝鮮半島の人間だということを知っている。
私、いやひいお婆ちゃんの初恋の人だからだ。
「特に朝鮮人ときたらありもしない慰安婦(いあんふ、といえば聞こえはいいが実態は軍事力で強要した強制売春)とか強制労働者とかうざいよね」
同調するようにあいおねえちゃんも言った。だからそれは歴史修正主義者の
「さっきからリナちゃんの思考がみんなにダダ漏れなんだけどどうしてみてきたかのように言えるんだい?」

いきなり凛が鋭く切り込んできた。
どうやら思考の共有を解除するのを忘れていたようだ。
それにしてもなんで私だけがみんなの思考を読めていなかった?
「なんだそんなことか、そりゃぁリナちゃんが自分の思考に没頭(ぼっとう)しすぎてあたしたちの思考が届いていなかっただけのことじゃん」
あほくさ、とでも言いたげにあいおねえちゃんが呆れた顔で言う。
「そろそろ白状しなさいよ?リナちゃんの大人びた意識の秘密を」
秋子お姉ちゃんも鋭く問い詰めてきた。
「俺たちの仲で隠し事は良くねえな」
凛も厳(きび)しい目で突っ込んできた。
『わかった、わかった話す、ちゃんと話すから迫らないで」
私には降参するより他に選択肢はなかった。

そう、話せば長くなるが私が他の人、いや女性と違うことに気がついたのはまだ侍と名乗る人種が着物姿で腰に刀を携(たずさ)えていた頃だろうか?
私の記憶はいつも最初の子供、しかも女児を生むところまでで必ずと言っていいほど途絶(とだ)えていた。
しばらくはぼんやりとした夢の中のような世界に私がいて気がつくとうっすらと自分の顔が私の視界に入ってくるのがわかった。
「私?なんで私は私に向かって笑いかけてくるんだろう」
最初にそんな疑問(ぎもん)がわいた。
「〇〇ちゃん、今日はご機嫌斜め(ごきげんななめ)ね、おとんに抱っこしてもらう?」
私が私に話しかける異常な光景、そして視界が横に流れたかと思ったら見慣れた男の人の顔が視界に入った。
「〇〇ちゃーん、おとんだよ」
聞き慣れた声で話しかけてきたのは私のよく知っている、見慣れた、とても大好きなあの人だった。
私は必死になってその人の名を呼ぶ、だが何故か私の口から出た言葉、いや声は『ダァ。ダァ、だぁ』という赤ちゃんが一番最初に言いそうな声だった。
それなのに何故か大好きなあの人は嬉しそうに私の顔をした女性に言う。
「ほら、お千代、〇〇が喋(しゃべ)ったよ、今日は赤飯だな」
だからお千代は私だってば、その人は私じゃない!偽物よ!そう考えてしまった途端に私は突然無性に悲しくなって大泣きをしてしまった。
そしてしばらくの間、私は自分の名前を呼ばれるたびに反応してしまっていた。それなのにみんな悲しそうな顔をする。
「ほら、あんたの名はたま、おたまよ」
そう言ってなんどもその名前を繰り返して呼び私にその名前を刷り込ませようとする。
どうやら「それがお前さんの名前だよ」と言いたげだ。
しかしなんという名前だ、これでは猫か花火が打ち上げられた時の掛け声でなないか!
「こいつ急に不機嫌(ふきげん)な顔になったぞ、もしかして意味わかるのか?」
私のおとんを名乗る男、いや私の元想い人はさぞ愉快(ゆかい)げにいう、契り(ちぎり)を結び嫁入りするまで結構な月日語り合っていたと思っていたがまさかこんなにもいい加減で無責任な奴だとは思わなかった。
私はまたまた悲しくなって大泣きをしてしまった。
「やはり拙者(せっしゃ)じゃ無理かのぉ?お千代や、代わってくれ」
またしても私と同じ顔をした女に私の名を呼んだ。
私は思わずイラっとしておとんを名乗るその男の腹を思いっきり蹴り(けり)飛ばしてしまった。
「うわ!」
おとんは驚いて私を手放し私の体は硬い地面めがけて落下をし始め・・・なかった。
「お令、礼を言うぞ」
おとんの間抜けなセリフで我に返り周りを見回すと私は容姿端麗(ようしたんれい)な美少年の腕にしっかりと抱きかかえられていた。
「お令とやら、私を嫁にしてくれ」
一目惚れというやつだろう、私ははっきりとそう言ったつもりだったがみんなの期待通りそれは赤ちゃん言葉にしかならなかった。
「残念だがあたしゃ男子じゃないのでね、姫様の夫にはなれないよ」
彼、いや彼女はそういうとそっと私の頬に口づけた。
「拙者の娘はお主に求婚でもしたというのか?」
おとんとやらはそういうと急にケタケタ大声で笑い出した。
「確かにお令は女にしておくのが惜しいほどの男前だからな」

