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ときどき日記(523)今村翔吾「八本目の槍」琴線に触れた

今村翔吾先生は、人類の恒久平和を願っていらっしゃるし、人間の弱さみたいな事もなんでもご存じだとしか思えません。心配ないよみんなそうだからと支えてもくれました。

○この非凡な吏僚には唯一の欠点がある。己を決して曲げないということである。なまじ賢しいからこそ、他人の論の破綻をすぐに見抜く。概してそれは「正しい」のだが、排されたほうにはしこりが残る。人とは正誤の生き物ではないのだ。そこで生まれる軋み・・・

○百年後、千年後と言われても確かめる術もない。そして人は、今日を噛み締めて生きるだけで精一杯の生き物なのだ。

○では武士はどうだ。何を生む。五十石を食い散らかすだけの一生だ。いや米を刀槍、具足、馬に変え、その数倍も浪費する

○即刻、日ノ本にいる全ての武士が矛を収めれば全ては終わる

○食を生む百姓、物を生む職人、それらを隅々まで行き渡らせる商人、これらを徹底的に増やす。武士から転じたい者には金を貸して助ける。また子を産むことを奨励する。一人産めば十石、十二歳まで育てればさらに十石、齢三十を迎えればさらに十石。先刻申したように、それでも元が取れる

○人中にあって武家だけは、異形の生き物であると思わざるを得ない。国を守るには役立つかもしれぬが、増えすぎると災厄を招く

○仕掛けた側の心にも暗い翳(かげ)を落とすこと。罪悪の心と言うべきか。これがお主の心を蝕んでいるものだと思っている・・・同じように幻覚、幻聴に悩まされ、自ら命を絶った者もいる

○開墾、商い、学問、物作りなど、女の中にも様々な才を持っている者がおり、それらを活かせる世を作らねば、この国はいずれ恐ろしい停滞に陥ると佐吉は言った。・・・「才があるならば、国の政を執る女がいてもよい」

○戦が絶え安寧の時代が来れば、石高は凄まじい速さで跳ね上がり、人の数もあっという間に増えることになる

○力で頂に立てば、いつか必ずその座から滑り落ちる

○たとえ己が生きていない世だとしても、己の『家』が潰れて欲しいと望む者はいまい

○兵を持たなければ警戒されることもない

○己も夜に一人で酒を呑んでいて、ふっと涙が零れる時がある。それは我が人生を振り返った時、置き去りにしてきたものが、余りに多くなっていると気付くからかもしれない
 

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