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【社会人留学】 Week4~Learning craftmanship~

早いもので、今学期の授業の3分の1を終えました。生活にも慣れ(堂々と信号無視できるようになりましたw)、授業のリズムも掴みつつあり、それぞれのクラスにComfort Zone(安心できる場所)ができたこともあって、時の進みがどんどん速くなっているような感覚です。

すごくリラックスしているかのような書き出しになりましたが、実際のところ、初めての課題提出(しかも複数同時〆切)に追われ、いつか書きますが自分なりに大きな意思決定も経験した、文字通り、てんてこ舞いな一週間でした。ですが、頑張った分、しっかりとプライスレスなご褒美もありました。

今週もふたつの授業の進捗を記したいと思います。

◆ビジネス分析と意思決定
「実在する企業の何らかの最適化課題に着目し、先行研究10件を見つけ分析し(課題1)学んだプログラミングを用いて解決策を提示する(課題2)」というのが、課題の題目でした。(今回提出したのは課題1で、続編の課題2は今後提出します。)・・・この実践的ながら、圧倒されそうな課題に5人で取り組み、議論の結果、舞浜にある某テーマパークのチケット収入の最大化に着目することになりました。まだ評価を受けていませんが、チームワークが奏功し、質の高い仕上がりになったと思います。しかも、提出期限の2日前には提出を終えているという余裕すらありました。
学生同士でランダムにチームを組むことから、課題に対するモチベーションはもとより、知識スキルにばらつきがあり、上手く機能しない場合もあるのですが(経験済みです・・・)、限られた時間の中で、こちらのチームは本当にうまく機能しました。チームへの愛着があることにくわえ、1+1+1+1+1=5以上を生み出せたと感じているからです。

<チームが上手く機能したドライバー> 
全員が課題に前向きなモチベーションを持っているのが大前提ですが、その先で工夫したポイントを記しておこうと思います。

  • 対面でのミーティングを頻繁に設けた:ほとんど対面ミーティングをしていないらしいチームもあった中、私たちは2週間で12時間以上を議論に充てました。もちろんずっと真剣に議論をしているわけではなく雑談や互いのバックグラウンドについて話したり、ユーモアを言って笑いあったりと和やかな時間も多くありました。もしこのチームでなかったとしたら、他の授業や課題がある中、積極的に時間を割きたいとは思わなかったはずです。ですが、私はこのチームで過ごす時間が大好きでした。尊敬するメンターが、「コミュニケーションは頻度だ」とおっしゃっていましたが、本当にそのとおりだと思いました。 

  • 心理的安全を築くことができた:コミュニケーションチャンネルはLINEではなくWhatAppを使うことが多いのですが、私たちは小さなことでも共有し、反応しあいました。私は、特に複数人いるチャットには、できるかぎり早めの反応、返信を心掛けていました。自分も経験したのでわかるのですが、特に関係が温まっていないうちは、口火を切るのにほんとーに勇気がいります。ですので、勇気を出して発信してくれた人にさみしい思いをさせたくないのです。気軽に話せる関係性が強化されていくと、分からないことや不安に感じていること※なども共有するようになり、「心理的安全」が築かれていき、他の人の担当範囲だったとしても積極的に手伝おうというムーブメントが生まれていきました。※別の授業(ファイナンス)ですが、私もこのように、「分からない!助けて!」というようにしています(なりました)。もともと人に頼るのが得意ではなかったのですが、こちらにきて身に着けた処世術です。         

ファイナンスの授業の宿題に自信がなく、チームメンバーにSOSを出しました
  • 各メンバーが自然と強みを活かした役割を担った:リーダーなど明確な役割を決めたわけではありませんが、たとえば、最も社会人経験が長く(11年)マネジメントの経験もあるMは、常に全体像を意識した問いかけをしてくれましたし、エンジニアのバックグラウンドがあるFは、私たちが実現したいことを、早々と数式に落とし込んでくれました。私は、学部時代に実証研究のお遊びのようなことをした経験を活かし、論文の構成や論点の整理をがんばりました。

そしてご褒美パートです。週末には、チーム内で家族とともにメルボルンに来ているメンバーが、娘ちゃんのお誕生日パーティーに招待してくれました。美味しいインドネシア料理を食べながら、新しい出会いと語らいに満たされ過ごしたひと時に、心からの幸せを感じました。

