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26漬物・5(日持ちする漬物)

《所謂、古漬(ふるづけ)として、区分される漬物》
上気画像は、福岡県瀬高で製造されている高菜漬である。この高菜漬は、何の調味を行わずウコン着色で仕上げた自然発酵させた高菜漬で、私が好む何とも言えない酸味と香りを保有し、しっかりと原料風味を残している漬物の一つである。このメーカーとの出会いは、私が勤務していた漬物卸売会社で取り扱いしていたし、又、代表者も、その漬物卸売会社で修業をしていた先輩である。
この高菜漬のように、1年に1回の収穫期に一気に漬け込みを行い、その後、蔵住みの発酵菌が住みついた場所で、時候の変化に任せた漬物製造を
実践している漬物メーカーは日本中を探しても稀であろう。この種の他の漬物【福新漬・しば漬(調味済)・袋入りの沢庵類・俗に言うキューちゃん漬等】の殆どは、製品を袋詰めした後に数分高温の湯の中に入れて、製品内の生菌を減菌させて出荷される。その工程を行う事で、日持ち向上の効果を生み出す。高温度の中で減菌の為とはいえど、湯に浸かる事は、弱冠の風味を損なうのが通常で、その風味向上のを目指す技術は各社に於いて苦労されている工程でも有ると言える。
量販店の売り場でこれらの漬物のカテゴリーは、【古漬(ふるづけ)】と呼ばれているのであるが、私の観念では、「古漬は、相当な期間を長時間樽の中に居た漬物の事なのではないのか?」と思いつつ、商談時の便宜上、量販店の売り場や日配品担当バイヤーの解釈に従っている。

《梅漬》

樽の底から、丁寧に一粒づつ並べて一段毎に焼酎を霧吹き、塩を振り込んでいく作業を繰り返す。
酒分に弱く、全く嗜まない私は、うつむいて、樽を覗く作業では、
その気化する空気を呼吸してしまうと途中で目が回る。
農薬散布用の防毒マスクを使用してみた事があるが、効果無く、余りにも滑稽な姿だった(笑)。

私は梅漬を作る時には、干すという工程を行わない。理由=大量に作ると干し場所を必要とし、何より手間がかかり邪魔くさいから(笑)。
だから梅干しでは無く、梅の赤紫蘇漬が商品名として適当である。
十分に美味しいという評価が有るので、依頼が有れば作るようにしていた。
決め技は、原料の良否で品質が決まると言ってよい。漬け込み依頼が有った場合は、和歌山県JAみなべいなみへ出向き、南高梅3Lを梅保管倉庫内で適度に熟してもらった梅を購入して使用する。全ての工程において雑菌の侵入を避ける事と水分を排除する事を漬け込む最初期の段階から意識をしているのと、塩分高い目の原料重量比25%の塩を使用し、漬け込み時に焼酎40度を十分に霧吹きしてから丁寧に一粒づつ並べて漬ける。とにかく、仕上がるまでは、一粒一粒を丁寧に扱う。良い梅酢が必ずできるので、発色良い赤紫蘇品種と産地赤紫蘇の事前処理にもこだわり、出荷まで、その梅酢の中に赤紫蘇と同居していて、一切の調味は行わないノックアウトパンチを食らった味にしている。

赤紫蘇は梅酢に反応して発色し梅酢を激しく着色する。
その梅酢の色が梅に移るのであるが、同時に清涼感な香りと風味を梅に与える。
赤紫蘇を色鮮やかに発色させて梅を鮮やかに仕上げるのには、
赤紫蘇の品種選定と産地での状態・下処理の灰汁出しの良否が影響する。

《ラッキョウ》
漬け込みの経験が無い。市販品が美味しく、素晴らしいモノを見つける事が多い。健康志向で血液サラサラ効果が有るようで、1日一粒。グリコキャラメルな漬物である。
私自身の好みで申し訳ないのであるが、鳥取県福部産のラッキョウが好みである。なかなか、私の近い場所では、生産現地以外では見る事は無い。鳥取砂丘のお土産屋さんや産直売店では、季節によっては梨・蟹と同列に並ぶと名産品だと思っている。
もう一か所のラッキョウ産地である福井県三里浜産の花ラッキョウ(大きさ等級も独特の呼び方が有り、ハナより小さいミジンは超小粒で超高級。ラッキョウは年を越す毎に根の先に付けるラッキョウは小型になっていく。)は超高級品で、繊細な根切り作業も手作業で行われているとも聞いた。その形態と食味は上品で食味抜群を知るが、つい食べ過ぎてしまった時、瓶内の残量を見た時に後悔する自身の姿が怖くて、小さな緑ラベルの古くから変わらない瓶を見ても購買意欲が事前に失せて、我慢で桃屋製に手が伸びる。

上気画像は、画像保存している鳥取県福部産のラッキョウだったと思う画像である。記憶があいまいで有るが、私が撮影したものなら良いいが、何かの事情で取得した別の方の撮影なら
著作権の侵害に当たる。テーブルクロスの柄に記憶が無い。
先のお詫び申し上げる。

《生姜》
添え物としての漬物であるのは周知のとおりで、牛丼外食チェーンや回転すしチェーンでは無料提供の扱いを受けている不遇な漬物と言えるかもしれない。それだけ無意識に食している。そして、長年にわたり原料は一次加工を海外で行った輸入品が多勢を占めて調味加工を日本で行っているようだ。昔、大阪の泉州地域でいくつかの大量生産を行う生姜漬製造メーカーが有ったが、今も存続しているのかは不知である。中京地域では名古屋市を中心として生姜漬生産メーカーが有ったと記憶する。
商品名=岩下の新しょうが(←おなじみであろう。栃木のメーカーだったかな?)等は大量生産でありながら均一品質の維持の努力が感じられて素晴らしい商品だと思う。
製造法に付いては私は知識を持たないので記述はここまでしかできない。
寿司店のガリやハジカミは自店で調味するのも有るようであるが、その実際と方法は不知である。

今回はここまで。
私は日持ちする漬物に関しての知識は、自身が製造した経験のある漬物(しば漬・刻みすぐき・割り干し大根たまり醤油漬等)以外の知識の厚みは薄い。なぜなら、高菜漬の他の【古漬】は進んでは食さないから製造に関してや、原料に付いてに興味を持たない。
なにより、専門メーカーが素晴らしい商品を製造していて、売場で消費者の支持も厚く、又、自身、それを食すので十分に満足できるからだ。

今回はここまで。
ではまた。次回。


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