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顎関節症という歯科医療被害 2-6 関節結節外側の切除[図10]について

 (30P)

 関節結節外側の切除を説明する模式図が30Pの[図10 b]に提示してあり、一見するとよく書き込まれたイラストでもっともらしく表記されている。また、隣の[図10 a]には関節結節外側の切除を適応するその症例として、実際のX線写真が掲載されている。図は次のように説明されている。

[図10]関節結節外側の切除 (a)、(b)

「aの状態で、外側の関節結節をバーや
  小骨ノミを用いて切除・整形すると、
    (中略)上関節腔深部まで
       良好な視野が得られる(b)」

 歯科治療においてX線写真を撮影するときは、何の断りも無ければプレート等を患者に噛ませて上下顎の位置関係を定位置にするのが普通である。当たり前のことだが、撮影時に患者の身体が動いては像にブレが生じてしまうからだ。
 日常で意識することは少ないかもしれないが、歯科治療において1mmという値は侮れないとても大きな数値である。それは口腔内だけに限った話ではなく、咬合関係の土台となる顎関節においても然りである。垂直的に1mm歯を削るとなれば、歯科医療従事者なら事の重みを感じて身を引き締めるはずである。しかし、それが何処にあるのか自分では分からない骨や軟骨だったらどうだろうか。

 重力がある地球上では宙ぶらりんに建物を建てられる訳も無く、土台となる「基礎」の上に建つ「構築物」の自重が収まり、初めて1つの建造物として持続的に安定できるものである。
 だが、ヒトの下顎骨は重力を受けてただぶら下がっているだけではない。建物に重力が働くのと同じように、ヒトの頭部では噛む力が上下の顎骨に働いている。側頭骨という基礎に上下の歯という大黒柱の支えがあり、下顎骨という構築物が噛む力で押さえつけられている。それに加えて基礎と構築物の間には、まるで耐震補強クッションの様に関節円板という軟骨が左右に1つずつ収まっている。
 しかし、何らかの理由で関節円板が抜けてしまえば基礎と構築物の間が空いてしまう。その隙間が詰まるまでの間、唯一の支えとして逃げることが出来ない大黒柱の歯は噛む力が加わる度徐々に擦り減っていく。そして、隙間が無くなって構築物が基礎に落ち着いても、その時には建物に衝撃を吸収する重要な構造が1つ無くなってしまう事になる。関節円板が片側1つだけ抜けていたならば水平を保つことが出来ず建物は傾いてしまう。もし、新築住居でそれならば欠陥住宅として問題視されるところであろうが、ヒトであればその傾きは顔貌の歪みとなって現れることになり顔の歪みは個性だと誤魔化される。

 また、クッションとして関節円板が下顎窩から外れてしまえば噛む度に振動が側頭骨へ直接響くことになり、周囲の骨格には歪みと衝撃が生じる事になる。顎関節の受け側である下顎窩は耳に隣接していて同じ側頭骨内に聴覚器官と平衡感覚器官が納まっており、それらは楽器の様にとても緻密で繊細な造りのセンサーである。円板軟骨という緩衝構造が抜け落ちて顎関節動作で生じる歪みと振動を受け流すことが出来なくなれば、状況が悪いと内耳の聴覚器官や平衡感覚器官に亀裂が生じ、内部からリンパ液が染み出て炎症が起こる。そう考えればメニェール病と称される現代病の症状が現れるとしても、何の矛盾も無く1つの病理として解せるものである。

 難病指定されているメニェール病だが、

「子供の頃に感染して眠っていた帯状疱疹
 ウィルスが大人になってから活性化し、
       それで内耳に炎症が起こる」

という耳鼻科医師達の主張は間違いであり、関節円板の転位という現象から生じたひとつの結果に過ぎず、本当の原因はウィルスなどではない。物理的な力で骨に亀裂が入ってリンパ液が漏れ出してバリア機能が破壊されたことによってウィルスが増殖しやすくなっただけのことである。
 大学入試で優秀な成績を収めてそのまま医師となるエリートな人間達には物事の道理というものが抜けている。とりあえず患者達の血液検査をしてみたら帯状疱疹ウィルス抗体の反応が陽性なので、帯状疱疹ウィルスが活性化して患者はメニェール病になっているなどという短絡的な発想になるのだ。そもそも、眠っていたはずのウィルスが活性化した原因は何なのか、そこまで考えるのが医学者の努めというものであろう。原因がそのままだからこそ帯状疱疹ウィルスの抗生剤を投薬治療しても患者の症状が再発を繰り返されるのではあるまいか。
 私の推論が正しいとすれば耳鼻科医師達にはメニェール病はこの先もずっと原因不明の難病であり続ける事だろう。患者に適当な事を言って薬を処方するだけで医師と製薬会社はお金になる訳である。
 
