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東大合格を目指す親に向けた話

日本で最高峰の教育環境が整っている大学は東京大学です。

東大生1人あたりの年間にかかる国費負担は約500万と言われています。

今後日本を支えるであろう東大生に対して、お金を掛けて最高の環境を整えていく取り組みは、大いに賛成です。

事実、官僚や政治家、裁判官、検察など国の重要な意思決定をする機関には、東大生が多く在籍していて、優秀であることに疑う余地もありません。

そんな東京大学は外国人から見ると、異様な光景に映るらしい。

それはあまりにも少ない女性の数について。

矢口祐人さん著者「なぜ東大は男だらけなの」を読んでみて、備忘録として書いていきます。

東京大学の男女比は8:2

東京大学の男女比で女性が2割の壁を超えたことはないし、教員の男女比もまた同じです。

在学する女性だけでなく、数多ある自画像や銅像に女性はひとりもいない。
唯一あるのは、コンドル像という台座部分にひれ伏す妖怪を模した部分に髪の長い女性がいる。

引用元「なぜ東大は男だらけなのか」

この状況には色々な人達が警鐘を鳴らしていて、男女格差がもたらしてきた現状を考えさせられます。

戦後あたりから振り返ると元々、日本では女性が大学に進学することすら想定されていなかった。

当時の価値観として女性は能力が低いことや、やる気がないから、と有識者が言い続けてきました。
(昔ね昔)

そんな男しか入れないよう環境で、でき上がった女子大(現在の御茶ノ水女子)は、花嫁修行的な要素が強い大学だったそう。

当時世界でも同様に男社会という価値観がありながら、70年代以降でアメリカの有名大学は、限られた価値観を懸念して、多様な人種や文化、女性の受け入れも増やしてきました。

現在も、東大の女性比は2割の壁を超えることはないが、アメリカの有名大学の男女比はどこも、5割近くを推移しています。

世界の大学ランキングで、日本の東大がどんどん下がり29位に位置している理由に、男女比は関係ない??

大学ランキングの理由は色々な要素が絡み合ってのことなので、一概になんとも言えないと思います。

東大合格者に一定の女性人数を設ける制度(クオータ制)の導入を検討する声もあるが、反対意見が多数を占めるため実行には至っていません。

反対意見の大半は、学力の低下を招くことになるためという理由。

改めて世界大学ランキングの上位10校はどこも男女比5割程度。

男性8割以上という環境が、世界から見たら異常であるということに気がついていない。

東大進学までの構造的な問題

そもそも東大に進学する学生達はどういった環境なのか?

東大に入学する学生の8割は、学歴ランキング上位20校の有名な私立の中高一貫校から、この狭き門を勝ち取ります。

ただ、そのほとんどは男子校です。
全国で約5000校ある中で、半分近くはこの20校から東大へ進学を決めることとなります。

引用元「なぜ東大は男だらけなのか」

これから分かることは、東大進学のための専門学校のような教育環境の多くは、男に多くチャンスがあるということ。

また、そういった環境で勉強が出来る家庭の多くは父親が高収入、その上で専業主婦として並走して子供に寄り添うことのできる家庭環境が多くなります。
(あくまで傾向の話し)

所得格差によって能力を持ち合わせながら、諦めざる得ない環境の人達もいるはず。

生まれ持った才能や能力以外にも、中流家庭以上かつ都市部にアクセスできる私立中学生の男子であるという条件。

改めて自分の努力だけではどうにもならない世界があることを理解する必要があります。

前回の記事では、その辺りの勘違いが引き起こした東大生の事件を書いていますので、ぜひ。

そういった環境であることを、平成31年度の東大入学式で、上野千鶴子さんの祝辞は見事に的を捉えていました。

がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。

平成31年度東京大学学部入学式 祝辞より

他にも東大女子が入ることのできないサークルの男女差別の現状など。

しかしながらこの祝辞は一部から、異論を呼ぶこととなりました。

東大のいびつな男女比は、決して公平な環境が生んだ自然の結果でないことは確かなはずです。

多様な才能を発揮することのできる環境のため、まずはジェンダーによる公平性を訴えていく必要がありそうです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
何かのきっかけになれば幸いです。

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