長山春也

長山春也

最近の記事

読者電車旅

 ある日、いつものようにTwitterを見ていたとき、18きっぷで読書旅をするのがいいと書いてありました。それを見た瞬間にイメージが浮かび、確かに読書が捗りそうだと思いました。なので僕もやってみることにしたのです。  近いうちに友達が東京に来る予定があると知らせてきました。そこで僕は18きっぷで来て欲しい、残りの分は買い取るからと頼みました。すると友達は快諾してくれて、無事18きっぷを入手することができました。  朝5時、空がぼんやりと明るくなってきたころに家を出ました。少し

    • 2つのニムロッド

       めちゃくちゃな記事です。言語化するのは難しくて、でもなんとか知って欲しくて書きました。散文とも呼べませんが目を通していただいていただけたら幸いです。  ニムロッドという本を読みました。するとある日友人から、その小説の元になった曲があると教えられてすぐに聞きました。People in the boxというバンドの曲でした。  初めて聴いたとき、文字とモノクロのイメージだけだった世界に色彩が宿ったような気がして鳥肌が立ちました。  小説のニムロッドのラスト、2人がいなくなった

      • ともだち

         美術室のドアが開く音が聞こえた。  遠くで響く足音が、だんだんと大きくなって、そして準備室のドアが開いた。 「ごめんノノちゃん。HRが長引いちゃって……」  寧ちゃんが準備室に入ってきた。 「ううん、大丈夫だよ。こっちこそ急に呼び出しちゃってごめんね」  私は準備室の窓に背を向けて座っていて、そして向かいに一歩空けて椅子が置いてある。とにかく座って座って!と寧ちゃんに、その椅子に座るよう命じた。  寧ちゃんが椅子の横にバッグをおろして座る。ふわりと絵具の匂いがした。同じ絵具

        • こたつぬくぬく(18禁)

          「ただいまー」  玄関までしか届かないような声量で家族に帰りを告げる。約束の時間より少し遅れていて気まずいからだ。  するとコンマ1秒で家の奥からドタドタと小さな女の子が走ってきた。なぜ聞こえたし。 「おせぇぞ父! ご馳走が冷めちまうだろ!」  小さな体のくせに態度がデカい。見下ろしてるのに見下ろされているような感覚になる。俺に似てしまったなと思う。 「ごめんな。飛行機が遅延しーー」 「いいからいいから! はやくはやくっ!」  依瑠が俺の手をぐいぐい引く。 「まてまて靴を脱が

        読者電車旅

          詩20

          苦痛 苦痛の先にある幸福 一度見たから知っている だったら今を耐えれるか それは到底無理なこと 風に中の黒が刺さって 痛いのなんのとのたうちまわる 泣いて喚いてしばらくすると ちょっとスッキリした気分 外に本でも読みに行こう ペラペラ本捲っていると 友達からの酒の誘い 楽しく美味しくたくさん飲んだ 毒に侵されフラフラで 全てを忘れて気分がいい 後の苦痛を考えられるか それは到底無理なこと

          サクラノ刻SS「ししょー」

           ピッ、ピッと音を鳴らしながら、改札を人々が通り抜けていく。  私は師匠と駅で待ち合わせていた。  次々にやってくる人の顔を見て、師匠じゃないことを確認して、肩を落とす。そんなことをかれこれ1時間やっていた。  あと何回この音が鳴れば師匠と会えるのか、そう考えるほど、師匠が遠くなっていくような気がした。  実は師匠が何時の電車に乗ってくるか知っている。今来るはずがないとも分かっていた。  もしかしたら師匠も待ちきれなくて、早く来るかもしれない。そんな淡い期待を抱いてしまうほど

          サクラノ刻SS「ししょー」

          サクラノ詩SS「向日葵、燃ゆ。」

          「風が気持ちいいな、直哉!」  眼前にある白いヘルメットの向こうから声が聞こえた。 「……そうだけど、もう少しスピードを落としてくれないか?」  シートに付いているベルトが緩くなっていて、電車の吊り革みたいに少し力まないと体が倒れそうになる。1時間くらいそうしてるので腕が疲れてきた。 「直哉、もしかして怖いのか!?あの直哉が怖がってるのか!?」 「ちげぇよ!」 「ぎゃあ!?」  圭のヘルメットの頂点を拳で殴った。 「痛くないけど痛いぞ!」 「ベルトが緩いんだよ!人を後ろに乗せ