ほめているのか、けなしているのかどちらとも取れるようなことを言う。
それにたいしてお令と呼ばれた女は何も答えずただ含み笑いを浮かべながら私の額をそっとなでた。
「妙な子だね、お前さんは、おたまであり、お千代なのか?」
何を言っているのかさっぱりわからなかった。
きっとこの女はおとんや私の名を名乗るおかんよりも莫迦(ばか)なんだろう。
「次はどんな名前になるんだろうね、おたまの次は木しゃもじかな?」
そう言われて私は『ブー』と膨れ(ふくれ)た。
いくら何でもその名前はない。
だがお令という女は至極(しごく)真面目だった。
「おぬしは昔わらじだった頃に似たようなことがあった記憶はないか?そうだな幼き頃のお千代の記憶とか」
私はその女のお腹を蹴り(けり)飛ばそうとしていたその足を止めた。確かにその記憶は私の中にあった。
まだ私がお千代と言われるのに慣れ(なれ)ていなかった頃、私はいつも私と瓜二つ(うりふたつ)の顔をした私の名前で呼ばれる女性に抱っこしてもらっていた。
実にややこやしい話だが私が二人いるというわけではない。
私とは別の人間の中に私がいるという感じだ。
「おぬしはこれからしばらくすれば別の自我(じが)、いやなんと言って良いやら、そう、もう一人の自分がすくすくと育ってゆくのを感じるじゃろ、おぬしはそんな彼女を見守り、時には影から名案を与え、時には彼女に代わり理不純な威圧や暴力(ぼうりょく)から守ってやれ、私が言ってやれるのはそこまでだ」
そう言ったお令の顔がバックミラーに移った凛の顔と少しダブって見えた。
「怖い(こわい)わねぇ奥さん、赤子に巣食うエイリアンですって」
あからさまにふざけた口調であいおねえさまが言う。
どれに同調するかのように山崎秋子お姉さんまでもが
「絶対に普通に生まれた子じゃないわね、股(また)の間からじゃなくて口から飛び出したのよ、だからうるさい、わかるわぁ」
何がわかるわぁ、だ!
私が私を産んだ時のことはちゃんと覚えているわ!
ちゃんとすごい痛い思いをしてベッドの手すりにしがみついて、やっとの思いで産んで産声を聞いて、安心して一息ついた私は・・・私を抱き上げて・・・
「あれ?」私はすっとんきょんな声を上げてしまった。
そこから先の愛理としての私の記憶がないから?
いやまてよ私は加藤家の長女、というか一人娘として大事に育てられて、恵まれた家庭環境(かていかんきょう)も手伝ってそこそこの国立大学を卒業して、親の地盤と看板(かんばん、ちめいど)、そして鞄(かばん、資金や財産のこと)を引き継ぐ(ひきつぐ)ことが出来た。これも父親が有力な代議士で国会議員だったことも大きい、いわば2代目議員って奴だ。
いやその親も政治関係者だったから実質三代目のようなものか?
それはそうと私を産んでからの私、愛理、ママはとても不甲斐(ふがい)が無い。なんせ今のパパと結婚して私を産むまでは何度も私が指南(しなん)してきたのだがやっぱりお嬢様じょうさま)育ちというかわがままな面がここ最近目立つようになってきたように思う。
その度に、そんな国会中継を交えてのニュースなどが流れるたびにお小言、じゃ無い注意をしてあげるんだけどそもそもママったら国会中継はもちろん政治絡みの番組やニュースは一切見ない。
どう見ても頭の軽そうなイケメン(失礼)や大袈裟(おおげさ)なジェスチャーが売りのお笑いやグルメ番組ばかり見ている。

