音楽におけるサブスク戦略に関して
音楽アーティストのSUKISHAさんはTuneCoreに委託していて年間約870万円のサブスク収益【ダウンロード収益も合計すると年間約一千万円】があるそうです。SUKISHAさんのSpotifyの月間リスナー数は9~12万人くらいなので、サブスク収益はそれくらいの月間リスナー数で年間約870万円になると計算すると良いと思います。
つまりSpotifyの月間リスナー数が1万人だと、単純計算でひと月だいたい6~8万円くらいのサブスク収益になると思われます。
もちろんこれはSpotifyからだけの収益ではなく、TuneCoreに委託していて複数(55以上)のプラットフォームからの収益の合計です。また、CDは廃盤になるとそれ以降はアーティストにCD収益は入って来ませんが、サブスクは、配信している限りは死ぬまでアーティストにサブスク収益が入ってきます。
一般的なCD売上分配例はレーベルコスト34%(音源・CD制作費、宣伝費、管理経費など)、流通手数料20%、CDショップ25%、著作権使用料【音楽出版社3%、作詞者1.5%、作曲者1.5%】、原盤印税【原盤制作者(レコード会社、音楽出版社、事務所)14%、アーティスト1%】
なので、仮に3,000円のCDアルバムが一年間に1万枚売れたら、全ての曲を自分(達)で作詞作曲しているアーティストは年間約120万円のCD収益になります。
サブスクのアーティストにとってのメリットは、超無名アーティストでも簡単に日本市場より圧倒的に大きい世界市場をターゲットにする事ができ、かつ、CDとは異なり高い(レコメンド機能やプレイリストによる)宣伝効果があるので、サブスクとYouTubeをうまく活用すれば、音源収益以外の収益【特にライブ収益とグッズ収益】を大幅に増やす事も可能だと思います。
また、サブスクによってサブスクが無かった時代よりも世界の音源収益全体は大きくなっていて【注1】、多くの国々ではサブスクが音楽市場規模拡大の原動力になっています。
CD時代には音楽を聴かなかった、或はあまり聴かなかった人々【特に、低所得層や途上国の人々】がサブスクによってよく音楽を聴くようになった結果、音源収益だけではなくサブスクの波及効果【ライブ収益やグッズ収益などが増える】も含めて音楽市場が拡大したのでしょうね。
サブスクの有料契約が増えるに越した事はないですが、日本の場合は無料コースでも、サブスクを普及させる事を考えた方が良いですね。
というのも、日本は音楽に無関心な人々がかなり多いといいますか、多くなった【注2】からです。
人気音楽ランキングのトップ50くらいに入っているような曲を聴いて素晴らしいと感じる曲が無い方でも、世界はもちろん日本国内にも様々なタイプの音楽が存在し、サブスクは世界中の様々なジャンルの音楽、有名アーティストはもちろん超無名のアーティスト、昔の曲も聴けるので、自分が気に入った音楽を必ず見つける事が出来ると思います。
私が音楽初心者にお薦めなのはSpotifyですね。SpotifyはUIが非常に使い易く、レコメンド機能の質も高いので、自分が良いと感じる曲、音楽を見つけ易いと思われるからです。
音楽好きの日本人が増えない事には、日本の音楽業界全体の収益は増えないでしょう。当りまえの事ですが、音楽に無関心な人々が音楽にお金を使うわけがないですからね。
音楽アーティストにとってサブスクの中で最も宣伝効果が高いのは、世界におけるシェアが最も大きく、かつ、レコメンド機能の質が高いSpotifyだと思います。Apple MusicやAmazon Musicが音楽を提供するサブスクであるのに対して、Spotifyは発見を提供するサブスクと言われていて、ライブに行く頻度が高いリスナーがサブスクの中で最も多いそうです。
また、Spotify for Artistsツールを使えば、リスナーの年齢、性別、所在地などの詳細データを取得できるので、マーケティング戦略に役立ちます。
Spotifyのアーティストページには、TwitterやInstagramやFacebookやグッズ販売やライブチケット販売のリンクを必ず貼るべきですね。また、詳細情報には英語と日本語で自己紹介文を記載し、アーティストページの上にはアーティスト【バンドやグループの場合はメンバー全員】の写真を貼っておいた方が良いです【注3】。
アーティストページに公式サイトやYouTubeチャンネルのリンクも貼れるようになれば、よりマネタイズし易くなると思うんですけどね。だから、TwitterやInstagramやFacebookに公式サイトやYouTubeチャンネルのリンクを貼っておいた方が良いと思います【注4】。
サブスクとYouTubeをセットでうまく活用すれば、それなり以上に実力のあるアーティストであれば、間違いなく収益を(大幅かどうかはアーティストの実力にもよりけりですが)増やせると思います。
※)この記事は、私の記事「音楽におけるYouTube戦略に関して」とセットの記事です。
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