お誕生日ピクニック

◆マネジメントコンピテンシー
読んでくださっている方々から反響をいただいてるこちらの授業ですが、今週はPolitics&Power(組織内の政治)を扱いました。

まず、先生からの「Powerについてどう思いますか。好きですか。苦手ですか」という問いがなされ、「自分のやりたいことを実現するために、Powerは必要!」という声や「Powerと聞くと、人を操作することと結びつくので得意ではない」といった声を受けた上で「授業で学ぶコンピテンシーとしてのPowerとは、組織にポジティブな結果をもたらすための、"Good Use" である。人はだれしも強制されるのは好きではないからこそ、マネージャーは効果的にPowerを使い、組織の目標達成に向けて人に影響を与えることが重要なのだ」という前提が置かれました。特に面白かったポイントをいくつかご紹介します。

  • なぜ私たちは、Power/Politicsといったテーマを避けるのか

    • 最近変わりつつあるようですが、偉大なリーダーを語る文脈では、当事者がどれほど政治的に優れていたか、という点はほとんど無視されているようです。実際スティーブジョブズは優れた”政治家”だったそうですが、リーダーを”Romanticized”したい(ロマンティックなものとして捉えたい)というリーダーシップ産業界の意図から、メディアで語れることはほとんどないとか。政治をあまり触れたくないものとして扱う視点が垣間見え、面白いと感じました。

    • 自尊心を守るためという観点も紹介されました。政治とはさまざまな戦略を必要とすることから不得手とする人が多く、人は不得手なものに積極的に取り組もうとしない。取り組まなければいけない状況ではあえて失敗する理由をつくる(セルフ・ハンディキャッピング)政治をそのような対象として扱う場合も多いそうです。心理学を用いたこの視点も、自分では思いつかないものだったので新鮮でした。

  • ステークホルダー(利害関係者)マッピング

    • 縦軸にステークホルダーの同意の高低、横軸にステークホルダーのエンゲージメント(積極的に関わろうとする意欲)の高低を示すマトリックスを使い、Opponents(反対している人)をAllies(合意してくれる仲間)側に寄せていくにはどうしたらよいか、持っているPowerの大きさをもとに誰を優先するか、といった整理の仕方を学びました。(ご参考:https://bigthink.com/guest-thinkers/agreement-and-trust/ )ここで先生が、「自分の提案に5人中2人の部門責任者が反対している中、翌日全員参加のミーティングが開かれるとき、直接・間接的にPowerを使い、どのように2人の責任者を説得しますか」という問いかけがなされました。私はその問いを聞いてすぐ、自分が経験した仕事のある場面をありありと思い出し、当時上司はどのように立ち振る舞っていたか、それにはどのような意図があったのか、と考えを巡らせました。このように、学んだ理論と実際の仕事経験を結びつけて考えられるのが、社会人経験を持って留学する利点だと感じます。

  • ステークホルダー分析

    • 分析の視点として、次の要素が紹介されました:「その人の興味・関心」「(こちらのやりたいことを実現した時に)相手が受けるメリットとデメリット」「緊急性(いつまでに合意してもらう必要があるか)」「Powerの観点から、その人の強み・弱み」「その人のネットワーク(誰と親しい間柄か)」

    • 授業では、”Dead Poet Society"という映画に出てくる一人に焦点を当て、実際にステークホルダー分析を行いました。弱みとして、「Powerを持つと相手視点の理解が不足する(実証されています)」という視点にはハッとさせられました。

この授業の後、あるクラスのチームマネジメントが上手くいかず多少しょぼんとしている私に、シンガポール出身のTから、"In fact, you should be even more confident with yourself since you have a wealth of the work experience that most of us don't have. It's your source of power like we just learned in class. (他の人にはない豊富な実務経験があるのだから、もっと自信を持ってもいいんだよ。(実務経験は)ココのPowerの源泉だね。)"とメッセージをもらい、本当に勇気づけられました。人生、チーム戦ですね・・・!

今週(先週)は、物理的にも精神的にもイベントフルで書きたいことがまだまだあるのですが、今回はこちらで締めたいと思います。読んでくださりありがとうございました。

PS:タイトルの「ラーニング・クラフトマンシップ」とは、学びの過程を職人的に捉え、意識的な訓練により熟達していこうというアプローチです。マネジメントコンピテンシーの授業の後、クラスメートが「課題でしっかり点数を取れるか不安です」と先生に言うと、先生が「ラーニングクラフトマンシップだよ。もしはじめに上手くいかなかったとしても、そこから学んでいけば良い」とおっしゃっていたのが心に残りました。


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