「ねえ、ママったら今国民のみんながどんなに苦しい思いをして生活をしているのかわかっているの?」
そう言ってもママは興味なさそうに言う。
「どこが?テレビ見ている限りじゃみんないいもの食べているじゃない、ほらあんな肉厚のステーキ、むしろ私たちより美味しいもの食べているんじゃない?」
あまり言いたくはないですがママ、それは宣伝(せんでん)のための番組であってそれを一般庶民の多くが食べているわけじゃないのですよ。
私は何度もそう言って指摘(してき)したがママの心には届かない様子だった。
「ほら、みんなが買うから宣伝するんでしょ?買う人がいなかったらわざわざ高い金出して番組作って宣伝したりなんかしないわよ」
はいはい、お気楽なママですこと、ここは誰かが痛いお仕置きをしないと目が覚めそうにない。
昔なら意識をまるっと乗っ取りして強制的に質問やら総理に対して抗議(こうぎ)の声をあげてきたのだが。
全く別の体(今は4才女児のリナ)が与えられてからそうそう簡単に愛理ママの中に入ることは出来なくなってしまった。
だからと言って言い訳をするわけではないがよく愛理ママは最近悪魔(あくま)に転生したと言われるようになってしまった。
まあ半分は当たっているかもしれない、だが正確には転生したのは代々私の家系の女性のみに寄生する私の精神体なのだ。
だけどそんなに大層(たいそう、誰ですか?ダイソーと呼んだ人は)なおどろおどろしいものじゃなくてただただ単に母親に記憶をそのまま引き継いだ娘が生まれて「天才だ!」「神童だ!」と最初のうちこそは騒がれる(さわがれる)が成長してその娘本来の自我が育ってゆくうちにその娘の比率が大きくなってゆきごくごく普通の人間になって行く。
まあ世間一般に言うところの「十で神童、十五で才子、二十歳を過ぎればただの人」と言うやつなのだけど。
「まあだいたいリナの生い立ち、と言うか秘密はわかったけど・・・それいま要る話?」
凛が余計なツッコミを入れてきた。
まあ確かにそうかもしれないけど一応成り行きで話しておいた方が良いかな?と思っただけで。
「それでここからが本題に入るんだけど今の政権は愛理ママがパパと出会い結婚するまでの間に結構やばい、といっても国民にとっての話だけど色々な法案を当政党議員の数の多さに物を言わせて強行採決(きょうこうさいけつ、それと野党議員にやじを飛ばすだけがお仕事の議員さんもいる)をしてきたわけだけど内容聞きたい?」
まあ言うだけでも気持ちが鬱(うつ)になるようなロクでもない法案ばかりなんだけどさ。
「共謀罪とか国家機密守秘義務(本当はこっかきみつろうえいぼうしほう)とか戦争参加推奨法(本当は「集団防衛法」)とかかな?」
どうでも良さげにあいお姉ちゃんが口を挟んだ。なんだかその口調とアクセントなどからいろいろ勘違い(かんちがい)があるようにも思えたがここは目をつぶるべきか?

