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ストーリー「豪雨の予感」

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水害被害ストーリー「豪雨の予感」の連載を始めました。実際の水害被害インタビューを通して分かってきた教訓やエピソードを織り交ぜた物語です。できるだけ実在する名称を使用して、水害被害…
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#豪雨

「豪雨の予感」第25話(水害被害ストーリー)

「豪雨の予感」第25話(水害被害ストーリー)

「そっか、よかった。雨止んで電車動くまでは学校おりや、そこの学校が一番安全やから」
「うん、毎朝前髪乱して通うだけのことはあった」
「災害はいつ起きるかわからんからな。うん、大阪の町が海の下やった何千年も前から上町台地は陸地やったんやから、豪雨くらいでは冠水しないはずやで、そこいたら大丈夫」
「うん、それよりもお母さんと健斗が心配やわ」
「うん、これからどれくらいの降るかわからんけど、在宅避難する

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「豪雨の予感」第23話(水害被害ストーリー)

「豪雨の予感」第23話(水害被害ストーリー)

「健斗は今ごろ小学校かな…やけど大雨警報出てるし休校??…てことは今家で一人??…いやまてよこれだけの豪雨やから母はリモート勤務なんかも…てことは二人で家におんのかな??父は災害救助で現場バタバタなんやろうな…え、まって!うちって川の横やん、もし川が溢れたら大変なんちゃうん!もしもやで、もしも流されたりしたら、うち帰るところなくなるやん!え、ちょっとどうしよ」

正面を向いて呟いている愛子の独り言

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「豪雨の予感」第22話(水害被害ストーリー)

「豪雨の予感」第22話(水害被害ストーリー)

愛子は佳奈の話しを聞きながら窓の外から微かに見える内堀を凝視していた。その内堀の手前にあるランニングコースの茶色い地面に、茶色く濁った堀の水が溢れ出ているようにもみえる。

「うちのメガネ使ってみて、はい」
佳奈は愛子のメガネを借りて外を見た。裸眼だけでは見えてなかった豪雨の景色が目の前に現れてきた。
「え、こんななってたん!めっちゃ雨降ってるやん!あ、ほんまや、堀の水溢れそうになってる。もう溢れ

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「豪雨の予感」第20話(自然への畏怖)

「豪雨の予感」第20話(自然への畏怖)

靴下を履き替え、上履きで3階の同じ教室に着いた愛子と佳奈は窓から見える外の景色にたじろいた。

いつもは大阪城天守閣と堀の石垣にクスノキの緑が映えるきれいな景色であるが、今日は“嵐に包まれた暗黒の世界”に天守閣がうっすらと浮かび上がっている。愛子が学校に着いた後さらに雨足は激しくなり時折雷鳴も響いている。

ドドン、バリバリバリバリバリ

「また落ちた!あーもう怖すぎ!さぶいぼが今までいち立ちまく

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