 楽器に似ているとしても聴覚器官と平衡感覚器官の性質を考えればその骨質は恐らく硬く脆いものなのだろう。楽器の響きはそれを聴く人間の都合であって音が柔らかくなっても問題は無い。しかし、ヒトの聴覚器官としては音がこもってしまっては外界から聴こえてくる音の情報がぼやけて不鮮明になるし、センサー自体が歪んでしまっては平衡感覚器官としての質も落ちてしまう。きっと、ヒトはそれを不快に感じる事だろう。

 だが、硬くすれば音は反響しやすくなるが脆くもなってしまう。大きな揺れを受けた場合に鉄筋コンクリートビルの外壁がバラバラ崩れてしまうのは、芯材の鉄筋にしなりが生じたときに、それを囲むコンクリートが歪む力を受けてその力を吸収出来ずに外側から割れる為である。
 ヒトの感覚器官を収める側頭骨の錐体部分でも同じことが起こるとしたらどうだろうか。骨の内壁が剥がれ落ちてそれが平衡感覚のセンサーである三半規管の中で漂えば、特定位のめまいとして表れるのだろう。

 円板軟骨の厚みがおよそ1〜2mmであるとすればそれが顎関節から抜けて顎関節動作から外れてしまった場合、円板軟骨の転位した(抜けた)側の下顎頭は関節動作の土台である下顎窩から1〜2mm宙に浮くことになる。その隙間が詰まるまで噛む力が加わった際、ハサミの根元側に位置して最初に当たることになる関節円板転位側の最後臼歯は円板軟骨の緩衝作用もないまま噛む力の衝撃をもろに受け続け、圧電気によって脱灰しやすくなって短期間で著しく咬耗・移動してしまう事だろう。
 上顎骨に比較して顎骨の造りが頑丈な下顎骨では、その衝撃による歪みを最後臼歯がより多く受けることになる。それは原因不明なある種の知覚過敏の発生につながっている。 

 これらは1〜2mmの中で起こる機械的不具合から生じる現象の一部に過ぎない。その機械的不具合とは顎関節円板軟骨の転位である。そして、関節円板の転位は事故などの急な強い外力を受けた場合を除いて咬合高径の低下に起因するものであり、その原因の一端にあるのが先にも解説で触れた噛ませないインレーである。
 
 人間の手先では機械工業の様に精密な作業が物理的に不可能だとしても、病理が何であるかを考えて治療の原理と自分の役回りをわきまえ、最善を尽くす心構えが歯科医療従事者に重要である。
 何ミリだろうとブレが生じた写真を基に顎関節周囲の骨を削るようなことはしないと信じたいが、X線写真の撮影方法や撮影時の患者の姿勢について何の説明も無いので、○○医師達が何をしていてもおかしくないと、彼らが行うデタラメな処置の数々を知っている私としては疑わざるを得ない。
 「aの状態で…」とあり、局所的な一枚のX線写真を提示しているが、その時の患者の顎は開口・閉口どのような状態で撮影したものなのか重要な説明が一切無い。その撮影状況次第ではこの[図10]に記された内容がとんでもないデタラメだということになる。初歩的な事であるが、全体像が把握できないような写真を使用するならば他の人にも分かるようにどのような撮影状況であるかを説明するのが当たり前である。

「オレ様がいちいち言わなくても、
     お前らそれくらい分かるだろ?」

という自分勝手な文句は公正な自然科学の場において通用しないし、そのように高飛車な姿勢では誰の理解も得られないだろう。ここでも読者はいちいち予測変換をしなければ、学歴エリートであろうと幼稚な彼らの言い分が何なのか分からないままである。

