#11 授業は楽しいか①
わかるから楽しい
45×6。小学校では(高学年の場合)、270分という長さを「授業」で過ごさなくてはいけません。4時間半。これがつまらないとしたら、地獄でしかない。
ただ、教える側から言い訳させてもらうと、全ての授業をエンターテイメントにするのは、現時点では不可能です。時間が少なすぎる。ひとたび「生徒指導」に関わる案件が起きれば、放課後の時間は保護者対応などであっという間に終わります。そもそも、4時間半の授業を組むのに、放課後に担保されている時間はその半分もありません。結果、どこかに歪みがいくのです。
しかし、そこで「終わりたくない」というのが、全国の教師の矜持だと思います。だから、持ち帰って仕事をする。時間外まで残る。全ては、子どもの笑顔のためです。圧倒的多数の先生が、日々こうして過ごしています。私も、限られた実践者としての経験を記すことで、その一助になればと思います。
さて、じゅぎょうクエストも10話を超えましたので、そろそろ締めに入ろうかと思います。最後は楽しさの話。「楽しい」はもちろん主観です。子どもの人数だけ、楽しさのバリエーションはあると思います。教師はその最大公約数を取るべく、さまざまな角度から考えるのですが、今日は王道。わからない授業より、わかる授業が楽しいのです。核心部分は多種多様な授業論の本に譲りますが、私は次のようなセルフチェックをしています。
この1時間でやることが、子どもにとって明確
ちょっと難しいけど、何とかなるかもと思える課題
自力が無理でも、協力すればできる
子どもにとって適度な自由度がある
先生が気にかけてくれる or そっとしておいてくれる
1つ目から3つ目までは、概ねどんな教科にも当てはまるかと思います。45分の授業を形作るパーツとして、ゴールへのアプローチが何本もある方が「選べる楽しさ」があります。少しずつ小さな階段を登るように進む「スモールステップ」の手法や、協働学習、自力解決など、自分にあった学習方法を選べるのは大切です。4点目は図工や体育、家庭科の裁縫などで意識します。実際に体を動かす時に、子どもが困らない程度に自由を与えてあげる。「何やってもいいよ」は時に「何やっていいかわからない」を生み出しますし、教師側の目の届かないところにいってしまうリスクもあります。5点目はその子によります。「気にかける」と「そっとしておく」がイコールの場合もあるでしょうし、別々の場合もあるでしょう。とにかく、教室にいるすべての子を置き去りにしない。これは日々気をつけたいところです。私は、声をかけることももちろんですが、目線を合わせることや話を振るといった所作で全員を見るよう努力しています。
ここまでが、「わかる」楽しさ。しかし、世の中には「わからない」楽しさもあります。この話題は次回。
2023.10.08 あーる
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