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総務DXが推進できない原因は何か。DX推進人材に必要な知識とDX推進のプロセスは?

DX推進のお話を始めるにあたって最初に1つお聞きします。身近に感じるDXはありますか?なんでもいいんです。日頃の生活の中になんとなくあるDXを探してみてください。

「大昔なら電話をかけていたのがSNSを使って連絡をとるようになった」

これもずいぶん前にDXされた身近な一例です。

他にも「予約」はDXされましたね。例えば旅行やホテルの予約、飛行機や新幹線の予約、飲食店の予約、病院の予約もあります。「予約」のDXはいろいろと増えてさらに広がってます。

ここでひとつ大事なことは「DXで便利になった」ということです。総務DXで便利になりたいけどなれない。どうすればDXを推進していけるのかについてご説明させていただきます。

総務DXを推進したいのはなぜ?DXの目的の再確認

総務DXを推進したい目的を確認していきましょう。その前にDXに取り組むことはできていますか。DXの取り組みには企業規模によっての格差があるとのことです。

DXに取り組みに関するアンケートでアンケート結果では以下のような結果が出たようです。

1984社の中で取り組めている企業 41.2%
100名以下で29.2%
200名以下で35.2%
1001名以上では77.6%

【出典】独立行政法人 情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査」

企業規模による格差については取り組むことができる担当社員が出せるかどうかが大きいと思います。それでも100名以下の企業でも約30%は取り組めているので決して高いハードルではありません。

取り組むための目的をまず明確にすることでチームをつくりスタートすることができます。

DXの目的とは何か。大きく分けると現状の業務を効率化することこれまでのやり方や文化を変革することとなります。

前者は便利になったり短時間でできるようになったりすることであり後者はテレワークやオンライン会議を始めることなどです。目的を明らかにすることで実現に近づいていけます。

取り組めていない場合も取り組んでいるが推進できていない場合も、まず目的をはっきりさせましょう。

また目的の中でもできるだけ達成しやすいものからはじめることが大事です。小さなことが積み重なることで大きなことにつながっていきます。

推進活動のことを知っているのは誰?社内共有できていますか

推進活動が進まない大きな理由として推進チームの孤立があります。そもそも社内でDX推進活動が行われていることを共有できていない状況で社内協力してもらえるはずがありません。

そんな状況で推進することは不可能です。なので必ず推進活動を共有しましょう。目的をはっきりさせてわかりやすい内容からで構いません。

とにかく全社員がDXを推進しようとしていることを共有しましょう。その上で協力してもらえるように社内に発信していきます。

例えばコロナの感染が広がる中で社員の感染リスクを下げるため社内クラスターを発生させないためにテレワークができるようにする。そのためにテレワークでできることとできないことをリストアップしたい。

またテレワークの中でも名刺を頼むにはどうすればよいかとか現金精算をするにはどうすればよいかなど理由を共有することで必要となることを社内から集めやすくなります。推進させるために共有しましょう。

ではどうやって共有していくか。例えば定期的に勉強会を実施することです。それも毎週など間隔を大きく開けない、必ず行う、メンバーの出席率は高いままで継続させます。

他社の事例などの情報収集やデジタル研修を受けるなどです。経営層の定例会、一般社員向けの情報発信、DX推進メンバーの学習など全社で活動しどんどん共有し経営層から一般社員まで意識が揃うのが理想です。

理想のDX推進人材とは

DXの成果が出ている企業と出ていない企業ではどんな違いがあるのでしょうか。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構 以下IPAとする)の調査では、このようにまとめられています。

①成果が出ていない、あるいは取り組んでいない企業群では”内向き問題”(危機感の浸透や変革に対する社内の抵抗、社内人材の育成など)を課題とするケースが多いが、成果を出している企業群においては”外向き問題”(連携先とのWinWin関係、DX人材の社外からの獲得)が多く見られるのが特徴。

②既存システムの改修負担、プロジェクト開始時のリスクテイク判断を課題としているのも成果あり企業群の特徴であり、実行により切実に実感している様子がうかがえる。

成果が出てないことでの悩みと成果を増やしたいことでの悩みではレベルが全く違います。この調査から考えられることは内向き問題をどのようにクリアしていけるかが重要だということになります。

内向き問題の解決ができる人材がまずは必要になります。理想のDX推進リーダーは強い信念をもって経営者も社員も巻き込みながら具体的に推進できる人材になります。企業規模によって社員がリーダーになることも経営者がリーダーになることもあります。

DX推進といってもITやデジタルの知見をもつ人材だけで推進できるわけではありません。社内を巻き込み、さらには社外の力も利用していくバイタリティーが必要です。

同じくIPAの調査ではDXに対応する人材においては、自ら解決すべき課題を設定することや主体性・好奇心などの適性が重要であるとしています。さらには下記の6つに分けて適正を仮説しています。

A.不確実な未来への創造力
・取り組むべき領域を自ら定め、新分野への取り組みをいとわず、ありたい未来を描いてそれに向かって挑戦する姿勢
・課題設定力

B.臨機応変/柔軟な対応力
・計画通りのマネジメントではなく、外部の状況変化を踏まえ方向転換し、目標に見失わずに進めていく姿勢
・当初の計画にこだわりすぎな

C.社外や異種の巻き込み力
・対立するメンバー巻き込むだけでなく、外部とも交わりを多く持ち、自分の成長や変化の糧にできる受容

D.失敗したときの姿勢/思考
・一時的な失敗は成功に向けた過程であり失敗を恐れず、立ち止まらず、糧にして前に進めることができる姿

E.モチベーション/意味づけする力
・自ら解決したい取り組みたい課題を明確にし、自らの言葉で話すことができ、前向きに取り組みたいと感じさせる姿勢
・主体性・好奇

F.いざというときの自身の突破力
・解決が困難な状況に陥ったときでも、あきらめずに様々な方法を模索し、壁を突破できるリーダーシップを発揮する姿勢
・責任感

【出典】独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」

DX推進人材には非常に多くのスキルが要求されるとのことですが、6つに分けられた能力がすべてひとりに備わっている必要はありません。そんなスーパーでスペシャルな人材はほとんどいません。だからといって、それで推進できないのかというわけではありません。

