あなたの本が読みたくて②
前回からの続きです。
Who HQ Booksや「こんな生き方がしたいシリーズ」でさまざまな女性の伝記を読んでいた時期、私はいまの状態から脱したいとあがいていました。しばらく続いていた低迷期の終わりを感じ取り、ようやく水面に顔が出て、自分のギアを入れ直すなにかを模索していました。
そんなときに出会ったのが、ジェーン・スーさんのエッセイ集『ひとまず上出来』でした(そのときの記事はこちら)。スーさんのからりとした文体が、私のなかのぐちゃぐちゃした部分を野焼きのように払ってくれるのを感じました。
スーさんの本をもっと読みたいと思い、書店に行って出会ったのがインタビューエッセイ集『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』です。別のご著書が目当てでしたが店頭に在庫がなく、新刊コーナーで偶然見つけた本書を代わりに買い求めました。最近YouTubeでよく見ている辻希美さんの章もあったのが購入の決め手でした(辻ちゃんの動画を流していると日々の雑事がはかどる)。対談を読むのはあまり得意ではないので、インタビュイー本人の言葉を引用しつつ、地の文はあくまでもスーさんの文章であるところもいいなと思いました。
この本を開いたとき、「はじめに」に書かれたスーさんの言葉にあっと思いました。
それは、私が「こんな生き方がしたい」シリーズを読み始めたときに思っていたことそのものでした。実際、同シリーズはスーさんのいう「女が自分の手と足で人生を切り拓いた話」の集合体であったと思います。ただ私は、シリーズに登場した先輩方のあまりの強靱さと不屈の精神にたじろいでしまった。ようやく足がついて水面に顔が出たような状態の自分には、とてもまねできないと思いました。
スーさんは、そんな私の思いを見透かすかのようにこう続けています。
さらに、次の言葉が添えられます。
バンと背中を押されるけれど、全員に同じペースが無理強いされないことに安心感を覚えました。
そうして安心してから目次に進むと、総勢13名の女性の名前が並んでいます。
齋藤薫(美容ジャーナリスト・エッセイスト)
柴田理恵(俳優・タレント)
君島十和子(美容家・クリエイティブディレクター)
大草直子(スタイリングディレクター)
吉田羊(俳優)
野木亜紀子(脚本家)
浜内千波(料理研究家・食プロデューサー)
辻希美(タレント)
田中みな実(俳優)
山瀬まみ(タレント)
神崎恵(美容家)
北斗晶(タレント)
一条ゆかり(漫画家)
(敬称略)
「こんな生き方がしたい」シリーズよりもさらにもう一歩「こちら」に近い人たちという印象を受けるのではないでしょうか。もちろん、メディアで活躍されている方が大半なので、実際は近くて遠い存在ですが、お名前を見たときに覚える親近感は段違いだと私は感じました。スーさんが「敬意を表して」話を聞きたいと願った13人の方々です。
この本だったら、この13人の半生を聞くのがスーさんなら、私が知らず知らずのうちに伝記に求めていた「自分と共通項がある他人の等身大の姿をのぞかせてもらって、思うようにいかない時期にどうあがいてそこを通り抜けたかを知り、共感したい」という思いを満たしてくれるかもしれない。そう思いました。
長くなってすみません。次回に続きます。お読みいただきありがとうございました。
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