 [図10 b]の状態をそのままX線写真撮影しても[図10 a]のように像が写るアングルはあり得ない。X線写真は撮影する機材の先から一定の距離までの間にどれだけの骨量があるかで明暗が付き、それが白黒の撮影像に反映されるものである。皮質骨のように骨が密であれば白く明るく骨の輪郭も撮影方向に対して平行になるため白く線状に現れやすい。X線写真では奥行きが像として反映される訳ではないが、異なる骨が重なっていても両方が透けて足されて見えるので、その撮影原理を踏まえて注意深く観察すれば得られる情報はとても多い。例の如く適当に矢印をふって誤魔化し読者を煙に巻いているつもりでも、写真を前にして嘘をつけば証拠としてそれが残り、積み重ね続けた大嘘がいつか必ず公に発覚するだろう。
 [図10 a]では下顎頭と側頭骨の間が空いていて下顎頭に重なるような骨は写っていない。しかし、[図10 b]の状態を横からどのアングルで撮影したとしても、X線写真では下顎頭に彼らが関節結節とするものが重なるはずである。[図10 b]と[図10 a]は全く違う状況で撮影されているか、あるいは2つが全く不適切な症例写真と模式図なのか、そのどちらかだという事になる。
 X線写真をよく観察すれば顎関節周囲の骨の輪郭が得られるが[図10 a]では側頭窩に下顎頭が収まっておらず、下顎頭が側頭窩から浮き上がった状態であると分かる。[図10 a]が何かを噛んだ状態で顎が固定されて撮影されていたならば[図10 b]の状態とはかけ離れており模式図として不適切である。もし、明確な意図をもって特異な状況で撮影をするならば、読み手に対して断り書きがあってしかるべきだろう。
 [図10 b]が噛んで上下の顎を固定した状態だと仮定する。健康であれば元々は関節円板が下顎頭と下顎窩の間に介在していて、2つの骨の間隔が維持されているはずである。[図10 b]にあるほど下顎窩の深くに下顎頭がはまり込むような状態は通常ではあり得ないことなのだ。[図10 b]は関節円板が転位したまま顎運動を繰り返し、顎関節の骨が変形してしまった状態を示す症例の模式図であろう。それは第Ⅵ章にまとめられている顎関節強直症としてヤブな彼らが称する現代病の状態である。
 しかし、[図10 a]の症例がどうかといえば顎関節強直症であるとはとても見えない。顎関節強直症は関節円板が転位した後で下顎頭が側頭窩と擦れ合い、2つの骨がめり込むように損傷・変形して修復の為に骨添加された結果、下顎頭が周囲を硬く骨で覆われてしまい顎関節の可動域が著しく制限されるというのが顎関節強直症の病理であろうことがこの凄惨な歯学書にある資料の数々から私には十分推察出来る。
 だが、[図10 a]の写真を見れば患者の下顎頭が側頭窩から離れているのは瞭然だし、骨が潰れて変形している様子も無く下顎頭は綺麗な形を留めている。下顎頭の形態がそのままなのに、側頭窩だけが一方的に損傷して変形するとはとても不自然で考えられないことである。

 関節結節は顎関節の中でも外側に位置しており複数の靭帯が付着してはいるが、骨が変形するほど大きな力が直接加わるような箇所ではないし、脱臼でもしなければ顎運動をしても擦り減りようのない骨である。何の利点も無く関節結節に骨添加が起こり、本来の形が損なわれることはあり得ない。
 顎運動の都合による機械的な必要形態として、本来であれば関節結節は側頭窩まで連続したS字状の形をしているものだ。それは下顎の前方運動をした際に、上下の歯が部分的に当たる事により一部の歯に負担が偏ってしまうのを防ぐためである。側頭骨のS字曲線に沿って下顎頭が前方に移動するというのが生体の前方運動であり、咬合器では再現できない動作である。
 関節結節も側頭窩も同じ側頭骨という1つの骨の部分名称であるが、あえて関節結節だけをとらえるならばその形は丸くて横から観察すれば半円形である。

