二段ベッドを覗く顔

その日はとんでもない頭痛に襲われていましてね
学校も早退して寝てたんです

私が寝てるのは二段ベッドの上で、その二段ベッドにはカーテンがついていまして、その日は締め切っていました

頭が痛すぎて寝れないーとうなされていたとき、ふとカーテンの方に目をやったんです

カーテンの端、そこに人の顔があったんです
それを見て私は、

(うわ…まただよ…)
と呆れ果てていました
というのも、父はこういういたずらをよくしていたんです
父は驚かすのが好きで、たまに二段ベッドを揺らしてみたり、カーテンを突然めくってみたり、二段ベッドに登ってきてみたり、カーテンの端からただずーと覗いてみたり…

普段からめちゃくちゃ嫌だったんですが、今日ばかりはドがつくほど嫌でした
頭が痛くて苦しんでる私を見て、何が面白いのか
いちいち反応するのも嫌だったので、その顔を睨みつけることにしたんです

私は目がとても悪いので相手の目がどこにあるのかよく分からずにいましたがとりあえず、じーっと顔を睨みつけていました

どのくらい睨みつけていたでしょうか
かなりの間睨みつけていました
その間にふと、
(あれ…?これ本当にお父さんか…?)
と、疑問に思ったんです
私は目が悪いのでねよく見えないんですよ
だから目を凝らしてよく見ようかなと思ったところで、スっと顔が引っ込んだんです

ああ、やっと引っ込みやがったな
これで寝れる…
と思ったんですが、どうも虫の居所が悪い
今日ばかりはなんか一言文句を言ってやろうと、起き上がってカーテンをバッと開けて言ってやったんです
「おい!私が頭痛くて苦しんでるのみて何が面白いんだ!」

父は、ビールの入ったグラスを片手にキョトンと私を見上げていました
母も、キョトンと見上げていました

「何が?」
「ずっと覗いてたでしょ!!!」
「俺ずっとここにいるけど」
「はぁ??!」
「俺、動いてないよな?」
「そうだよお父さんここから動いてないよ?」

ああ、二人してしらをきるのか
呆れた私は痛む頭を抱え、寝ることにしました
カーテン越しに気配を感じながら

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