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総務DXで削減したい無駄な業務ランキングTOP10!会社には言えないけど実はみんなが削減したい無駄業務、第1位は?

この業務って必要?仕事における無駄とは何か

日々の業務の中で、この業務って本当に必要?って思いながらそのまま流している仕事ってありますよね。

例えば、部署間で重複しているような伝票入力や処理、タスクの振り分けなど、現代のDXで考えれば無駄な仕事、無駄な時間、利益や成果を生まない業務がとても多く存在しています。

デジタル化が全てではありませんし、導入して終わりではありません。

いい意味でアナログと共存し無駄を省く手段を取った先に、「DXの本当の意味=Transformation with digital、つまり、何を実現したいのかを構想し、それをデジタルツールで実現する」ことです。

分解して解釈すれば、業務効率化によって組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、コストを下げて生産性を上げ、競争優位性を確立して利益をだし、社会全体にリーチすることとなりますので、この本来の意味につなげて行きたいものです。

VUCA時代と言われ変化ありきの現代において、組織として何を目指しどうあるべきなのか。

自社を変え、自身も変える。仕事における無駄とは何か、そこにどんな問題があって、どんな解決方法があるのかなど、具体的な事例を紹介しながら解説します。

無駄な業務ランキングTOP10

早速ですが、気になるランキングの発表です。皆さんの予想通りでしょうか。

1位  朝礼
2位  ハンコでの承認作業
3位  残業
4位  会議やミーティング
5位  資料作成
6位  業務報告書や日報
7位  出社
8位  経費精算
9位  電話対応
10位 勤怠登録

ランキングの理由

やっぱりですね。1位は「朝礼」。
そもそも製造業でタスク分担の意図があった朝礼も、現代では色々な情報伝達手段があるために疑問符が付くということでしょうか。

朝礼でのスポーツや天気など時事ネタが一番不要で、そんな話を聞くために集まっているのではない、という理由が多いようです。

何かの訓示ならまだしも、朝一から忙しいのに業務時間を割いて偉い人の話を聞く意義が見出せない、聞いている人もいない、立っているだけ、時間が長いと具合が悪くなるといった、痛烈な批判もあります。

話す方は結構考えて話しているつもりだと思いますが、残念ながら全員に正しく伝わるかどうかは別のスキルのお話ですね。

最近おなじみ、2位は「ハンコでの承認作業」
何をするにも印刷した書類に各部門の担当者及び上司の印鑑が必要ですが、印鑑での承認は時間がかかるため、例えば稟議書だと承認されるまでに何名もの上司の印鑑による承認が必要となり、早くても数日かかってしまう。

またその中で誰かが外出や出張で不在の場合、その分承認が遅れ迅速な対応ができないからといった理由が多いようです。

また、業務フローの中でも承認が得られないからと業務が止まってしまったり、契約書などの重要な書類など最悪の場合、失注の恐れもあります。

昨今の外出自粛の影響もあって浮き彫りになったのが、承認をもらうために出社する人、その判を押すために出社する人もいて、なんだか本末転倒な感じが無駄だと感じる理由でしょうか。

なかなか「脱ハンコ」にならない理由は何処にあるのでしょうか。

意外にも3位は「無駄な残業」
現在はいろんな制約もあり残業は減ってきたようですが、ちょっと昔は残業代を稼ぐために意味もなく残っていたり、上司や先輩が残っていると自分の仕事が終わっていても帰りにくい雰囲気もあります。

また、本当は優秀な可能性があるにもかかわらず、残業しない=仕事量が少ないと思われて、仕事を増やされそうで帰りにくいということも。

こうした残業文化が常態化してしまうと、業務の効率化や簡素化への意識も低く、無駄なことでもしょうがないと考えてそのままにしてしまいがちです。

いずれにしても、普段は我慢していて、決して大きな声では言えないけど、それに係る時間やコストが無駄に感じるということでしょうか。

無駄な業務の改善ポイント

業務における無駄とは何かというと、利益や成果に結びついていない作業のことを言います。無駄な作業を疑いもなく続けていると、時間や費用を浪費するだけではなく、仕事に対する意欲さえ奪いかねない危険な状態になります。

今までの慣習から抜け出せず、非効率的に業務が回っていたり、自動化できそうな業務なのに手作業していたり、必要性の感じられない業務や、長年やってきてその作業が無駄なことに気付いていない恐れもあります。

また、業務効率化の意識を持っていない、代替手段を知らいないという意識の不足、自分が矢面に立つ羽目になるので気が付いても見て見ぬふりをしていたりと、現状維持バイアスが強い日本社会では変化することを避けている面もあります。

