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阪神・淡路大震災の避難所(8)神戸市職員のぼやき「我々も同じ被災者だ」

グランドでの配給もおおむね終わってしまうと、今度はボラが残った品物を校門の外へ持ち出し、たたき売りのようなことを始める。大声で呼び込みをするのだ。さっきのロッテンマイヤーも大声を張り上げるが、道行く人々の視線は冷たい。神戸市の数字の読みの甘さには困ったものだ。
 
7時頃引き上げる。
 
この後は、配給された弁当での夕食だ。午前1時に調理された(詰められた)弁当(一品一品はもっと前に仕込まれているはずだ)なので当然冷え切り硬い。我々は未だ若くて短期間だから良いが、避難民のことを思うと憤りを感じる。(闇で5階に電子レンジが置いてあることを知り、途中から電子レンジに弁当をかけてから食べることを覚えた。各フロアーに1個で良いから電子レンジがあればかなり食生活は改善されることと思う。)
 
10時消灯
 
我々に毛布は1人当たり5~6枚の見当で部屋に用意してあった。教室でもあり、またこのほかにも寝袋が用意されていたので、寒いどころか暑いくらいだった。被災者に申し訳ないほど極楽極楽。
 
「神戸市職員のぼやき」
 
ある晩に、神戸市職員の一人が我々の部屋を訪ねてくれた。そこで貴重な話を数々聞けた。次のような認識があるようだ。
 
キーワード「我々も同じ被災者だ」
 
仕事に来れば被災者から「ボケ」「アホ」と罵られ、家庭に帰れば一家離散状態。俺だって被災者だ。
 
その職員は2馬力で、奥さんは看護婦さん。夫は避難所で仕事。奥さんは病院。子どもの世話もできず一家離散状態。
 
キーワード「年度末手当てがあやしい」
 
この震災で財政が逼迫し、年度末手当てが出ないかもしれないとのうわさ。
 
(つづく)

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