絵本ゼミ最終回

始まったと思ったら、あっという間の最終回。今期は、期間が短くて、濃縮されたゼミでした。
1、今回印象に残ったこと
今回は、絵本を提示するだけでなく、好きな場面と、その場面のどの様な所が好きなのか説明する、というのがとても印象に残りました。
其々持ち寄った本は受賞作なので、それなりに既に評価されている訳ですが、その公的な評価にプラス自分としての評価を言語化する、というのは大事な作業なのだ、と教わりました。
「好き」は主観。それを言語化する事で客観的な力を持つ書評となっていく。ミッキー先生の助言で、1人の「何となく」の思いが、みるみる共有できる書評になっていくのが感動的でした。

2、ナミ・コンクールについて
コルデコット、グリーナウェイに続いてその他の絵本の賞について、国際アンデルセン賞を中心に、受賞作を見ていく、という今回の流れの中で、私は、歴史のまだ浅い賞に着目しました。
ナミ・コンクール
(1)概要
始まり・・2013年。2年に1回開催。
応募・・プロ・アマ問わず。未出版の物も可。絵を審査対象とするので、絵のデータを5枚応募フォームから送る。
主催・・(株)ナミアイランド
(2)特徴
ボローニャと同じ様な審査対象で、絵本画家の登竜門と位置付けられる。
国際アンデルセン賞の審査員や受賞者などが審査員となっており、国際コンクールとしてボローニャに次ぐ応募数を誇る。
主催の会社は、韓国のナミ島をレジャー、文化の島として経営している。
2009年から国際アンデルセン賞の公式スポンサーとなっている。
現在の社長が絵本作家でもあり、絵本の島として、このコンクールを重要イベントと位置付けている。
絵本界にとっても、新たな市場開拓になり得るし、世界から人が集まるのは主催者の利益にも繋がる。企業が有名な賞のスポンサーになるのはよくあるが、自ら主催する事で、自社の利益にも繋げる取り組みは注目される。

私も、これを知って、是非ナミ島に行ってみたいと思いました。

(3)受賞作について
2019ナミ・コンクールでパープルアイランド賞を受賞した
「くろいの」(田中清代 作 偕成社 2018年10月)
田中さんが受賞、ということでこのコンクールが日本で一気に有名になりました。この年、もう一人加藤寛之さんという方が「Mist'ery Train」(未出版)でゴールデンアイランド賞という大賞に次ぐ賞を受賞しています。鉄道会社のPRの為に作られたそうで、「きりのなかのサーカス」(ブルーノ・ムナーリ作 フレーベル館)のような感じ?(見てないので、想像です)
田中さんは銅版画で絵を作られます。「くろいの」は、黒と白のモノトーンでその銅版画の良さがとても活きている作品です。
同じ年、ブラティスラバ原画展にも展示されました。

3、ゼミ全体を通して
今期のゼミは、絵本の賞の受賞作から絵本を見る目を養う、というものでした。賞には其々の特徴があります。
その国の絵本の質の向上、発展を意図して設けられたり、絵に着目してその素晴らしさを競うものだったり、未出版のものも既に出版された物と同等に審査され出版のきっかけとなるものだったり、ジャンルを分けて賞を与えるものだったり…と様々です。
様々ではありますが、其々の基準で、時間をかけて図書館員や読み手となる子ども達や専門家が選ぶ本には、どれも個人の好みでは敵わない価値がある、と痛感しました。
そして、その価値に敬意をはらい、咀嚼して、最終的には、個人である自分としてその絵本と向き合うところへ戻るのが大事だなと教わりました(と私は思っています)
具体的な作業はこれから。そして、それはnoteではなく、提出できるものにしたい、と考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?