          サクラノ詩SS「向日葵、燃ゆ。」

          藍のふたなり小説

          「ただいまー」  屋敷の引き戸を開ける。酔いが回っているからか、玄関の照明がやたら眩しく感じる。  ふらつく足を適当に動かして靴を脱ぐとどっかに飛んで行った。  視界が揺らいだまま玄関に足を乗せると、案の定転けてしまった。視界が真っ暗になる。  するとなぜか、頭だけ別の空間にあるかのようにほんのり温かい。後頭部には布の感触がある。 「いてて」  起き上がろうとして床に手を着こうとした。すると手には明らかに床ではない感触があった。柔らかかった。  俺は顔を上げて手に何があるのか

          藍のふたなり小説

          朝日狂想

          午前0時にスマホが鳴る 体を折ってさっさと着替え 少し座ってネットを見て 50分には部屋を出る 今日は暑いね寒いねと 毎日同じ言葉を交わす いつもと同じく体を動かし 紙が来るまで台に座る 今日は遅いなまだかなと 1時20分の時計を見る どうせまたあいつだと 苛立つ同僚が声を上げる いつもよりも急いで紙を配る ランニングしてる気分になる 冬はいいが夏はだるい でも夏の方が終わると気持ちいい 忙(せわ)しい時は忙(せわ)しく過ぎて 少ない金で菓子折りを買う 今までお世話に

          そんなことをは置いておいて。

          そんなことは置いておいて、みなさん聴きました? 空。曲名を知らずにずっと聴いていたのですけど、空、いいですなぁ。神曲だったでしょ?イントロから耳が幸せ? わかるわー。俺初めて聴いた時泣いたもん。いやー本当に。語彙力崩壊するくらいいい曲。みんな聞こう。 https://youtu.be/3gKWUeE6cDo?si=aGBgowbHaIjiK09y

          そんなことをは置いておいて。

          柊ゲイザー

          お前は狂っていると言われた それじゃあ正しいことってなんだ? 多数が正しいと言っていれば正しいのか? お前があいつを傷つけた? じゃあ誰も傷つかないことはなんだ? 多数が大丈夫と言っていれば大丈夫なのか? お前らの大丈夫で俺は傷ついた 狂っているはずなのに傷ついた どれが正しいのか分からなくて 分からないまま生きてきた そしてやっと見つけたんだ 分からないことを形にできるものを だから分からないままでいい 歪ませて、歪ませて、ただそれだけでいい 歪めば歪むほど真っすぐになっ

          柊ゲイザー

          夕日狂乱

          僕にはやるべきことがある。 だが全く焦らない。 何も持ち合わせていないのに、 何かを掴もうともしない。 そういえば今日は雨だった。 紙をビニールに包まなければ。 洗濯物が溜まっているのに、 今日だけでは乾かなそうだ。 友達が皆飲んでるらしい。 楽しそうな友達が写っている。 沈む心をエレベーターが 無理やり、次へと連れて行く。 ああ、誰か助けてくれ。 お前が自分で選んだことだ。 ああ、誰か助けてくれ。 お前が自分で選んだことだ。 真逆のことを、体と心、 僕が交互に叫んで

          詩興が湧かない。

          平らな日々すぎて詩興が湧かない。もうすぐで3月。たぶんその辺になれば心が騒ついて詩が書けると思う。

          詩興が湧かない。

          詩18

          周りのことを書いていちゃ、 派手な詩になりはしない。 ただ紙を配っているだけの、 凡凡平凡な毎日。 でも、それがいいはずだから。 地に足つけてりゃいいはずだから。 ボロボロの手で、真っ黒な手で、 美しい言葉は紡げやしない。 少し高い場所にいる、 彼はきっと嗤っている。 それでも僕は泥臭く、 前のめりに生きるしかない。 僕はそんな詩を歌おうと思う。 バイクの上で歌おうと思う。

          詩17

          空気が乾いて、鋭くなる紙。 手のひらに引かれる赤いライン。 それは毎日、毎日増えて、 いつか真っ赤になってしまう。 そんな不安を抱いている。 でも、それは不思議なもので、 気がついたら消えている。 後ろの方から消えていく。 赤いラインを見つめると、 名状し難い息が漏れる。 それでも今日も走り出す。 痛みと共に走り出す。

          詩16

          あの空を見て何かを感じた ふわふわした何かを感じた 簡単に言葉にできないような 言葉にしてはいけないような そんな感情を抱えていた 誰かが空に名前をつけた ふわふわなものに名前をつけた それはどんどん広がって ふわふわなものは消えていった 僕を置いて消えていった