見出し画像

あまりにも沢山の

あまりにも沢山の別れがあったのだ。
抱えきれないほどの。

ひとつひとつの重みも重かった。
そしてあまりにも一気に失ったのだ。

そのことから逃げ続けた。
つかまったら足が止まる。
足が止まったら
そこには絶望しかなかったから。

遠くまで逃げた。
多くを失くしてから
もうすぐ1年が経つ。

神様。みんな。
わたしは生きのびました。
1年何とか生きていました。

夫とふたり
もがいてもがいて
泣いて笑って、また泣いて
苦しみ文句を言い、怒り
上手くいったとお酒を呑み
頭痛を抱えながら、台詞を覚え
そんな私のために
夫はどんどん家事が出来るようになってくれて

そんな1年でした。
お母さん。
あなたがいなくなってから
もうすぐ1年が経ちます。

演劇はつっかえ棒でした。
わたしの。
1年忙しくて、お母さんのことを
なるべく考えないでいるための
つっかえ棒でした。
十分以上にわたしを支えてくれました。

介護の仕事も相変わらず
理想を捨てずに
だから苦しくて
でもやっぱり今までと同じように
やっています。
その場所が
わたしの心の故郷であることを
お母さんは知っていますね。

何も変わりません。
変えません。
あの頃と同じように。

同じ過ぎて、苦しくなる時があるんです。
自分で選んでいるのに
同じ景色に
あなたがいないことが
耐えられなくなる。

耐えられない。
それほど愛して、ひとを。
明日からも生きていきます。
それはきっと
とても幸せなことだと思うから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?