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祝受賞!「君たちはどう生きるか」

オヤジブログ怪気炎 vol.83

日本のアニメ界で40年以上に渡って、巨大な存在感を示してきて、先週アカデミー長編アニメーション賞を受賞した宮崎駿監督。
今回の作品では何を伝えたかったのだろう?
映画を観た直後の感想がメモに記録してあったので、アップします。

戦争の最中、入院していた母親を亡くしてしまう主人公。燃える街の映像は高畑監督の「火垂るの墓」を思い出す。宮崎監督は、おばあちゃんキャラがお好きなようで、今回もすごい声優陣が屋敷で働くおばあちゃんたちの声をアテている。ストーリー終盤の重要人物大叔父の衣装には、王蟲の目のようなデザインが施されている。
さて、そんな中で出演時間が長いのは、菅田将暉が好演しているアオサギ。千と千尋のカオナシのような存在で、真人を異世界に誘なう。ボク的には異世界の海で真人を助けてくれる人が、建物の入り口付近で別れたキリコおばあちゃんと同一人物であることが、最初わからなかった。今回はトトロとかポニョのように可愛らしいキャラはあまり登場しない。敢えて言えばワラワラだろうか? 
最後の方で大叔父が積み木を積んでいて、どうやらそれが未来そのものの危なっかしいバランスなのだが、案の定破壊されてしまう。予定された世界は、天空の城ラピュタ同様に宮崎アニメでは破壊される運命にあるのだ。現世界=上への出口が年代別になっていたのも面白い。つまり異世界=死の世界は、時空を超えて混然としているということなのだろう。それが大袈裟に言えば宮崎駿さんの死生観なのか?
ジョン・コナリー作「失われたものたちの本」が当作品の下敷きのようで「不思議の国のアリス」以来、異世界に主人公が迷い込んでしまうパターンは、イギリス文学の得意とするところなのだろう。宮崎監督は、その筋書きをスタジオジブリ版に置き換えた。すると夜な夜な夢にあらわれそうな情景が広がり連続する映画となったわけだ。当初この映画のパンフレットが売り出されなかったのも、解説によってわかった気になってしまうことを排除し、観客の潜在意識のどこまで刺激できたのかを見極めたかったのかもしれない。

アカデミー賞受賞、おめでとうございます。

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