見出し画像

30漬物・9(商談の進め方と要点)

《最初の卸売先》
自製造所の製造量に応じた、販売先を選ぶ必要が有る。コンビニエンスストアの店舗数は1万店を超える企業が殆どとなっているが、その業種への卸売りをするとなると、各店が1個の発注をしたとしても、毎日、1万個以上という製造量が必要となる。大規模で自動化機械に頼らないと製造はできないであろう。先ずは、毎日、自身で配送できる近隣で10店舗以内を展開をしている量販店へ、納入できるようなって、先ずは経験を積んでみるのが良いと思う。作業的には、各店の配送は毎度同じ周回を行って開店時間までに納品するようにする。追加のオーダーに即対応し納品できる店舗である事も大切かもしれない。一日の平均販売量を100個(月間3000個)を目標に、卸売りをしてみたらどうであろうか?

《店舗の納品搬入口観察と売り場担当・店長へ質問する》
上記記述した目標で、最初の卸売先との取引で何らかの面白みと美味しさを感じて、卸売販売量を増やす決心が付いたなら、次の卸売先を求める活動を開始すると良い。次の段階では、府・県内を中心に30店舗程を展開する量販店企業に商談をしてみる事。この規模になると、配送や仕入れ処理の一元化を図る為に総合食品商社との太いパイプを要している場合が多く、昔からの取引を継続して直接納品を行っている製造者は少なくなってくる。
私は、近隣JAチェーン店舗に的を絞り、京都府丹後地方のJA店舗2店舗と京都市内の2店舗、福井県若狭地方のJA店舗4店舗へ週3日の深夜~早朝にかけて自配送を行い、と、それら納品店舗で定期的な訪問宣伝販売。そして、京都府下のJA主催の共同購入事業への納品を加えて卸売をスタートした。
では、その後の要となる総合食品商社はどう予測するのか?
私の場合は、福井県下でのJA関連での販売実績と対応が某大手量販店バイヤーの目止まり、その担当バイヤーから直接連絡を受けて、商談が始まって、納品に至るまでは極めてスムーズだった。
納品搬入口を観察すれば、キャリーカーゴやコンテナにその社名を見る事ができる。しかし、その商談をどのように行うかが分からないと思う。そこで、量販店企業から商談を開始してみる。「ここだ!」と思う店舗を訪問して、真摯に納品したい意向=サンプル持参で「御社チェーンで、自製品を取り扱って欲しい!」を店長や売り場担当に伝えて、本部担当バイヤーと商談機会を持つ為の連絡先を質問する。必ず、返答が有り担当バイヤーとの連絡手段を教えてくれるはずだ。この時点の対応で、その量販店企業の資質が分る。嫌に思う対応をされたなら、そこまでの低質な従業員資質の企業で有ると判断をして良い。そんな量販店企業なら止めた方が良い。たいがいの売り場担当者や店長は、製造者を応援してくれていると、私は感じる事が多かった。

《総合食品商社の存在》
納品搬入口を観察すれば、キャリーカーゴや折りたたまれた配送コンテナにその社名を見る事ができる。しかし、その商談をどのように行うかが分からないと思う。そこで、量販店企業から商談を始めてみる。「ここだ!」と思う店舗を訪問して、真摯に納品したい意向=サンプル持参で「御社チェーンで、自製品を取り扱って欲しい!」を店長や売り場担当に伝えて、本部担当バイヤーと商談機会を持つ為の連絡先を質問する。必ず、返答が有り担当バイヤーとの連絡手段を教えてくれるはずだ。この時点の対応で、その量販店企業の資質が分かる。嫌に思う対応をされたなら、低質な従業員資質の企業で有ると判断をして良い。そんな量販店企業なら止めた方が良い。総じて売り場担当者や店長の対応は、製造者を応援してくれると、私は感じる事が多かった。
さて、ターゲットとした量販店の本部バイヤーとの商談となって、「それじゃ~、取り扱ってみよう!」とメデタク商売が始まろうとしても、増えた納品先に対して受注と配送の問題が生じる。それは、担当バイヤーに悩みとして打ち明けて、総合食品商社との取引を斡旋してもらえば簡単に解決する。私の場合は、某大手量販取引開始の最初期に紹介されたのが、雪印アクセス(現・日本アクセス)であった。
その取引開始から5年もせずに、年中無休、毎日の出荷で、受注~翌日午前に店舗到着できる、中四国・九州・関東圏・北陸の量販店チェーン各社の物流センター納品で取引先が急増した。パートさん3人と私でせっせと製造していた。又、商権拡大期にその展示会で知り合った高知県の某量販店からは、他の総合食品商社への紹介であった。即ち、日本アクセスの展示会に他の商社バイヤーが量販店バイヤーと同行で新しい商材を探しに、業界の暗黙了解であろうか?スパイ来場しているのである。

