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「服用中の薬について知っておこう~添付文書~(2)」

前回に引き続き,添付文書に記載してある内容について解説します。
「8. 重要な基本的注意」には,重大な副作用が起こらないようにするためにはどうしたら良いか,あるいはもし起こった場合はどうするべきかなど,対応策や処置について説明しています。ここは専門的な内容が多いので分かり難いかもしれませんが,もし気になることがあったら,医師・薬剤師に問い合わせましょう。
「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」には「4. 効能又は効果」に載っているもの以外の病気や症状を併発している人や,妊婦,授乳婦,小児,高齢者の皆さん,あるいは過去に特別な病気に罹ったことがある人にとって注意すべきことがある場合に,その内容を記載しています。したがって,もし上記に該当する方は,自分にとって何か注意すべきことがあるのかどうかを確認することができます。
「10. 相互作用」について: 相互作用とは,他の薬と併用することで両方の薬あるいは片方の薬の効果が強くなったり弱くなったり,または副作用が強くなったり,新たな副作用が発現したりすることを意味しています。よって,併用してはいけない薬がある場合は「10.1 併用禁忌」の項に,注意して慎重に併用する必要がある薬は「10.2 併用注意」の項に記載してあります。また,相互作用を起こす飲み物や食べ物を記載している場合もあります。記載は一般的に表形式で,相互作用を起こす物,その相互作用で生じる症状や処置方法,相互作用の専門的説明(機序・危険因子など)がまとまっています。専門的な説明については,もし分かり難い場合は無視しても良いですが,前者2つの情報(下線部)は知っておく必要があります。なお「10.1 併用禁忌」に載っている内容は前出の「2. 禁忌」にも記載してあります。
「11. 副作用」には「11.1 重大な副作用」と「11.2 その他の副作用」を分けて記載しています。重大な副作用は,起こると大事に至ることがあるもので,それがどれくらいの頻度で発現するかや,発現までの期間,予防策,発現する可能性を高める要因など,現時点で分かっている情報を記載しています。いっぽう,その他の副作用は,発現する部位(消化管,肝臓,血液,泌尿器など)ごとに分け,発現する症状を記載しています。また,それらが発現する大まかな頻度も表示しています。 ただ,ここに記載してある副作用は,添付文書を作成した時までの情報にもとづいているので,ここに載っていない副作用が新たに起こる可能性はあります。もし,気になる症状が発現したら,ここに載っているかいないかに関わらず,医師または薬剤師に相談することをお勧めします。
「12. 臨床検査結果に及ぼす影響」には,薬を使用した後で血液検査などの臨床検査値が変動することがあり,しかし,その変動がからだの臓器やその機能を害するものではない程度のものについて記載しています。ここの内容は医療者向けの情報なので,あまり気にすることはないでしょう。
「13. 過量投与」には,薬を大量に使用した際に出現する中毒症状やその処置方法が載っています。とは言え,そのような情報は,自殺目的あるいは誤って薬を大量に使用したといった事故が起きた場合に入手できるものですから,この項目が載っている添付文書は少ないでしょう。
「14. 適用上の注意」には,医師が患者さんに使用するときに注意すること,薬剤師が調剤する際に注意すること,あるいは患者さんが使用するときに注意することを,必要に応じて記載しています。注射剤や特殊な薬を除き,ほとんどが常識に近いような内容です。
「15. その他の注意」には,「臨床使用に基づく情報」や「非臨床試験に基づく情報」で,添付文書の他の箇所には載せていない重要な情報があれば,それを記載しています。前者はヒトでの安全性や有効性に関して注意しておいたほうがよいかもしれない情報,後者は動物に投与した時に認めた毒性(副作用)で,ヒトではまだ発現していないが,注意しておいたほうがよいものについての情報です。
このあとの内容は「服用中の薬について知っておこう~添付文書~(3)」に続きます。

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