 関節隆起は側頭骨側の顎関節面で関節結節の内側に位置し、関節結節は顎関節面ではなく関節隆起の外側面を示す。どちらも同じく側頭骨の部分名称であって別個の骨としてそれぞれが存在しているものではなく、関節隆起も関節結節も連続して1つの側頭骨をなしている。2つの部分名称には境界など存在せず移行的な形状なのである。側頭骨全体の形状を立体的に把握していなければ、白黒の濃淡だけが頼りで奥行きの無いX線写真の画像診断などそもそも出来る訳が無いのだ。
 関節結節外側の切除を適応する症例に前提条件があるならば、先ずはそれを明確に示すのが筋である。まるで事始めの儀式であるかのように、誰彼構わず患者の関節結節外側に骨ノミを入れるのは、単に○○医師達が自分のやりたいようにしているだけの事である。関節結節外側を切除・整形する利点として解説には次のようにある。

「関節腔内を広く無理なく
 明視野に置くことは、
  鉤などによる過度な前方への
   牽引を避けることができる。
    これは、顔面神経側頭枝の
     不全麻痺の予防にも寄与する。」

 靭帯の働きも碌に考えず、その付着する骨の形態も重要性も顎関節の正常な状態も動作も知らず、無駄に撮影代をせしめて画像診断をしておきながら患者の状態を把握できないまま知ったかぶりをして、外科処置の目的も効果も執刀医自身が定かではないのに興味本位で患者の顎関節を切り開き、何も分からない手下の助手に鉤で肉を引っ張らせながら、
こうでもない、ああでもないと、顎関節を散々ひっかき回し続け、生きている患者でスリルを楽しみながら人体解剖をタダでお勉強する、その当然の帰結として患者の顔面神経が麻痺する事を防止する為だと、もっともらしい言い訳して下手に気取った言葉で体裁を取り繕い、二度と復元できない患者の関節結節を手前勝手に切除・整形することを誰が理にかなった医療行為だと納得するだろうか。

 何故ここまでも顎関節症専門家の口腔外科医師がことごとく馬鹿ばかりなのか、私は怒りを通り越して呆れるばかりだが続けよう。

「関節結節(中略)を切除・整形すると、
 関節隆起(黒矢印)は手つかずのまま、
 上関節腔深部まで
      良好な視野が得られる(b)。」

と、説明が続く。解剖学的な顎関節周囲の構造を把握していない人間が口腔外科医師を自称して関節結節を骨ノミで切り割り、局所的に良好な視野が得られたところで何が何だか分からぬまま色鮮やかなだけである。

[図10]関節結節外側の切除(C)

 [図10 c]では関節結節を切り割られた直後の左側顎関節の手術写真が提示してあり、
「整形後のcでは関節円板後部組織
   の前方に、関節隆起後斜面がみえる。」
とある。[図10 c]は極めて局所的な写真であり、剃毛の跡と外耳周囲の皮膚の皺だけを頼りにここでも読者が予測して患者の状態と著者の説明する真意を考えなければならない。残念ながら、どれだけ考えても私にはこのぐちゃぐちゃしたカラフルな写真がどのような状況を撮影したものなのかさっぱり分からない。いや、執刀医本人でもなければ分からないだろう。いやいや、本人でさえも分からないのではないか・・・。きっと、そうであるに違いない。何故ならばエリートお得意の矢印さえ無いのだから。
 写真を観察しただけで関節円板後部組織がどこからどこまでなのかその見分けが出来る人間がいるとするならば、関節円板後部組織から関節円板を切り離してそれを全部摘出し、医療廃棄物として患者の身体をゴミの様に捨てることが平気で出来るイカれた人間である。それはヤブ医者に他ならない。
 そもそも関節円板と関節円板後部組織は移行的に繋がっていて、明確な境界などあるものではないのだ。だから、「後部組織」やら「(円板後部)結合組織」という曖昧な名前で呼ばれているのだろうし、口腔外科医師達にとって不明瞭な組織であるに違いない。
 だから読者がそのまま手術写真を見せられても分かるはずがなくて当然なのである。他人に理解を求めるのでもなければ、この書は歯科医学書として成立していないし、自己顕示欲旺盛な学歴エリート〇〇医師達の自己満足である。しかし、それも私から見れば動かぬ証拠であり、彼らが患者達に犯した犯行内容の自供である。

