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音楽におけるYouTube戦略に関して

 無名音楽アーティストが収入を大幅に増やすポイントは、YouTubeチャンネルをうまく活用する事だと思います。

あるインディーズ系バンド【注1】の方が、YouTubeのおかげで自分達は音楽活動を続けられている【YouTubeチャンネルをやるようになってから、ライブに来るお客さんが大幅に増え、かつ、グッズ収益も大幅に増えたそうです】と仰っていましたが、YouTubeをうまく活用すれば、アーティストの収益を大幅に増やす事も可能だと思います。

もちろん、それなり以上の音楽的実力【作曲・作詞能力、歌唱・演奏能力】がある事が前提条件ですが。

 また、その方はもっと若い時に宣伝の重要性を知っていれば良かったとも仰っていましたね。

私は邦ロックが好きですが、私の知らない邦ロックアーティストは恐らく星の数ほど存在し、ましてや世界のロックファンの殆どは邦ロックアーティストは殆ど知らないでしょう。また、国内外に潜在的な邦ロックファンは沢山存在すると思います。私自身、以前は邦ロックはあまり関心がなかったですからね。ゆえに、宣伝は非常に重要です。

 世界市場も意識して、特に宣伝効果が高いと思われるのはサブスクとYouTubeだと思います。ただ、ファン【ライブに行ったりグッズを購入するなどして、そのアーティストをサポートしたいと思う人々】を増やす上で圧倒的に効果が高いのはYouTubeだと思います。

アーティストにとって宣伝的には、サブスクは世界の人々に自分(達)の音楽を認知してもらい易いという点で効果が高いと思いますが、サブスクは世界中の音楽を無限に聴ける分、ある特定のアーティストのファンには成り難いといった欠点もあります。サブスクで、あるアーティストの曲を聴いて良いなと思っても、それだけではファンには成り難いですからね。

 ファンを増やすには音楽以外の付加価値【注2】も必要で、その音楽以外の付加価値をアピールする上で、YouTubeは非常に有効だと思います。

多くの音楽ファンは、いやいや、音楽は音楽そのものの価値だけで評価されるべきだと信じていると思いますが、実はそういった音楽ファンの殆ども、音楽を音楽以外の付加価値でも評価しているんですよね。典型的なのは、国内外の「人気度」【注3】や専門家(音楽評論家やミュージシャン)による「(この曲は素晴らしいといった)お墨付き【権威づけ】」という付加価値です。

もちろん、「人気度」は音楽そのものの価値から生まれてくる面もありますが、「人気度」から、より一層の人気が生まれてくる面もあります。「人気度」が高い曲であれば、多くの人々はその曲は価値が高いと思うでしょう【注4】。であるがゆえに、音楽ランキングの不正操作、ファンダムによる「人気度」を上げるための様々な工作活動も発生してきます【注5】。

それに、音楽は音楽そのものの価値だけで評価されるべきだと主張している人々も、あるアーティストが社会的に問題な言動を行うと、そのアーティストの曲を大したことないと言ったりしますからね。そんなものですよ。殆どの人々は自覚していないだけで、音楽をその音楽以外の価値によっても評価しています。

YouTubeでの宣伝に関して

 ステミレイツや0.1gの誤算のようにバラエティ度の高いYouTube動画を制作して、知名度や人気度を上げるのも一つの有効な方法だとは思います。

しかし、動画の再生回数は多いに越したことはないけど、再生回数を増やす事は相当に難しいので、音楽活動よりもYouTube活動の方がメインになりかねないので、MV【ライブMVも含む】以外の動画は、インタビュー系【注6】、カバー系【演奏力のアピールにもなる】、遠征ライブに行った先の食べ歩き系、トーク生配信系の動画など、音楽活動に支障が出ない程度の動画作成で良いと思います。

YouTubeを活用してファンを増やす上で最も重要なポイントは「親近感(親しみやすさ)」だと思います。

再生回数は少なくても、定期的に音楽関連がテーマ【テーマが思いつかない場合は、視聴者から募集すれば良いと思います】のトーク系の生配信【例えば、一ヶ月に一回以上。1~2時間くらいの尺。メンバーが複数人いれば、それぞれの回、交代で一人づつの生配信】を行った方が良いと思います。生配信だとスパチャがもらえるし、親近感が生まれファンが増え易いし、編集の手間が省けるからです。

YouTube動画の概要欄には、必ずグッズの販売先のリンクを貼っておいた方が良いです。世界の音楽市場ではグッズの収益が伸びていますし、有名アーティストでもない限り、グッズ収益はアーティストにとってかなり重要な収入源でしょうから、オリジナルグッズのオンライン販売には力を入れた方が良いです。

動画【MVはもちろんのこと、出来ればMV以外の動画も】に英語字幕を付けたり、海外の人々もグッズを買い易くするなどして、世界市場もターゲットにした方が断然良いですね。日本の人口は約1億2千万人ですが、世界の人口は約80億5千万人ですからね。誤解なきよう言っておくと、音楽性を世界の流行に合わせるべしといった意味ではありません。

前述のような事をすれば、音楽アーティストとしてある程度以上の実力【ワンマンライブを見に来たお客さんの8~9割以上を満足させる事ができる】があれば、音源収益、DVD等の映像コンテンツ収益、グッズ収益、コンサート収益、カラオケ等の著作権料収益、ファンクラブ収益、YouTubeチャンネル収益などを全体として大幅に増やす事も可能だと思います。

 ネットが無かった時代は、音楽アーティストはそれなりに実力があっても、大手のレーベルや事務所に所属していたり、大きな幸運に恵まれていないと稼げませんでしたが、今の時代は、ある程度以上の実力があれば、サブスクやSNS【YouTube、TikTok、Twitter、Facebook、Instagramなど】をうまく活用すれば、そこそこ以上の収益が得られる時代だと思います。

【注1】‥そのアーティストの方の話だと、インディーズ系バンドの99%はバンド活動の収入よりも出費の方が多いそうです。その方は今は黒字だそうです。

【注2】‥主にそのアーティストの人間的魅力【キャラクターの面白さや音楽に対する姿勢や考え方など】。

【注3】‥BillboardのランキングやiTunesダウンロードランキングやYouTubeのMVの再生回数やサブスクのランキングなど。

【注4】‥私も基本的にはそう思っています。但し、「人気度」が低い曲が単純に価値が低いとは思っていません。「人気度」が低い曲は価値が低いとすると、実験的な曲やマニアックな曲や人気は低いけど独創的な(面白い)曲を否定する事になり、それは音楽文化の発展にとってマイナスだと思うからです。

【注5】‥例えば「大好きなアーティストを1位に ストリーミング回数を操作する熱狂的ファンたち」という記事を参照。

【注6】‥どういった哲学や考え方で音楽を作っているのか、アイドルであれば、どういった目的・目標や考え方で表現活動をやっているのかといった感じ。要は、音楽雑誌のインタビュー記事で語っているような内容の動画。

※)この記事は、私の記事「音楽におけるサブスク戦略に関して」とセットの記事です。

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