晩年はいくら汚してもいい!! 映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」ネタバレあり感想
どうもこんちは、ねね氏です。
春先の大仕事が終わり、普段の仕事や読書、そして映画や新しく始めたこのnoteにしっかり取り組めそうだなと感じています。
さて、今日は仕事が佳境の時期に見たこの一本。
あらすじ
きっかけ
同僚や友達に、見た映画を紹介すると、すごくびっくりされるようになりました。
特に今回、この瀬戸内寂聴さんのドキュメンタリー。
「渋っ!!」
そりゃそうだわ。5年前の私だったら私もそう思ったさ。
瀬戸内寂聴さんの死去のニュースはショックでした。
一度は講演を聞きに行ってみたかった。
でも、この映画の予告を見るまでは(いや、予告を見てからしばらくは)、亡くなったことを忘れてしまっていました。
最近は訃報のニュースでも、知っている人の名前を見る機会が増えて、私も大人になったなあなんて思います。
そういう感覚にはなれたくないなあ。
でも、誰々が亡くなったとか、誰々が結婚したとか、そんなニュースはいちいち覚えていられなくなってきました。
今回の映画は、予告が面白そうだから鑑賞。
未視聴状態の期待値は☆☆☆★★。
感想(ネタバレ含む)
ドキュメンタリーだから、ネタバレもクソもないんですけどね。
この中村裕という監督がすごい。
寂聴さんといえば、瀬尾まなほさんという、若い美人秘書がいたことで有名。
(というよりも、寂聴さんの住まい「寂庵」のスタッフはみんな美人)
この人に関するドキュメンタリーや密着取材なんかはあったけど、中村裕という監督が密着していたのは初めて知った。
おそらく、晩年の寂聴さんの一番近くにいた男性。
最初、中村裕監督の自己紹介が入るが、その時の写真はおそらく20代。目鼻立ちがはっきりしている、塩顔ハンサム。
早くに結婚し、子宝にも恵まれたが、離婚。それからは独り身。
そしてよい声。
モロにねね氏の好みなんですが。
と、思ったけど、時々チラッと映る中村監督は、小太りの中年男性。
「映さないほうがよかった!!!(超勝手)」
寂聴さんは、
「裕さんは、男女の関係ではないが、相互に一番わかり合っている」
「裕さんの うそつき」(危篤の時にはすぐ来ると言っていた)
と書き記す。
一緒にスッポンを食べに行ったり、ホタルがりに行ったり、紅葉狩りに行ったり。
寂庵の女性スタッフばかりの中に、男性が一人。
毎日のように顔を合わせる寂庵のスタッフと、裕さん。
裕さんが東京から寂庵へ会いに来ると、なぜか元気になる寂聴さん。
寂庵のスタッフからは「昨日は本当に起き上がれなくて」
それって、顔を見ると元気が出るってこと?
それって、裕さんに具合が悪くて寝込んでいるところを見せたくないってこと?
寂聴さんが、原発への反対や、安保理への反対のデモに出かけていく様子や、文化勲章を受賞する様子も。
駆け落ち、小説家になり、出家するだけでも十分アグレッシブだが、デモに参加して、マイクで演説するなんて、並外れた胆力だと思う。
肉を食べるし、酒も飲む。そんな破天荒な尼を尊敬するなんておかしいという人もいる。
でも、すごくすごく相手のことを考えて、どうすれば相手の役に立つことができるのか、どうすれば迷惑をかけないかを深く深く考えるような繊細なところもある人なことに、いじらしさを感じる。
ねね氏個人的には、大好きな先輩が、寂聴さんと同じ牡牛座。
美味しいものが大好きで、後輩の指導の時もすごく言葉を選んでくれて、仕事にとてもアツい人だった。上司にでも遠慮なく噛みつき、一生懸命現状をよくしようと働きかけられる強い人だった。先輩だから偉そうにはせずに、「私たち同僚で仲間でしょ」と言ってくれる優しさが好きだった。
そんな先輩と重なったから、しみじみといいなあと感じる。
食卓に並んだ煮物やステーキやヒレカツ。全部完食することはしないけど、煮物には手をつけず、ヒレカツをもう一切れ食べる姿に、アグレッシブさを感じた。
99歳まで生きるためには、ヒレカツを食べられる消化管が必要ですかそうですか。
最後は、寂聴さんの私小説で終わる。
裕さんだと思われる男の人と、蛍狩りに行く話。
男女の仲ではないはずなのに、事実を書いているだけのはずなのに、
なぜかとても色っぽい。
滴るような色気を感じる文章。
100に届くかという老婆がこんなにみずみずしい文章を書くことができるなんて。
寂聴さんの文章は読んだことがないけれど、読んでみてもいいかなと思った。
点数
結果、視聴後の点数は☆☆☆☆☆☆☆☆★★(星8つ)
90分の短い映画ですが、見足りない、もっとこの会話を聞いていたいと思う優しい内容でした。
100まで生きていたら、2時間の映画になっていたのかな。悔やまれます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?