「それで、その当時の愛理さん、つまりあんたはそれらには反対してきたのか?」
あまり言われたくない事を凛は言ってきた。
もちろんそんなことには反対しましたよ。
反対してきたと言いたかった。
「少しでも反対しそうなそぶりをしたり怪しげな動きをしたら」
秋子お姉さんがつぶやいた。
それに続いてあいおねえちゃんがおちゃらけて言う。
「お説教部屋行きダァ」
そんなに軽々しく言わないでほしい、実際にはお説教部屋なんて生易しいものじゃない、そうあの事件に例えるなら。
「修行をするぞ!修行をするぞ!修行をするぞ!」
「倶名尚、それじゃ洗脳部屋だ」
凛が的確なツッコミを入れてくれた。
確かにそれが一番近いだろう。
それまでは割とまともな事を言っていた女性議員がわが党に入党してから時間が経つにつれて「壊れ(こわれ)てゆく」と言う表現が的確すぎるほどおかしく(ヤバく)なってゆくのはそのためでもある。
「それはあたしもやられた事あるな、もちろん全然効かなかったけどね」
あっけらかんとあいおねえちゃんは言った。
そりゃそうだろう、彼女のスルー力は半端ない。
おまけに願望達成能力の存在も考えると逆に洗脳し返してしまいかねない。
「あたしそんな下品なことしていないよ、洗脳は成功したと思い込ませて途中でやめさせたけどね」
私の思考に同調して続ける。
そりゃそうでしょうよ、あいおねえちゃんは無理に自分を主張するより適当に人に合わせるほうを選ぶ人だから。
「その時等の幹部たちはおねえちゃんに何をさせようとしていたか覚えている?」
その時のことを私は確かめたかった。確か愛理ママの心とうまくリンクが取れなかった時期があったのを思い出した。
「いくらリナちゃんでもわが党の最高機密を教えるわけにはいかないなぁ」
芝居染みた口調であっさり断られた。
「倶名尚さんったら素直に覚えていないって言えばいいじゃない」
秋子お姉さんが横槍(よこやり)を入れてきた。
「それいつの頃の話だ?」
凛が横槍を入れてくる、やはり私はこいつが苦手だ。やはり私を子供とは思っていない。
「確かイージス・アショアが実は役立たずだということがバレて問題になった頃、かな?あたし的にはどうでもいい問題だったんでハイハイって言っていたけどさ、それがどうかしたの?」
はい?私はかなり前からあいおねえちゃんは桁外れ(けたはずれ)のウマシカだとは思ってはいたけどここまでとは?
「あの、この国、日本には平和憲法(へいわけんぽう)と呼ばれるものがあるのは知っているよね?」
私は恐る恐る尋ね(たずね)た。
案の定、あいおねえちゃんはきょとーんとしている。
どんだけおばかなのか、こんなのがよく国会議員になる気になれたものだと突っ込みたいところだが今回はやめにした。
「ほら、核爆弾落とされたら原発を差し出せ、みたいな自虐憲法」
秋子お姉さんが助け舟を出してきた。
つうか全然助け舟になっていないし!そんな憲法どこにあるのよ!

「でもリナちゃんうちの前のボスも言っていたよ?いじましい憲法だって。きっと中国や韓国に服従しましょうってとんでもな憲法だよね?」
なんかとんでも無いことを言い出した。
こんなんじゃこの二人に関しては最初から洗脳する必要がなかったんじゃ無いか?としか思えない。
「だーかーらー、それどこから情報かは知らないけど専守防衛、他国を攻め込むためのいかなる武力も放棄するって、二人とも聞いているの?」
「ほらやっぱり、あのおじいさん達が言っていたいじましい憲法じゃん、戦闘機もミサイルも空母も戦艦も潜水艦も憲法違反なんでしょ?」
やはり人の話を全く聞こうともしない、あいおねえちゃんがいう、すると秋子お姉さんが大きく頷く(うなずく)。
「早々でも小型なら核爆弾は持っても使っても合憲なんだよね、ただし国内での使用に限るって縛り(しばり)があるんだけど」
だめだ、この二人と会話していると異常なのは自分の方じゃないかって思えてくる。
「リナ、そろそろ言ったほうがいいんじゃね」
困惑する私に同情したように凛はいう。
はいはい、ここで区切っちゃうのは不本意ですけど言います。
「ちゅぢゅく!」

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お代は読んでからの(以下略

女子高校生国会議員と合法ロリみならい刑事のエロエロドタバタSFです。

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