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日記4/7 「ベルセルク」とナンセンスの話


 最近、漫画「ベルセルク」の14巻まで無料キャンペーンがあったので読んだ。(現在は終了して、一日一話読める)


ベルセルク - 三浦建太郎 | ヤングアニマルWeb (younganimal.com)

「ベルセルク」ヤングアニマルWebで1~12巻と14巻が無料に、13巻は会員限定で公開 - コミックナタリー (natalie.mu)

 ダークファンタジーな漫画とは何かと問われれば、皆がコレと指す。
 残忍さ、エログロさ、報われなさ、バイオレンスさ……
 それら一つに纏め上げながら、色物でなく高尚な物語へと纏め上げる表現力。

 今の読者は、第一部とも言うべき14巻までが既刊なので一気読みできる

 しかし連載を追っていた過去の読者は、丁寧かつ濃密な世界観ゆえに、次の話を今か今かと待ち続ける辛さを味わっていたわけだから、それもまた残酷な話だと同情する。


 14巻刊行は1997年9月。
 なので私はベルセルクを読むたび、1998年以降にこの漫画に出会えてよかったと思っている。

 この漫画を1989年連載開始と考えると、以前に公開された作品(グイン・サーガヘルレイザー)の影響を創造する。
 そしてこれ以後に公開されたダークファンタジー作品(ブラッドボーンなど)の関連を推測する。
 平沢進の音楽とのマッチングで更なる独自の世界観を生み出したアニメ版も見たくなる。

 本題に入ろう。


 ダークファンタジーは、このブログのテーマであるナンセンスとは正反対であり、紙一重である。

 馬鹿みたいなミスで災難に会う。
 笑ってしまうような出来事が読者の心をゾクリと冷やしていく。
 この説明だと、まだ分かりにくいかもしれないから実例をあげてみる。

 私はよく、有象無象の悪魔の登場するダークファンタジーを語るときに、画家のブリューゲルヒエロニムス・ボスを例に出す。いずれもベルセルクと同じく北欧神話の影響を受けた、16世紀オランダの画家たちだ。


 ブリューゲルは上画像の「バベルの塔」が日本で一番な作家だ。
 しかしドイツの民話やキリスト教に関する絵画を多く描いている。
 例えばコレ。


叛逆天使の墜落 (ブリューゲル) - Wikipedia

 百鬼夜行絵巻さながら、色んな怪物や堕天使が入りまじる絵。
 時としてコミカルでナンセンスだし、けれど悪夢的でもある。
 「ボボボーボ・ボーボボ」に登場する一発ギャグのキャラでもあるし、「進撃の巨人」に登場する人間に似ていながらおぞましい巨人たちのようでもある。

 絵画以外で例えるなら「不思議の国のアリス」の言葉遊びが、時に言葉の通じない恐怖へと変わることもある。
 道化師のピエロを怖がる子供も、誰もいない遊園地が不気味なのも、奇妙という概念には滑稽さと不気味さの2つが混じっているからに他ならない。
 2024年4月現在だと「呪術廻戦」が最たる例だ。



 (いや、よく見たら似てるようでそんなことないかも)


 ともかく大事なのは、その「奇妙」という題材を扱う際に、作者がそれをどうやって表現するかだろう。
 これはボケだと見せれば、罠にまんまと引っかかるキャラを読者は「馬鹿だw」と笑い飛ばせる。
 シリアスだと見せれば、罠と分かっていても引っかかるキャラの悲劇に人間らしさとカタルシスを生み出せる。

 私がこんな真面目ぶった堅苦しい文体で、その実指の動くままに書いているから手直しも深い洞察もしていないで偉ぶってるだけだというのも、きっと読者には伝わっている。だから、ナンセンスだと思わせられる。

 もしナンセンスでなく、良い考察記事だなんて思われたら、それはそれで悪い気がしないので、そう思わせたままでもいい。


 それでも私のナンセンスはあまりにも酷すぎた。
 長く
 難しく
 読みづらく
 そして大雑把すぎた。
 
 それはまさに駄文だった。

 と名言をパロったところで、文章を畳む。
 いつかもう少し、「ベルセルク」のダークさに負けないナンセンスが作れるよう心に誓いながら。 


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