赤ひげドクターつれづれ草 ② ~ 在宅医療の光と影 ~
1970年代ころまでは、開業医は夜間や休日にかかりつけの患者さん宅に求めがあれば往診に応じていました。私も子供のころ熱を出すと、母親が慌てて「先生来てくだい」と電話して、しばらくするとおひとりで大きな黒カバンと聴診器をもって往診に来てくださいました。カバンの中には注射のアンプルや薬がいっぱい詰まっていて、そこからおもむろに注射のアンプルを取り出してスマートにカットして注射器に薬液を吸ってお尻にブスッと筋肉注射されるというパターンでした。子供の目からすると宝箱のような黒カバン