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【1982】ソフト・エネルギーとは、風力、水力、海洋、バイオマス、太陽熱、太陽光線、地熱、水素などの更新可能な、永久エネルギーをいい、エネルギー自体は、自然のものを利用するので、金銭は全くかからない。

【1982年の卒論回顧】代替エネルギー開発におけるソフト・エネルギー・パス理論の有効性(9)
 
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2 ソフト・エネルギー供給のコスト
 
 ソフト・エネルギーとは、風力、水力、海洋、バイオマス、太陽熱、太陽光線、地熱、水素などの更新可能な、永久エネルギーをいい、エネルギー自体は、自然のものを利用するので、金銭は全くかからない。
 ところが、そのソフト・エネルギーを抽出するシステムに、相当なコストがかかると言われている。
 しかし、風力・水力に関する機械的動力は発電よりも効率よく用いられるにもかかわらず、風力・水力システムに関する最近のデータは発電に関するものであるということも考慮せねばならない。
 水力の発電原価は長期的には安定しているが、初期原価が割高なものになり、開発を促進するうえで経済性と見合わない。特に中小水力地点ほどスケール・メリットがないため、この影響がおおきい。
 
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 また、風力の例として、風力発電を見ると、東京電力の20アンペア契約における1キロワットの使用料が540円であるのに対して、カリフォルニアのロッキード社の風力発電システムは、475円ないし531円/KW-h(注24)となる。他方、ニューイングランドのある会社のシステムでは、753円/KW-h(注25)となる。
 太陽熱利用については、現実に商業ベースで高温の熱を得られる製品が出ている。
 
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 たとえば、ポリエステル製の選択透過膜という製品は、これを使用することによって、寒冷地の曇天の日でも350度から550度の熱を得ることができる。その価格は、石油の熱換算で考えて、1バレル当たりの熱量に対して4500円から5500円(注27)というところになり、この設備に必要な材料は1平方メートル当たり900円から1100円(注28)くらいで市販されている。
 逆に、太陽電池においては、太陽電池価格が著しく高く(1ワット当たり数千円)(注29)、通常の電力供給を行う場合には、発電コストが既存の電力に比べ著しく割高となっており、さらには、太陽電池を住宅、ビル、工場などの汎用的な用途に利用するためのシステム技術が未確立である。
 ただし、太陽電池のコストの低価格化の見通しはついている。〔表Ⅱ-1、図Ⅱ-1参照〕
 
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 また、一般的なソフト・テクノロジーのコストに関しては、非常によく設計された効率の良いシステムを使ったなら、合成燃料の工場を作るのと比べて2分の1から3分の1(注30)ですむことが判明している。さらにソフト・テクノロジーは、ハード・テクノロジーに比較して資本コストも運転資金も安いことが分っている。ただし、コスト効率と規模との相乗効果が最も高いものを選択せねばならない。
 
(つづく)マガジン「ソフト・エネルギー・パス理論の有効性」に編綴

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