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弓道についての現状

私なりの付き合い方。


引っ越しにともない、2年間お世話になった弓道連盟からは退会することになりました。
転居先では気軽に通える距離に道場がないため、しばらく私の弓道生活はお休みになりそうです。


どこかに属して弓を引くということについて、この2年で色々感じることがありました。

①良かったこと
・生活に組み込める
練習場所は連盟が決まった場所・時間をおさえているので、ゆるい部活のような存在になってくれました。当日急に思い立って道場へ、なんてことも(でき)ないため、他の予定も立てやすかったです。

・大会に出場しやすい
何度か大会に連れて行ってもらいましたが、やはり普段の練習とは違う緊張感があり、良い刺激をたくさんもらいました。
しかし、どこにも所属していない場合の参加方法が全然わかりません。もしかしたらどこかへの所属が必須条件なのかも。それすらも謎です。

・孤独じゃない
幸いなことに、行けば誰かしらいるので寂しくありません。それ以上に、私の射を見てくれる他人の目の存在はとても大きいです。
直すべきところを教えてもらい、良いところはたくさん褒めてもらいました。


②私には合わなかったこと
・自分のペースで引けない
私はあまり体力がないので、一度の練習で10本程度を大事に引くのが個人的な理想です。
しかし、私の所属していた連盟では、その日の出席者で立ち(チーム)を組み、順番に引いていくことがほとんどでした。疲れたら抜けてもいいのですが、そのために立ちを組み直したり、一巡のペースが早くなってせわしなくなるのが申し訳なくて、多少の無理をしてしまうことがありました。

・期待に応えたくなってしまう
私は連盟の会員の中ではかなり年齢的に若い方だったので、娘や孫のようにかわいがっていただきました。
皆さん私のことを気にかけてくださり、「○ヶ月後に大会があるけど、予選に参加してみないか」とか「段位を取る気はないか」とか、色々お誘いをいただきました。
ありがたいという気持ちももちろんありましたが、私は高校時代に少々弓道にのめり込み過ぎてしまったところがあったので、大人になってからは、趣味として、適度な距離感でやっていこうと決めていました。そのため、大会や審査など、結果を求められることが目標としてある状態はあまり望ましくないし、毎度断る申し訳無さも感じてしまいました。

・持病の悪化
これは連盟の所属とはあまり関係ないのですが、私は高校時代から早気(はやけ)に悩まされています。
弓を引く人にはお馴染みの射癖で、矢を放つ直前の状態(「会」といいます)を満足に維持していられなくなるという症状があります。
当事者としても、なんとも不思議な感覚で、筋力が足りないというわけではないのです。
「そのポーズを維持してください」と言われれば何十秒でもできるのですが、「矢を的にあててください」と言われたら多分無理です。
高校時代に早気が重症化していく過程を自ら味わった私ですが、以下のような段階があったように思います。

①前提として、的中率を求められる環境に置かれている
②会の段階で、「今離せばあたるぞ」という感覚に襲われる。実際、その瞬間に離すとあたる
③②の感覚に従ううちに、会に入ってから離すまでの時間がどんどん短くなっていく(この時点での的中率はかなり良いです)
④会の状態にもっていくので精一杯になり、準備が整わないうちに離れるようになってしまう
⑤射形はくずれ、的中率も下がる

①については、ある程度の部員数がいればレギュラー争いが発生するため、学生弓道の宿命といえます。その中で②の悪魔のささやきに打ち勝つことが重要だなあと身に沁みて思います。
この①に身を置かないために、前述したとおり、試合や審査からは距離を置いていました。

大学では弓道部に入らなかったため、4年のブランクが生じました。これによって色々なことがリセットされ、ここ2年間は気持ちよく弓が引けていました。
しかし、自分で分かるのですが、私の早気は完治したのではなく寛解にすぎません。数ヶ月前から会が徐々に短くなっているのを感じていました。
完全に再発してしまってからでは厄介なので、このタイミングで一旦弓道から離れようという結論に至りました。

まわりには残念に聞こえるかもしれませんが、私は良い判断だと思います。私は弓道が大好きなので、一生続けていきたいと思っています。
高校時代は深刻な早気に悩みながらも、共感してくれたり、アドバイスをくれる仲間がすぐそばにいました。そしてそれはつらい記憶ではなく、最高の思い出として私の中に残っています。私の青春だった弓道を、嫌いにはなりたくありません。
それに、私のことだからまたそのうち弓道欲がムラムラっと湧いてくるに違いないのです。そのときになったら、いくら気軽には通えなくても、どうにかして道場まで行ってしまいます。

いつまでも、抑えきれない衝動につき動かされる、楽しい人生を送るための選択のお話でした。


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