「豪雨の予感」第13話(備蓄品の確認と避難準備)
「西岡さん、お疲れさまです。ご心配いただいてありがとうございます。承知しました、安全確保に努めます。避難などの進捗はまた報告します。」
窓の外の豪雨は和らぐ気配がないどころか一層激しくなってきている。西岡以外から着信のないLINEをみながら、みおは家族のことが心配になってきた。
「みんな大丈夫なんかな、、連絡くらいくれたらいいのに」
みおはパソコンの電源をつけたままにして避難の準備をはじめた。今の段階ではいつどんな連絡手段が必要になるかわからないし、一旦避難すると情報収集はどうしてもスマホ頼みになる。自宅にいる間はできるだけパソコンで情報を取りスマホ電源は消費しないようにしておくことにしていた。
あらかじめ避難用リュックにセットしていたペットボトルの水と携帯用トイレ、非常食、保温のためのシートとカイロ、新聞紙や手袋など、懐中電灯とラジオと乾電池、携帯用バッテリーの充電を確認した。さらにスマホ用充電ケーブルをリュックに入れた。通常なら3日分のスマホ電源になるだろうが、なるべく1週間はもたせたい。停電でも1週間の調理はできるようにとカセットコンロとボンベ20本ほどはキッチンにおいている。
被災用の備蓄品は一般的に3日から1週間分を備蓄をしておくようにと言われている。しかしみおは高校一年の震災被災とその避難生活が辛かった経験もあり3週間分の水と非常食を備蓄している。備えがなければ自治体での備蓄品や全国からの支援物資をあてにしなければいけないが、支援物資が現地に届いても混乱の中いつ手元に届くかわからないしその時必要なものが必ずしも届くわけでもない。ましてや避難所での生活はプラベートがほとんどなく落ち着いて休むこともできないため、生活するにしても数日が限界である。もし災害後も自宅が残っていて、備蓄があれば自宅に戻って生活を再開することもできる。それを考えると備蓄はどれだけあっても困ることはない。
ただ電気などのインフラは復旧メドの予測がつかない。大規模でなければ災害から1週間見ておけば大抵は復旧するだろう。数日の避難所生活の後自宅に戻ってインフラが再開するまでの数日間は自助で電気・ガス・水道を確保できると、ストレスは大幅に軽くなる。例えば電気自動車から電源を確保できることは以外に知られていない。給電口から“パワームーバー”と呼ばれる専用の給電器を使って給電をうける方法や、予めコンセントが付いている車種であればそのまま電気をつかうことができる。キャンプでも使えるし災害時の備えとしても使えることで関心が集まってきている。電気自動車一台からでも炊飯器や扇風機など同時に使用しても2、3日は使えるため災害復旧段階での生活ストレスは格段に改善される。
それに震災を経験したみおは必ず枕元にスニーカーとホイッスルを置いて寝るようにしている。瓦礫から見つけだしてくれたのは本当に幸運だったし、もしあのときホイッスルがあれば、大声を出さなくても助けを呼べるし、災害救助犬はホイッスルの音に反応するように躾けられているからである。
第14話に続く
(このストーリーはフィクションです。一部実在する名称を使用しています)
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