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ストーリー「豪雨の予感」

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水害被害ストーリー「豪雨の予感」の連載を始めました。実際の水害被害インタビューを通して分かってきた教訓やエピソードを織り交ぜた物語です。できるだけ実在する名称を使用して、水害被害…
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2023年8月の記事一覧

「豪雨の予感」第17話(想定量を超える豪雨と垂直避難)

「豪雨の予感」第17話(想定量を超える豪雨と垂直避難)

大阪府での短時間(60分)降雨はこれまで最大でも80mm/h程度だったものが、近年100mm/h前後もしくは110mm/hに迫る豪雨が発生するようになっている。ところが大阪府は“短時間降雨65mm/hに対して床上浸水を防ぐ”ことを「当面の目標」としていて、「将来目標」の短時間降雨量でも80mm/hとしている。今回の120mm/hを超える豪雨が今後も数時間続くであろう状況に直面していることで、これか

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「豪雨の予感」第16話(記録的短時間大雨情報)

「豪雨の予感」第16話(記録的短時間大雨情報)

気象予報士の松前はこれまでみたことないような心配と焦りの表情で解説を続けた。

「…さらに気象庁は、大阪府北部及び東部で猛烈な雨が降っているとして“記録的短時間大雨情報”を発表しました。この情報が発表されるのは今年全国で5回目、大阪市では初めてです。午前9時半までの1時間に雨量計の観測で大阪府気象観測所では121ミリ、寝屋川工営所(大阪市城東区)で115ミリ、平野区で107ミリ、吹田市、東大阪市、

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「豪雨の予感」第15話(水没防止カバーでくるまを守る)

「豪雨の予感」第15話(水没防止カバーでくるまを守る)

みおがくるまの水害対策カバーを購入する際にポイントにしたのは次の点だった。

・女性が持ち運べる重さとコンパクト
・装着方法がシンプル、装着にかかる時間は5分以内
・繰り返し使っても底面に穴が開きにくい
・夜や風や雨があっても装着に困らない
・水に浸かっても2日間浸水しない

みおが使っているカバーは10万円ほどするが、高価なくるまをしっかりと守ってくれるのであれば問題はない。またみおが使っている

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「豪雨の予感」第14話(内水氾濫の発生とくるまの水没対策)

「豪雨の予感」第14話(内水氾濫の発生とくるまの水没対策)

警報から1時間半ほど経ったころに健斗が帰ってきた。大雨洪水警報が発令されたため学校は休校である、時刻は10時をまわったころだ、少し豪雨がおさまった隙に急いで走ってきたという。

「ただいま!」
「健斗おかえり、帰り道雨大丈夫やった?」
「朝に比べると少し弱まってるけどまだ結構降ってる。通学路はこれくらい水に浸かってた。」

健斗は自分の脛あたりを指差してみおの顔を見た。みおがそれを認めたと分かると

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「豪雨の予感」第13話(備蓄品の確認と避難準備)

「豪雨の予感」第13話(備蓄品の確認と避難準備)

「西岡さん、お疲れさまです。ご心配いただいてありがとうございます。承知しました、安全確保に努めます。避難などの進捗はまた報告します。」

窓の外の豪雨は和らぐ気配がないどころか一層激しくなってきている。西岡以外から着信のないLINEをみながら、みおは家族のことが心配になってきた。

「みんな大丈夫なんかな、、連絡くらいくれたらいいのに」

みおはパソコンの電源をつけたままにして避難の準備をはじめた

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