私の特技

 私には、特技がある。
まだ誰にも言っていない特技である。


それは  “あくびをすること”  である。


何ふざけたこと言ってんの?調子乗んなよ?    
と思う人がほとんどかもしれない。


本気なのである。

眠たいのなら寝れば?
と思う人もいるだろう。

眠たくはないのだ。

それでも、あくびが止まらないのだ。
(分かる人には分かる)

小学生になっても中学生になっても、私のあくびは止まらなかった。

先生に叱られている時でも、先輩が今にもぶち切れそうな時でも、あくびは止まらなかった。


やはり、余計に叱られた。

「少しうつむいて、腕で口元を覆うのがいいよ」
と、同級生のまいちゃんに教わった。

まいちゃんもまた、あくびが止まらぬ人間であった。



どこであくびをしても大抵は怒られるが、唯一あくびを誇らしくできる場合がある。

それは、テスト中だ。


私はテスト中、一通り解き終えて、頬杖をつきながらここぞとばかりにあくびをしまくった。


「私、夜遅くまで勉強してますよ😆」

「私、毎日頑張ってますよ😆😆」

そう思いを込めてあくびをした。

みんな、特に先生に、
「あいつ夜遅くまで頑張ってるんだな〜」
なんて、思わせたかったのだ。

みんな褒めてくれるのでは?なんて思ったりもした。



淡い夢であった。



運命のテスト返却。



テストは、全然出来ていなかった。


特にあくびをしまくった理科のテストは、34点であった。



さすがに凍りついた。


あくびをすることに集中しすぎて、肝心なテストが疎かになってしまったのだ。


母親に叱られ、先生に叱られ、
私はまたあくび、
そしていっそう叱られるのであった。



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