DX推進チームを見直そう

ではそのスーパーでスペシャルな人材がいなくても推進していくにはどうすればいいのかについてご説明します。

ここまででご説明した内容を実行されているのであれば推進できているはずです。できていないとすれば「外向きな問題」例えば高額なコストが必要になるので進められないなどの理由だと思われます。

なので推進できていない場合DX推進チームを見直そうというのは、メンバーがどういった役割を担っていくのかについて考えることになります。見直しといっても人材を変えようということではなく、やるべきことを理解して再度取り組んでいこうということです。

推進チームリーダーがもつ役割
1.改革、変革するんだという考えを持つ
2.全社的に取り組めるよう経営層にも社員にも巻き込む
3.大きな壁にぶつかっても活動を続けて乗り越えようとする
3.毎週など継続して活動できるようにスケジュールを管理する
4.役割をメンバーに割り振る

メンバーに必要な役割
1.IT技術の理解があり前向きに学習する
2.学習した内容を社内研修を実施するなど共有する
3.リーダーに対しても自分の考えを伝え、リーダーを支えながら活動する

現時点ではないリーダーとメンバーの考え方、取り組み方かもしれませんが、うまくいかないときにはそれぞれの役割を再確認してチャレンジしつづけることが重要です。

DX人材は足りている?DX人材の育成と採用について

これまでのご説明の通りDX人材が豊富にいるわけではないので基本的にはDX人材は不足していることになります。

ではどうするのか。社員を育成する、もしくは外部よりスキルがある社員を登用することになります。

育成するということは勉強をしていくことになります。そのための時間を作ってあげる必要もあります。育成なので時間もかかりますが社内メンバーが継続して勉強をしていくことが重要です。

身に着けた学習内容を他の社員説明していくことで社員の育成をサポートしながら自らもより育成されるところまでできるとよいです。具体的にはオンライン講座やEラーニング、講習会に参加するなどになります。

他にもハンズオン形式でのセミナーは実際に操作しながら演習問題を解いて学んでいくので、学びたいツールの理解を得やすいです。

学んだ上で社内の実務を学習用に細分化して取り組んで実戦力へとつないでいけば、自社のことを理解しているDX人材を確保でき、推進から拡大へと進んでいくことができます。

DX人材の採用については、推進チームを考える中で現在社内に不足している能力が何かを明確にしましょう。

その上で必要な人材が見つかり自社に採用できるのかというと、現在はDX人材を採用したい企業も多いため簡単には採用できないことも理解しておきましょう。

他力本願も必要!できることからやりましょう、できないことは聞きましょう

ここまでやるべきこと、必要なことを詰め込んできました。さらには育成とか大変だと思っているかもしれませんが安心してください。

すべてが揃って推進していくわけではありません。人材も能力も揃っていれば推進できているはずです。推進させるために必要なもので足りないものがあれば外部に助けを求める方法もあります。

我々もDXを推進するにあたってツールの選定から導入、学習から設計、制作、実行まで外部の協力を得て達成することができました。ですので、できないことは外部に協力を求めればよいです。

ただし、気を付けなければならないことがあります。すべてを外部任せでは絶対に成功することはできません。DXの目的や社内の課題の洗い出し、改善するための設計をした上でアドバイスを求めるなど自力でできることはしっかりとチームで取り組むことが必要です。

自力でやるべきことがやれていないと、定期的なサポートを受けても時間も費用も無駄に使うことになります。できないことは他力でもできることは自力でやる。社内を巻き込んだうえで外部を巻き込んでDXを推進していきましょう。

DXに終わりはない。継続して活動していくために

DXを推進したい、推進することが必要などDXの推進に前向きに考えている企業が多いはずです。ここまでの説明をおさらいします。

①目的の明確化、改善対象の発見
・社内の業務でDXを利用して便利にしたいことを見つけよう
・小さなことから取り組もう
②活動の社内共有
・全社で情報・進捗を共有しDXを推進しよう
・定期的な勉強会を継続しよう
・”内向き問題”があればまず内向き問題をクリアしよう
③実現するために必要な課題の把握
・理想のDX人材の能力を理解しよう
・チームで役割分担することで必要な能力を発揮しよう
④学習と実践を繰り返して課題を解決する
・足りない能力は社員に学習、教育することで身につけよう
・採用もひとつの方法だが人材不足により難易度が高いです
・外部の協力を得ることは有用だが自力の活動量と推進の進捗は比例します

4つのカテゴリーにまとめました。
①目的の明確化、改善対象の発見
②活動の社内共有
③実現するために必要な課題の把握
④学習と実践を繰り返して課題を解決する

推進のプロセスはこの4つを進めることになります。定期的な活動を繰り返すことで4つのプロセスを回し続けて推進の範囲と量を積み上げていきます。止めてしまうとIT機器やシステムの進化に取り残されて、動かなくなることもあります。

毎週1回など定期的な活動を続けて、毎月1回の外部の協力を受けるなど、活動が止まりにくい仕組みを作って活動量が少なくならないように気を付けてください。

当社のDX推進の取り組みについては、ご要望に応じてご説明をさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。

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長苗印刷株式会社

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