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(毎週ショートショートnote)失恋墓地

失恋墓地。
この墓地を訪れる人は暗い表情をしているが、墓地を出る時には明るくなっているという。

「束縛之墓」と彫られた墓の前に男が一人立っていた。
男は電話で最後に言われた言葉を思い出していた。

「誰ともご飯に行くなって言われるのはもうイヤ!」
なぜ去っていったのだろうか、と思いながら彼は手を合わせた。

ふとその時、彼は横に人の気配を感じた。
女性が墓に向かって手を合わせていた。
彼女が頭を上げた時、彼は声を掛けた。

「あなたもですか、束縛」
「ええ。なぜ駄目なんでしょうね。自分だけを見て欲しいってそんなに悪いことなんでしょうか」
「いや、あなたは悪くないですよ。私も理解してもらえず、ここにいます」
「私たち、似たもの同士ですね。ふふ」
「確かに。あはは」
2人は墓の前で静かに笑い合った。

失恋墓地。
この墓地を訪れる人は暗い表情をしているが、墓地を出る時には明るくなっているという。
そして、1人で来たはずなのに2人で出てくる事が多いという。

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(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました!


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