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阪神・淡路大震災の避難所(2)「ジロジロ見るな」「立ち止まるな」

血が騒いだ
 
震災発生後、なぜか血が騒いだ。何かをしたい、役に立ちたいと・・・。自己満足だと思うが、その欲望を満たしたかった。
 
最初、体ひとつで現地へ行こうとも思ったが、あらかじめニーズを確認してからの方がよりいっそうの効果があるかと思い、○○県のボラ協、○○市等あちこちへ電話をして現地へ入るためのルートを探した。
 
しかし「現地に宿泊先が確保できない」「報道でボランティアの呼びかけがだいぶされているので、人数は足りているし、長期で入ってもらいたい」ということで、登録をするにとどまり、待たされることとなった。でも、待てど暮らせど誰も呼んでくれない。
 
2月の中頃「○○支部で支援を決定する」とビラで呼びかけがあり、即決した。募集内容では、2泊3日のサイクルで何回かの募集があったが、たった3日では価値がないと思い月曜日から金曜日までの5日間で行けるかどうかこちらから直談判して、特別に5日間を認めてもらった。
 
こうして、妻や職場そして組合にまで多大な迷惑をかけ、自分のわがままを押し通しながらも何とか神戸へ行くことができましたことを感謝し旅立ちました。
 
2月26日(日)「出発」
 
○○駅バスターミナル発22時30分、阪神甲子園行(本来は三ノ宮行きだが)の夜行バス「○○号」に乗車し、一路神戸へ向かう。
 
2月27日(月)「避難所まで」
 
朝5時頃目が覚めて外を眺めるが、倒壊した家屋はほとんど見当たらない。道路は神戸方面へ向かう車で大渋滞で警察が多数出動し、交通規制をしている。別に事故が起こったわけではないが、いまだ緊迫感は消えていない。
 
予定より若干の遅れで阪神甲子園駅に到着する。倒壊した家屋も未だに目に付かず被災地感がない。
 
三ノ宮駅までの切符を購入する。報道でご存じのとおり、阪神電鉄も御影~岩屋間で不通となっており、シャトルバスに乗ることになる。
 
駅の時刻表は張り紙がしてあり、暫定の運行ダイヤとなっているようだ。
 
電車の中は未だ7時前のせいなのか乗客もまばらで、どこでも見かける通勤風景と余り変わりがない。しかし、乗車して数分もすると倒壊した家屋が目立ち始める。車窓から見える風景はテレビで見ていた風景そのもので愕然とする。火災のあと、がれき、あたかも地面に置いてある様なお寺の屋根・・・。
 
御影駅でいったん下車。シャトルバス乗り場へ向かう。ここへ来て初めて被災地らしいところへ降り立ったことになる。地面に降りて眺める被災地の状況は車窓から眺める被災地の状況とは違ったものがあり、「ジロジロ見るな」「立ち止まるな」などの看板が目に付く。ここから眺められるものは住民の苦悩や憤り、世の不条理など命の叫び、ハンマーでひっぱたかれたようで心が痛い。
 
(つづく)

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