《輸送会社の利用》
納品する各量販店企業の指定する物流センターまでは製造者はその輸送手段を確立しなければならない。そこに、総合食品商社の物流機能を利用するのも一つの手段ではあるが、その総合食品商社の指定する物流センターまでの納品手段は必ず生じてくる。
ここで、私自身が総合食品会社と取引が無い時期の、福井県下全域JA店舗への物流構築した方策を例として記述をする。このJA店舗への物流は福井市内の物流センターへ午前4時までに各店分商品を仕分けして納品をしなければならない条件が有った。
自配送で物流センターまで届ける事もできる距離であるが、毎日の配送と経費、何よりも体力消費は相当な負担になるのは明白であった。何より、往復400km弱の走行距離と時間と経費が無駄。よって、冷蔵輸送会社を探す事にしたが、京都から福井市内へその時間帯に到達できる冷蔵輸送会社が当初は見つからなかった。しかし、懇意にしている近所の個人営業食料品店で、福井市近隣の永平寺町で作られている玉子豆腐を発見して、この仕入れ先を質問すると京都卸売市場内の塩干仲卸が仕入れ先との事であった。で、その商品を運ぶ冷蔵輸送会社を探せば福井市内までの冷蔵輸送会社は見つかるはずと、卸売市場で荷受作業員に聞いてみた「その商品は、毎日、21時頃に来るよ。」と。結果=その冷蔵輸送ドライバーから聞いた福井市内への帰着時間が適当であるので、連絡先を聞いて問い合わせてみた。京都卸売市場と京都府宇治市の某量販店向け商品を取り扱う卸売会社へ玉子豆腐と茶わん蒸し等の福井市近隣製造者の日配チルド食品を運び、帰りは京都府八幡市から発酵乳飲料製品を積み帰る冷蔵輸送会社を見つける事ができた。京都卸売市場で積み込めるなら何ら問題はないと、冷蔵輸送会社の返答なので、即、輸送契約を結んだ。したがって、何ら問題は無く順調な状態が続くのであるが、重大な問題が起きた。北陸自動車道の雪による道路事情で到着遅延の続発。ひどい時は雪でその場でドライバーは2日間遭難に近い車内缶詰状態(笑)。解決策は、通行止めが予測できる時は、自ら通行止め区間を避けて抜け道を自配送した事も数度ある。これは、絶対に欠品させないという信念から行った。この姿勢は、売り場や相手先への信頼性を上げた結果となったようである。雪で延着欠品が予測できる時は必ず発注量が増えた。他社製品は店舗到着しないが、到着する製品であるという信用を得ていたようだ。

毎度の習慣になった場所。大雪の中、深夜出発~早朝納品を終えての
帰り道で気を抜く唯一の休憩場所。国道8号の道の駅で約2時間の仮眠を取る。
越前海岸から日本海を眺めて吹き上がる潮風で眠気を覚ましてから再出発する。
滋賀・福井の県境辺りを通過すると福井県側は雪は残るが厳しくは無い。
福井・石川の県境国道8号で私は、私/1600台の立ち往生2日間を経験した事がある(笑)。

総じて著名どころの冷蔵輸送会社は、物流センター向けて製造者が荷主のチャーター便が中心の運行を行っていて、小口積み合わせに混ぜるような便の運賃は高価である。自製品の末端価格に影響を及ぼす輸送コストは軽滅を考えるのが当然であり、冷蔵輸送会社の選択は重要に考えるべきである。又、それじゃ、自己所有の配送車を持てばよいという考え方は、古い考え方で、人員コストと車両購入と維持コスト、何より、交通事故と配送している者の身の案じる思い等の精神的な負担が減る。実際に、便利に使える冷蔵輸送会社を見つけて利用する方が、格段に安い。

《商談の仕方》
商談使用する実際に販売しようとするサンプル商材に、商品仕様書を作成し必携する事。重要な商品仕様書は、商談する商材の表示内容そのままを記述するのは当然であるが、商品の外観寸法(長さ・幅・厚さ)と全体重量を記載する事が好ましい。又、表示義務のある表示内容以外の製造工程の詳細やその行程日数を明記すれば完璧である。バイヤーは採用しようとする商品の完成までの工程を精査をしたがる。他店で取り扱いが有り、競合が生まれる場合はその他店での販売状況の詳細や、原料産地も季節・時期毎に違うのであればその産地を詳細記述すれば良いであろう。最終的に価格の取り決めになるのであるが、総合食品会社への見積もり提出なのか、量販店への見積もり提出なのかは明確に決めておく。そうしないと、商流に危害が及ぶし、下手をすれば、利益が著しく減じる可能性の原因になる。
余計な気遣いの文言を用意する必要は無くて良いが、決定に必要な用件だけの内容の会話に終始して、本部商談で担当バイヤーに面談できた時点で、ほぼ50%は納品が確定する要件が揃ったともいえる。その時、簡潔明瞭に短時間で商談を済ませる事が大切である。
もし、その時に納品に至らない商談結果であったとしても、窓口は確保されたのであるから、新製品の供給開始する時や提案したい企画がある時等、その都度に継続的に商談に臨めばよい。その時も、てきぱきと進める事のできるプレゼンテーション内容と方法で、簡潔明瞭に短時間で商談を済ませる事が大切である。

《商談成功の要点》
当たり前の事を記述するが、要らないモノは商談テーブルには載らない。
欲しいモノを提案するのが、商談成功の有効な手段である。又、同様他社の製品には無い特殊性や趣向を持ち、差別化ができる商品は支持が得やすい。
私の製造する商品は差別化商品として、売り手側の認知と取り扱い方で採用されたのが理由であると解釈している。実際にそのように売り場では演出をされて製造ストーリーをアナウンスして売り場を作っていた。
その様な、提案ができれば商談がうまくいく時が多い。
よって、事前に商談しようとする量販店の品揃えと顧客層をその何店かを実際に観察の為に行くべきである。

京都の漬物製造者の製品を集めた常設の漬物販売ゴンドラ。
看板とPOPは量販店が準備したが、その他の演出小道具は私が準備した。
しかし、私以外の製造者が脱落して、その売り場の全てを私が結果的に独占するようになった。
脱落の原因=土日祝に物流が止めてしまう製造者で、売り場で信頼を得る事が無かった。

今回は少し長い記述になった。
自身の経験と行動から記述する内容となったが、
何らかの要点を捕まえてくれるとありがたいと思う。

今回はここまで。
ではまた。次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?