これらは、特に問題がないので波風を立てたくないと思っている、問題があっても何とかなるだろう、誰かがやるだろうと考えているからではないでしょうか。捉え方によっては必要な仕事もありますが、無駄だと感じる場合はより良くなるように、自ら改善提案することも1つの手段だと思います。

一方で、意識のある方々は無駄のない業務をするために、日々スケジュールを組んでから仕事をする、こまめな休憩を摂る、必要な時はあらかじめ残業時間を決める、進捗を定期的に共有し遅れ気味な所はメンバー内でフォロー、効率化を図るためのミーティングが定期的にある等、色々と工夫されているようです。

これらを改善するには情報共有の仕組みをしっかり作ったうえで、AIや業務ツールの導入したり、資料・書類の作成には使用目的をきちんと伝えて、必要なことを時間内に終えられるタスクに落とし込むことが必要です。

実際に業務を改善するのは従業員ですから、従業員自らが業務をより良くしたいという自発的な想いを持てるよう意識づけしていくことが業務改善の成否の鍵を握ります。

そのパワーに対して、得られるメリットはそれほど大きくない場合もあるかもしれませんが、日々の無駄の積み重ねは大きな無駄を生み出しますので、どこかで思い切って変えていく必要があるでしょう。

もしあなたが経営者や、それに準ずる立場にあるのであれば、従業員の意見を聞いた上で、無駄な業務を思い切ってやめるか、意味があるものへと変えていきましょう。

そもそも、無駄な業務と感じるのは何らかのロスがあるからで、その原因こそが効率が悪く、不便や不満と感じてしまう理由です。ロスの原因は、以下の「業務の7大ロス」に分類されます。

[1] 情報ロス
[2] 作業ロス
[3] 停滞ロス
[4] 物流ロス
[5] 能力ロス
[6] 時間ロス
[7] 品質ロス

ロスの種類がいくつか重なったり、ロス作業の母数が大きいほど、業務の効率が下がります。業務の7大ロスをさらに分解すると下記の様なことが挙げられます。改善したい業務がどんなロスに起因しているか、チェックしたうえで改善策を練りましょう。

  • 情報ロス     
    誰かからの指示待ちのロス 

  • 情報不十分ロス     
    情報が十分に伝わっていないため、確認作業が必要に

  • 未標準化ロス     
    同作業であるが人によってやり方が異なり、管理が複雑に

  • 作業ロス     
    完成したところで不足に気が付く作業不足ロス 

  • ムダな作業ロス     
    作業しなくてもよい仕事をしている

  • 重複・過剰作業ロス     
    同じ作業を他部署でも行っている

  • 転記作業ロス     
    同じ情報を別の紙に書き写している、フォームが異なる

  • 手作業ロス     
    自動化できる単純作業を手作業で行っている

  • チェック作業ロス   
    何回も同じ人・上司がチェックしている

  • ファイリングロス   
    ファイリングが整備されていないため情報を探す時間

  • 停滞ロス     
    指定された時期が守れない納期遅れロス

  • 中断ロス     
    仕事が途中で中断され、場合によっては時間と費用がかかる

  • リードタイムロス   
    リードタイムが長すぎ効率低下

  • 物流ロス     
    情報や書類を運搬・伝達配布する運搬ロス

  • レイアウトロス    
    レイアウトが悪いため、移動が長い

  • 能力ロス     
    標準時間以上に時間がかかってしまうスキルロス

  • 多能工化ロス     
    その人でないと仕事にならない属人化された作業

  • 時間ロス     
    手が空いているのに、他の人を手伝えないリカバリーロス

  • 決定ロス     
    意思決定が遅れる、話がズレる、

  • 会議調整ロス     
    会議の開始~終了時間を守れない

  • 品質ロス     
    意思疎通できていないコミュニケーションロス

  • ミスロス     
    判断ミスや作業ミスが起きたまま次工程に流れる

  • 精度ロス     
    作業の正確さに欠け不揃いなどが生じる

  • 修正手直しロス    
    修正したり作り直しが発生する

  • 延期ロス     
    「まだいい」と仕事を先延ばしにする

現状の業務と照らし合わせて、どこにどんなロスが潜んでいるか洗い出しましょう。無駄だと思っていなかった業務を無くしたり、改善できることに気がつくはずです。

ただし、仕事を効率化した経験が少ない人ほど、効果的な改善方法が出てきず、とりあえず改善しようとはじめると失敗してしまいますので、まずは業務手順や判断基準を明確化することから始めた方が無難です。

あなたが改善したい業務が、どんなロスに起因しているかを見極めた上で、7大ロスに当てはめて改善の道筋を見つけてください。

「業務の7大ロス」の改善策について

[1]情報ロスの対策方法 =マルチウェアなど情報共有
・社内掲示板やチャットツールを導入し、情報伝達を効率化する。
・指示待ちを禁止にして、プロジェクト単位でタスクやToDoなど共有する。
・業務マニュアルや規約を整備し、誰かに確認しなくてはならない状況を無くす。

