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図書館で翻訳絵本の新旧訳と出会う

先日、いつもの図書館に行ってみると、『翻訳絵本の新旧訳を読み比べてみよう!』という企画展示が開かれていました。「こどもの読書週間」に際しての展示とのことでした。地方都市の図書館で原書と訳書が並んで置かれているだけでも貴重なのに、旧訳と新訳までそろえてくれているなんて! 翻訳をなりわいにしている者として、こんなすてきな企画が地元の図書館で開かれていることにいたく感動しました。

展示されていた作品は46種類。原書、旧訳、新訳を合わせると、計130冊ほどありました。市内中の市立図書館からかき集めてくださったそうです。どの図書館にも大きな洋書コーナーがあるわけではないことは知っていたので、海外の原書が地元にこれだけ収蔵されていたことに驚きました。ましてや洋書の絵本となると、各館の棚面積は限られています。

図書館の片隅に作られた展示コーナーでじっくり本を眺めていると、こんなことに気がつきました。
・新訳でも翻訳者が旧訳と同じ作品もある。
・新訳は文芸作家が担当されているものも多い。
・旧訳と新訳で刊行する出版社が同じとは限らない(むしろ別会社から新訳が出ている作品が展示内では多かった)。
・旧訳と新訳でタイトルが同じものもあれば、がらりと変えられている作品もある(例:「まよなか」→「あさ」など)。
・新訳というと旧訳から数十年ほどインターバルがあるようなイメージだったが、10年足らずで新訳が出ている絵本も複数ある。
・表紙絵やタイトルのフォントなども大幅に変更され、表紙を一見すると別作品かと思う新訳もある。
・新訳では、翻訳者だけでなく絵本画家も変わることがある。

通常、館内では写真撮影が禁止されていますが、あまりに魅力的な展示だったので図書館員さんにご相談したところ、「学習・研究目的に使用すること。著作権保護のために画像をSNS等にあげないこと」等の項目が明記された誓約書に記名し、許可を得ていることを示す腕章をつけることで、展示を撮影する許可をいただきました。周りに読書や勉強をしている利用者の方々もいらしたので、できるだけ短時間でざざっと撮影し、後ほどゆっくり画像を見返してこのように記事にいたしました。

外国語の原書と日本語の新旧訳が、作品ごとに端正に面陳列されている光景は美しかったです。

図書館員さんがこのような企画を実現させてくださったことに感謝申し上げます。

お読みいただきありがとうございました。

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