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支援級 見学シリーズ①見学の前に知っておきたい基礎知識

障害児の親にとって、学びの場にどこを選ぶかは大きな悩みですよね。通常級+通級・支援級・支援学校という選択肢から、就学相談の結果をふまえて選ぶことになります。選ぶ際に見学は非常に重要です。しかし、見学はせいぜい1~2時間で、そう何度も行けるものでもありません。ですから、限られたチャンス有意義なものにしたいですよね。

そこで今回からシリーズものとして、以下の4つの記事を投稿します。

①基礎知識
②学校調査におススメのサイト紹介
③前日までに整理したい、見るべきポイント・質問リスト
④いよいよ見学!私の支援級見学体験記

この記事が、同じ悩みを持つ誰かのお役に立てたら嬉しいです。


簡単な自己紹介・見学の経緯

障害児二人を育てるママ、かーこです。うちの長男は現在年少さん。自閉症と重度知的障害があり、発語ゼロ・言語理解も乏しいです。私とともに療育園に通っています。

このたび、特別支援学級に見学に行けることになりました。まさに我が家が校区の小学校です。

長男はまだ年少なので、行くとしても2年先ですし、発語もない長男は、このままいけば支援学校が適しているのかな?とは思いつつ、せっかくいただいた機会ですので有意義な時間にするべく、下準備をしました。

この知識・ノウハウは皆様にとっても役に立つのでは?と思い、ここにまとめることにします。

!!!注意!!!
丁寧に調べたつもりですが、意図せず誤りがあるかもしれません。あくまで素人がネットで調べて理解した内容であることをご了承ください。出典は明確にしますので、重要な判断の根拠にする前には、必ずご自身でご確認ください。


基礎知識 ひとクラスの人数はどれくらい?

小学校の場合、ひとクラスの人数上限はこれくらいとなります。

通常級  1年生なら35人、2~6年生なら40人
支援級  8人
支援学校 6人(重複障害※なら3人)

https://www.mext.go.jp/content/20200221-mext_syoto02-000005120_5.pdf

↑こちらのp3(スライド番号5)


定員の上限を知っていると、見学のときの感じ方も変わると思います。

例えば、A学校もB学校も、支援級の児童が8人だったとして、
A学校では、8人全員で1クラス、
B学校では、3人+3人+2人の3クラスだったとします。

A学校は、みんな一緒に学ぼうという方針、もしくは単純に担任になれる先生の数が足りないか、と考えられます。

B学校は、1~2クラスにすることはルール上は可能なのに、あえて3つのクラスに分けています。細かく分けた方が子どもの学びのためと考えているのか、単純に先生が教えやすいからか、でしょう。

ひとクラスの人数から、なんとなくその学校の方針(みんな一緒にタイプか、こまかく分けようタイプか)が分かる気がします。

どちらが正解ということもないのですが、親が「わが子に合う」と思える方だと嬉しいですね。

ただし、難しいところは、2つあります。

①先生の数が足りなくてやむなくひとクラスにしているだけの場合もある。例えば、みんな一緒にタイプが良いと思ったのに、先生が増え次第、細かく分けようタイプに変わってしまう。

②わが子が入学するタイミング、在籍する6年間ででどれくらい支援級の子が増減するかが分からない。例えば、8人でひとクラスのところに1人児童が増えると4人と5人の2クラスに変わる、ということですね。

それでも、学校の方針というか風潮というものはあると思うので、みんな一緒にタイプか、こまかく分けようタイプかは注目してよいと思います。


補足;重複障害について

支援学校の定員のところに、重複障害という言葉が出てきました。初めて聞く言葉だったので調べました。3パターンあるようです。

まずはその名の通り"障害が複数ある人"です。
視覚, 聴覚,知的,肢体,病弱の中から、2つ以上の障害ある

しかし、他のパターンもあります。
②発達的側面からみて「知的発達が著しく、ほとんど言語をもたず、自他の意思の交換及び環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度の者」

③行動的側面からみて、「破壊的行動、多動傾向、異常な習慣、自傷行為、自閉症その他の問題行動が著しく、常時介護を必要とする程度の者」をいう。

http://www.edu.pref.kagoshima.jp/curriculum/tokusikyou/rink%20siryou/syougairikai/rikaijudo.pdf


つまり、障害が1つであっても、その子の困難が大きければ重複障害ということにして、より手厚く支援するためにひとクラスの人数を減らす、ということでしょう。

我が家の長男は自閉症と重度知的障害ですが、視覚, 聴覚,知的,肢体,病弱の中からと言われると、知的しか当てはまらないので障害は1つとなりそうです。しかし、そういう子でも、②や③のパターンにより"重複障害"としてもらえることがあるようです。


基礎知識 先生は専用の免許を持ってるの?

結論から言うと、「免許はあるけど必須じゃない」です。

「特別支援学校教諭免許」というものが、ふつうの教諭免許とは別であります。保有率はざっくりと

支援学校  83%
支援学級  31%

支援学級の先生は31%なので、もし持ってたらうれしいなくらいの感覚ですね。

https://www.mext.go.jp/content/20210412-mxt_tokubetu01-000012615_10.pdf

↑こちらのp18です。

ただし、当たり前のことですが、免許持ってれば良い先生、持ってなければ悪い先生というわけではありません。

まぁ、先生のことをよく知らない間は、免許持ってる人だと安心感はありますよね。


基礎知識 支援員…って誰?具体的に何をしてくれるの?