[2]作業ロスの対策方法 =RPAなど自動化
・ルーティン作業は可能な限り、自動化する。その際は専門家に頼ることも必要。
・電子化するなど紙ベースの情報管理をやめ、いつでもどこでも確認できるようにする。
・タスク管理ツールを導入し、作業の重複を防ぎ、進捗を管理する。

[3]停滞ロスの対策方法 =ワークフローとグループウェア
・案件の仕様や設計を前もって明確にして、メンバー全員で共有する。
・進行はアジャイル開発で進め、ポイントごとに軌道修正を入れていく。
・行き当たりばったりにせず、段取り能力の向上を図り、細部の詰めを把握できるようにする。

[4]物流ロスの対策方法 =情報共有、レイアウト
・チームで集まっての作業や会議をする日を決め、コミュニケーション強化する。
・打合せや会議のための移動は無くして、オンライン会議化する。
・物理的に調整できる距離は無くす検討をする。

[5]能力ロスの対策方法 =スキルの属人化の防止
・まだスキルの低いメンバーにメンターをつけ指導、教育でノウハウを高める。
・生産性が下がらない様に注意しながら、ペアプログラミングを行う。
・自己啓発の風土をつくり書籍代やセミナー代を支給して、リスキリングさせる。

[6]時間ロスの対策方法 =共同編集、会議の調整
・ミーティングの最後にアクションプランを決め、役割も明確にする。
・トップダウンでの意思決定も行い、会議時間の短縮も。
・採用時のWEB面接。

[7]品質ロスの対策方法 =グループウェアのコミュニケーション機能や管理機能
・ミスやエラーを洗い出しやすい環境を整える。
・メモやコメントをしっかり残し、段取りを細かく整える。
・書式の統一やbot化で効率化を図り、コア業務や新規事業へ時間を振り分ける。

代表的な改善方法をご紹介しました。これらを先程のランキングにはめて改善を図ると以下のようになります。

朝礼
重要な内容はアーカイブ動画などにして、各自のスキマ時間に閲覧
ハンコでの承認作業
紙ベースの情報管理をやめる。ワークフロー機能で時間と場所を選ばない
残業
無駄な社内書類の廃止や統合、自動化
会議やミーティング     
事前の資料共有と議事録の共同編集で時短、オンライン会議も併用
資料作成          
必要のない書類はつくらない。共同編集や、アウトソーシングも視野に
業務報告書や日報      
グループウェアでタスク・プロジェクト管理、ポイントだけの表記
出社            
リモートワーク可能な人材・組織からスモールスタートで開始
経費精算          
便利なクラウドサービスを活用、場合によってはアウトソーシングも
電話対応          
bot化、チャットツールに変更
勤怠登録          
クラウドサービスにして、スマホから

という風に改善できそうです。以上、かんたんに対策方法を挙げましたが、全てを変えることには時間がかかります。まずは皆さんが感じているロスに気づき、少しづつ改善していくことを考えましょう。

また周りを巻き込み、協力し合いながら一人ひとりが快適に働ける環境づくりも大切です。

チームで楽しみながら、これらのロスの機会をいかに失くすかを話し合うのもいいかもしれません。

まとめ

社会の変化に合わせて働き方も多様化する今、ビジネスのあり方やコミュニケーションの方法も大きく変化しています。

近年では、無料や安価なITツールを活用することで簡単に取り組むことができるようになりました。

現状の業務内容の中で無駄なものを把握した上で、どの作業をどのように省力化・効率化するかを検討してから進めていきますが、「改善ありき」でアイデアや事例を実践することに偏重し過ぎるのは危険です。

例えば会社や組織内のITリテラシーには格差があるため、年齢や職種に関係なく使いやすいツールを選定することなどにも注意を払う必要があります。場合によっては、対立が生じることもあるでしょう。

事前に組織全体であるべき姿や一定のゴールを共有しておき、組織としてのビジョンや方針に沿ったものにしておくことです。そのためには風通しの良い職場環境づくりも業務効率化には重要な要素だといえるでしょう。

業務効率化は、多くの企業で様々な実践がされてきましたが、その全てに効果があるわけではありません。

DXに重要なのは組織にマッチするアイデアを見極めたうえで積極的に取り入れ、PDCAサイクルを実施すること、そして絶えず変化していくことを忘れないことが成功の鍵となります。

慌てず焦らず、確実に自動化や効率化を図れるものから進めてきちんと組織に浸透させていくことが、実は早道だったりします。

現状の業務に大鉈を振るうというよりは、住みやすい部屋をつくっていくイメージの方が馴染みやすい、ということでしょう。

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