見出し画像

遅刻なしロッカー。

うちの本社の建物はとても変な形をしている。
たぶん航空写真で見ると舟形に近い形だと思う。
なんでそんなおかしな形になったかというと、元々あったビルを中心に左右横に両翼のように建て増しを繰り返していったからだ。

しかも翼の両先端は既存にあった他社さんの建物をそのまま買い上げ、何も考えずに(そんな事はないと思うけど)繋げたという、とてもミラクルな構造になっている。

たぶん5棟ほどのビルがドッキングしているだろう会社は、使い勝手がいいように中では全て繋がっている。多少段差はあるものの、見事なツギハギっぷりで、目にするところは綺麗にリノベされている。
他社の方にはまったくうかがい知れないのだろうか、特に違和感がないらしく、社内のインテリアが変わる度にご好評を頂いている。

数年前にインフラの関係で(たぶんネット環境)心臓部に大きな工事が入り、その関係上、社員の裏導線があらゆる意味で押しやられた。
そもそも古い上にものが多い、人が多い中に、最新のネット環境を入れたのだから、出るものは出てしまう。

食堂関係は厨房設備を伴うので場所はそのまま、広くなり使いやすくなった利点はあったが、いちばん憂き目を見たのは社員のロッカーである。

元々は各部署ごとになんとなく点在したものを、その時一気にまとめ(少しなんで?とは思う)、翼の末端のビルに押しやった。
中は広くなったものの、あまりのロッカー数で迷子になる者まで出る始末。当時の混乱ぶりはたいへんなものだったらしい。

というのも当時わたしは別の社屋におり、その大移動は噂でしか聞いてないからだ。
広大なロッカーはふたつに別れ、本社関係者と子会社関係者で別れている。
本社側のロッカーがパンパンで、数年を経つうちに子会社側を侵略し、後年異動してきたわたしのような人間は、子会社さんたちと同じロッカーを使わせて頂いている。
中では誰がどの会社かなんてわからないから、いい感じで「あ、どうも、どうも」と和気あいあいとやっている。

問題はロッカーのある建物。聞くところによるとわたしとさほど変わらない年頃のビルらしい。

うわっ!何年経っているの!と計算してみると耐震構造は?いろんな意味で「疑問」や「恐れ」が多い要素満載なのである。
その様子はトイレのリノベーション忘れの随所に見ることができる。時代を感じさせるタイル貼りに、昭和レトロなんて甘い感覚は少しもない。

気のせいか、ロッカーの滞在時間はどの人も恐ろしく早い気がしなくもない。
一応、ちょっとしたお茶スペースはあるのだが、誰もお茶なんてしない。
足早に中心部に移動。
心なしか鬼気迫る感じの出社は、遅刻をさせないための会社の策略なのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?