クエ養殖

 2022年も後二日になってしまって、街を見るとコロナが始まってまってからで一番賑やかになったなと思う。それと同時に賑やかな大晦日というのを忘れていたことにも気づいた。



対馬の漁師さんのところを訪ねた時に丁度11月はクエ漁の終わりかけの時期であったので、クエ漁に行って運よくクエを釣ることができた。
クエの養殖も日本では微々たるものではあるが行われているということは知っていたので、いずれは見学に行きたいなと考えていた。12月末に三重県の南伊勢の鯛養殖場にインターンに行くとなんとクエの養殖をおこなっているということで、思っていたよりも早く見学することができた。
鯛養殖についてまだ文章を出してはいないが、先日の対馬のことについて書いたので今回も引き続いて対馬が産地として知られるクエについて書いていきたいと思う。
くえが飼育し始めてから出荷されるまでの大きさになるまで4年ほどの期間がかかる。
稚魚自体は一匹当たり120円ほどだ。
一回で約1000匹ほどを育て始めるわけだが、まあそれが全部順調にすくすくと育ち、出荷されるわけではない。
4年という歳月をかけて生き残るのは約100匹ほどだという。
わずか、10%しか生き残らないというのは驚愕ではあるが、150円のものが5万円になり出荷されるのでうまい話だ。
しかし、なぜそこまで生存率が低いのだろうか。

飼育期間が鯛の2年に比べて倍というのもあるが、一番の要因はクエの餌

くえという魚は海底に基本的にじっとしており、近づいてきた魚を一発で仕留めるというのが習性としてある。しかし、養殖をする場合はそうは行かない。餌は基本yてきには魚粉や大豆粕、植物性油を混ぜた餌が使われるのだが、生きている魚を餌としているくえはこの餌を好まない。

クエの生簀のところに行って餌を撒くわけだが、まあ食えは餌を食べない、仕方なく食べたと思ったら吐き出したりするので困ったものだ。
しかし、食べないと死んでしまうので海面上に上がってきて餌を仕方なく食べるのだが、食いつきも鯛の稚魚に比べて圧倒的に悪い、タイの稚魚だと餌を投げ入れた時にお湯が沸くようにバシャバシャと餌を取り合うのだが、クエの生簀ではすんとしている。餌も投げ入れると沈んでいってしまう。
しかし、少しずつ餌を毎日あげていくと次第にそれに順応してき、人が来たら海面近くに上がってくるようになる。かと言っても懐き餌を進んで食べるものが生き残っていき、そうでない順応しないクエが死んでいくわけだ。また、時間が経過していくと、餌を食べてすくすくと育っていくクエとそうでないクエで個体差が出てくる。
すると、大きい方のクエが小さい方のクエを共食いしする。
そうやって少しずつクエの生簀の中ではサバイバルが繰り広げられて、生き残った100匹が出荷されるのだ。
4年目にもなると人が来た瞬間海面に上がってきてこちらの様子を伺っている。
そして餌をやると勢いよく食いつく。
たまに定置網でとった生きた魚を生簀の中に放り混むと、その時の食いつき方が凄まじい。鯨が水面に飛び出して魔と潜る時のように水面に戻っていく。受動的に餌を与えられるくえはもちろんのごと、萱の中で育てた温厚な子供が外の社会に出た瞬間適応できずにまた戻ってしまうのによう似ている。

しかし、生簀のなかで育てられたクエを海の世界に急に放つと、おそらくすぐに死んでしまうだろう。
要は、クエの養殖はクエを洗脳していくわけだ。


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