見出し画像

全然もうかってないけどほそぼそと受注している翻訳者の話 その1

「全然もうかってないけどほそぼそと受注している翻訳者の話を書いたら、誰かに読んでもらえるかな」とつぶやいたら、思いのほかたくさんのいいねをいただいてしまい、少々緊張しております。

多様な翻訳の世界の中で、本当に蜘蛛の糸のようにほそぼそと仕事をしているこんな人間もおります、ということを、ちょっと書いてみようかなと思っています。

・現状
フリーランスで翻訳の仕事をするようになって8年ほど、個人事業主になってからは5年ほどたちます。
こう書くと長いキャリアがあるようですが、途中ポコポコとたくさんの穴が開いており、帯のようにつながった受注状況ではありません。

今は子どもを保育園に預け、育休から復帰した方の時短勤務とほぼ同じような時間帯で働いています。

最近の仕事では、メーカーのプレスリリース、社内報、カタログ、会議のサマリーやビデオメッセージの原稿の和訳、それと、日英翻訳のチェックと半々くらいで担当しています。

現代会での月収はパートと同等程度ですが、夫が正社員として働いてくれているおかげで生活できています。

・ないない尽くし
2カ月以上の海外留学、在住の経験
実務的な専門分野
翻訳学校への通学経験(通信を受講)
社内翻訳者としての勤務経験
がありません。

これはフリーで翻訳業をやるにはかなり危なっかしいことで、これらを補うべくずっと試行錯誤しています。

ついでに、体力もありません。
・翻訳の勉強を始めたきっかけ
いわゆる「心の風邪」をひき、仕事をやめて家庭に入ったことです。短期の派遣社員として仕事をしながら、翻訳学校の通信講座で学習を始めました。

当初は「翻訳を仕事にしたい」とまでの意気込みではなく、正社員でなくなって時間ができたけれども何もしないのも焦りを感じる、それなら以前から興味のあった翻訳をここで勉強してみようか、という感じでした。

仕事にするための勉強ではなく、言ってみれば生きているための勉強だったので、一番あこがれていた出版翻訳の講座を取ることを選びました。

フェロー・アカデミーの初学者向けの入門講座から初めて、出版の初級→中級→上級と進み、途中ナショジオのノンフィクション講座や、他の翻訳学校の環境翻訳の講座なども受けました。通信講座を選んだのは、金額面での理由と、地方在住で気軽に通学できる距離に翻訳学校がなかったためでしたが、家でコツコツやるのは苦にならないので、通信講座は性に合っていたと思います。

今、コロナ禍で思うように通学できない状況を残念に思われている方もいると思うのですが、通学なしで勉強することも必ずしも無理ではないと思います。逆に、本来は通学する講座がオンラインで受講できるようになっていて、地方在住者にとっては恩恵だと思えることもあります(ただ、やはり平日日中に仕事をしている方を主に対象としているためか、開講時間が平日夜間や土日であることが多く、そうすると育児中はちょっと受講が難しい)。

とはいえ、上級講座に進むと半年に1回くらい講師の先生の授業を他の受講生の方と一緒に受けるスクーリングがあり、そのときにはやはりとても刺激を受けました。

・翻訳業界の情報収集
その頃の自分がすぐに仕事をできるとは思っていませんでしたが、「翻訳者」という方々と翻訳業界自体にとても興味がありました。やはり「あこがれの人たち」という感じで。

2011年の大震災を機にTwitterをはじめ、そこから業界の第一人者の方々からの情報を見聞きできるようになりました。それをきっかけに、徐々に実務翻訳にも足を踏み入れてみようかと思い始めたのだと思います。

2013年ごろ、いろいろと自分にとって大きなことがあって少しずつ前に進み始めましたが、このころすでに正社員をやめてから5年たっていました。

以下、次回に続きます。

[旧ブログ2020/12/10の記事より転載]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?