【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#15
第二幕 靴を落とした少女
11:エルとの交渉
私とエルはヒソヒソと話しながら、屋根裏部屋に戻ったのだった。
屋根裏部屋についたころ、私は、少し疑問に思っていたことを話した。
「エル。あのさ、エルとその、、会った青年レイのことだけどさ、レイはせっかく4度目のこの物語に来たのに、なんで毎日0時に来なくなってしまったの??私が来てからもう3週間くらい経っているけれど、1度もレイが0時になって、姿を現したことがないからさ、、、、
私が来る前は、、、、それまでは、毎日来ていたんでしょ??」
「そうね。りうが来る前は、レイと4度目のこの物語で毎日会っていたわ。それと、レイが姿を現さなくなった理由だけど、それは私にも分からないのよね。レイがいなくなったと思ったら、今度はりう、あなたが来たから。
でも、、、、、、、、、、、そうね、そのことについて1つ思い出したことがあるわ。
最後にレイにあったとき、確かレイは、小声で
お前も来たんだな
って言ってたのよね。
そのあとにも、何か言ってたみたいなんだけど、声が小さすぎてよく聞き取れなかったのよね。その言葉の意図は、私にもよく分からないわ。」
「でも、お前も来たんだなってことは、私がこの世界に来たことを知っていたってことになるよね?!」
「それは、そうね。まぁ。その真相は、彼に会ってみないことには分からないわね。」
そのとき、私は目を勢いよくあけ、あることをひらめいた。
「そうか。。。そうだよ。エル!!!」
「何よ。りう。」
「そのレイっていう青年に会ってみればいいんだよ!!てか、会えばこの世界のことも少しはわかるかもしれないし、この、、、、、ボタンのことだってわかるかもしれない。」
本当にあの少年がレイなのか、、、、、
そのことを彼に聞くことが少しだけ怖いのか、私は、語尾の音が、だんだんと小さくなっていってしまった。
「そうね。彼に聞いてみることができればいいけれど、どうするつもりなのかしら??彼はもうここには来ないだろうし、、、、、、」
「だからね。私は、彼に会うために彼を追うの。この物語にいないなら、違う物語を探せばいい。どう??名案じゃない??エル。」
「そうね。でも、彼を追うためにほかの物語に行くって、方法はあるのかしら??」
「それは、、、、、、。」
「ないのね。。。。。。。。。そうね。。。
それなら、こうしましょう。0時の鐘が鳴ったときから、1時間はあなたのことを手伝ってあげるわ。つまり、私が私としていられる時間の半分をあなたに充てる。でも、その代わり、エラが1日あなたと何をしていたのか、エラの様子を教えて頂戴。」
「そんなことでいいの??」
「いいのよ。」
「エル。ありがとう。」
「交渉成立ね。」
そんなこんなで、エルとの交渉が成立した。
私とエルはベットに横になった。
私は、今日は1つ目標ができたことで今日はよく眠れる気がした。
そして、体がゆっくりとベットに沈み込んでいく感覚の中で私は暗闇に落ちていった。
朝、目を覚ますと、エラはもう支度の準備をしていた。
エラは、楽しそうに鼻歌を歌いながら、服を着替えている。
私は、エラに
「なんでそんなに楽しそうなの??」
と聞いた。
するとエラは、
「なんかね、不思議んだけれどね、何かいい夢でも見ていたような気がするのよね。だから、気分がいいのよ。」
といった。
「そうなんだ。それはよかったね。」
「うん!!」
とエラは戸惑った笑顔を私に向けた。自分の感情に困惑しているのか、それでも、やっぱり嬉しいような笑顔だった。
エラとエル。。。。。
いつか、エラの中にあるエルの部分が1人のエラとなったときには、どうなっているのだろうか。
エルもまた、あの苦しみから解放されてほしいと思う気持ちも強く余韻のように心に刻まれた。
そんなことを考えて支度をしていたとき、エラが
「ねえ。りう。ちょっと思ったのだけれど、いいかしら。」
といった。
「うん。どうしたの?エラ。」
「りう。りうがちょっと薄くなっているような気がするの。。。。。」
「??それは、どういうこと?エラ?」
「うーん。気のせいだったらいいの。なんか、存在というか、体が透けているというか。。。。。。」
「ん???そうかな??」
そうエラに言われて、私は体を見まわしたり、触ってみたりした。
「まぁ。気のせいだと思う。ごめんなさい。なんか気になってしまったから。」
「いいよ。気にしないで。エラ。」
「今日も一日が始まる。」
「そうだね。行こうか。エラ」
そういって私たちは、朝食の用意や、朝の準備を始めたのだった。
*これはフィクションです。
登場人物とは一切関係ありません。
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