支援学級について調べていると、「支援員」ということばが当然のように出てきますが、これも謎ですよね。

この記事は障害児についての話なので、「特別支援教育支援員」について調べたことを書きます。

ちなみにですが、学校には他にも「支援員」と名の付く人たちがいて、「教員業務支援員」や「情報通信技術(ICT)支援員」がいます。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000235785.pdf

↑文科省資料のp29です。


さて、本題は特別支援教育支援員って誰か、具体的な仕事内容、ですよね。

授業はできない

まず、先生ではないので教員免許は必須ではありませんし、授業もできません。ですから、例えば、何ら かの事情で学級担任等が教室から離れてしまった場合、授業を補助していた特別支援教育支援員が、その授業を引き継ぎ、代替して行うことはできません。 教員免許を所持していても、教諭又は講師として配置されているわけではありませんから、やはり授業を行うことはできません。

tps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.pdf

↑こちらのp18(スライド番号19)のQ2です。


でも授業以外のサポートなら、かなりできる


具体的な支援の例はこちらです。私の感想では、もう授業以外なら何でもできるじゃんって感じです。特に、これいいなと思ったところは太字にしました。私の関心が高い項目だけを抜き出したので、ここに書いてないことでもしてくれることがたくさんあります。詳しくは出典をご覧ください。

①日常生活
 ・食事の見守り、介助、食べこぼしたときの始末
 ・衣服の着脱の見守り、介助、できるだけ自分の力で行うよう励ます
 ・排泄の見守り・手伝い・失敗した時に児童の気持ちを考慮しながら後始末をする
 ・教室の移動の見守り・手伝い

②学習活動
 ・教室を飛び出す児童の安全確保

周囲の児童への理解促進
 ・友達としてできる支援や適切な接し方を、担任と協力しながら周囲の児童生徒に伝える。
 ・適切な接し方をしている児童を見かけたら、その場の状況に応じて賞賛する。
 ・理解しにくい行動を取ってしまう理由などを、周囲の児童生徒が理解しやすいように伝える

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.pdf

↑こちらのp3(スライド番号4)です。

私は、③が特にうれしいなと思いました。障害をもつわが子を理解してもらうために、健常の同級生たちと話すことってとても重要だと思うからです。でも母親はずっと一緒にはいられないから、日中そばにいる支援員さんがこのような役割を果たしてくれると、とても心強いです。

とはいえ、これも当たり前ですが、良くも悪くも「人による」。積極的に同級生たちに説明する支援員さんもいれば、あえて、あれこれ説明しない支援員さんもいそうですね。

ただ、少なくとも支援員の仕事には③の「理解促進」も含まれている、ということは覚えておこうと思います。

支援員さんの方針と親の希望が異なるときは、たくさんコミュニケーションをとって、わが子にとってどんな支援がいいかをすり合わせていけるといいですね。


基礎知識 支援級の児童が年々増えている

支援学級の児童は、年々右肩上がりに増えています。

https://www.mext.go.jp/content/20210412-mxt_tokubetu01-000012615_10.pdf

↑こちらのp4です。

ですから、見学に行ったときの児童数よりも、わが子が入学するときには増えている、さらにいえば、在籍する6年間の間も増えていくと考えたほうがよさそうです。


まとめ;先生は、免許や経験よりもコミュニケーションが取れる人かどうかが重要。支援級の空気としては、親との距離間の近さが重要。


さて、支援級について私が調べた内容を共有しました。少しでも喜んでもらえるとうれしいです。

ただ、これを言ってしまうと元も子もないのですが、やっぱり一番大事なのは「人」だと思います。免許がなくても、支援級の担任は初めてでも、なんなら教師になりたての先生であっても、熱意と行動力と"意見を聞く耳"があれば、それが何よりだと思います。

障害は本当に一人一人違います。先生は学校教育のプロ、私たち親はわが子をずっと見てきた"わが子の日常のプロ"です。

プロ同士が密にコミュニケーションをとって、この子にとってよい支援とは何かを模索していきたいですよね。なので、親の意見を聞く耳を持ってくれる人かどうか、親とコミュニケーションをとってくれる人かどうかがなにより重要だと私は思います。

ただし、先生は異動があります。見学の時に良いと思った先生が、わが子の入学時にもいるとは限りませんし、6年間の間に一度は担任が変わるでしょう。

ですから私は、その支援級の親と先生の間の距離感が大事だと思います。
例えば、
・先生と親との面談を定期的にしてくれるか?
・親が求めれば面談の時間を快く割いてくれるか?
・お迎えのときに親と先生が話す風潮はあるか?たとえ短時間でも話そうとしてくれるか?
・子供が自分で学校で何をしたか話せない場合、連絡帳を書いてくれるか?などです。

これも、「先生によるよね」と言ってしまえばそれまでなのですが、それでもその支援級の伝統・風潮・空気感はあると思います。私は、親と先生との距離が近いところ、親とよく話そうとする風潮がある支援級だったらいいなと思いました。

相当な長さになってしまいました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

少しでも、なるほどなと共感したり、ここは私の考えとは違うなと思ったり、みなさまにとって自分の考え方を捉えるきっかけになれたら嬉しいです。

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