 関節円板は軟骨であり、顎関節の動作を円滑にする為に本来であれば下顎の動作に合わせて動く仕組みとなっている。軟骨として正常に作用する為には関節円板が顎骨との位置関係を適切に保っていなければならない。つかまる場所も無く関節円板がただ挟まっているだけでは、顎関節動作の拍子で外れて何処かへ行ってしまう。
 だが、関節円板に限らず軟骨には必ずそれぞれが付着する筋肉や靭帯がある。関節円板は開口・閉口運動に際して下顎骨に合わせて動き、前後的に大きく移動する軟骨である。円板軟骨が前方へ動くには外側翼突筋という円板軟骨の前方に付着する筋肉によって、下顎骨と共に引っ張られる仕組みになっている。
 しかし、関節円板を後方へ引っ張る筋肉は存在せず、その後部では靭帯に移行して側頭骨と下顎骨の上下に分かれて繋がっていて、靭帯の張力を利用して関節円板の位置を顎関節内で後方に維持している。関節円板は後方をゴムに繋いで骨に付着しているようなものであり、ヒトが自分の意識で能動的に関節円板を後方へ引き寄せることは出来ないのだ。もし、何らかの理由で関節円板が前方に転位してしまったとしても、何も知らない人が自力で円板軟骨を元の位置に整位することは難しい(簡単に自力整復する方法はあるがここでは割愛する)。

 顎関節症と称される病態には必ず関節円板の転位が絡んでおり、転位する方向は多くの場合で前方である。しかし、関節円板が一度前方転位してしまうと一筋縄では元に整復出来ないし、そうなった元の原因を改善しなければ円板軟骨を整復出来たとしても、遅かれ早かれいずれまた前方転位してしまう。そして、関節円板前方転位の原因は咬合高径の低下にあり、大元の原因は口腔外科ではなく一般歯科の範疇にある。
 だから、変態的に顎関節だけしか覗くことが出来ない顎関節症専門家を名乗る口腔外科医師達には、顎関節症はこの先何年経とうが理解不能な現代病である。むしろ、その病を金のなる木とでも見て、わざと原因不明の難病として育てようとしているのではあるまいか。顎関節を患いどうしようもなくすがる思いでヤブ医者の巣窟である大学病院専門外来に駆け込んだ患者達が私は不憫でならない。だから、私はこの悲惨極まりない歯科医療の状況と、エリート○○医師達の非道極まりない行いを世に訴えるのだ。

[図10]関節結節外側の切除 (d)、(e)

 「(前略)切除後では、円板後部組織の一部と          
 白色を呈する関節円板が明らかになっている。」

 (d)、(e)には関節結節を切除する前と後の手術写真が矢印さえも無くそのまま提示してあり、余白だらけのページにはまともな説明が何も無いのだが、この手術写真を著者には説明をして頂きたいものである。ちなみに私が(d)、(e)の構図を解説すると下のようになる。

(d)は関節結節を外側から覆う顎関節包靱帯と
外側靭帯をメスなどで切り開いて鈎で引っ張り
関節結節外側を露出させた状態である。
(e)は関節結節を骨ノミで叩き割って切除し、
切り開いた靭帯の間(赤線)から
顎関節を覗いた構図であるが、
顎関節腔の上下に白く見えるのは
関節隆起の断面と下顎頭であり、
この著者が解説文で述べるような円板軟骨は
この手術写真には全く写っていない。

見ての通り円板軟骨など手術写真(e)には何処にも写ってはおらず、 
「(前略)切除後では、
   円板後部組織の一部と白色を呈する
     関節円板が明らかになっている。」
という[図10]の解説文はこの著者のとんでもないデタラメなのである。こんな輩がわけも分からず知ったかぶりして患者の体を切り刻み、健康な臓器を医療廃棄物に捨ててしまうおそろしい現実があるのだ。この歯学書の著者らはいずれも大学病院に務めるような日本顎関節学会所属の顎関節症専門医であるが、それでもこの酷い有様なのである。街にある普通の歯医者が顎関節のことなどわからなくて当然であり、一度でも顎関節を患ってしまうと患者にはどこにも救いがないという悲惨な歯科医療の現実があるのだ。

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