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渡瀬裕哉著『税金下げろ、規制をなくせ~日本経済の処方箋』

 2020年10月刊、光文社新書。

 日本の国民がいかに、税金を取られ、規制にがんじがらめになっているか?を極めてわかりやすく解説してくれて、その処方箋も伝えてくれる。  すなわち、政治家に、「税金下げろ!」と、「規制をなくせ!」と、プレッシャーをかけることだと。

 実際、かつてアメリカは規制だらけ、重い税金に苦しんでいた。 それをある市民グループがプレッシャーをかけることによって、税金を下げること、規制をなくす国に変わっていった、というのが著者、渡瀬氏の見立て。

 僕らが、「新自由主義的改革」と捉えているものが、見方が違うところがとても面白いし、勉強になる。

 トランプ前大統領も、日本では全く報じられていないが、一つの規制を作るためには二つの規制を廃止しなければならない、という「2対1ルール」というのを作り、これで、無駄な規制をサクサク廃止したことが彼の人気を支えているらしい。  

 日本が本当に無駄な規制、無駄な補助金(税金)でがんじがらめになっているのはその通りで、それをなんとかせねばならない、と切実に思う。 たとえば、YouTubeで「補助金」と検索してみると、「どうやれば、国から補助金をもらえるか」の、解説動画がわんさか引っかかる。こんなにも訳のわからん補助金があるのか!と、驚き、あきれ果ててしまう。

 だから、一度日本をきれいにする、という意味では、渡瀬氏の趣旨には大大賛成なのだ。 しかし、一方で、渡瀬さんが成功例としてあげた新自由主義が支配したアメリカは、結果として、決して理想的な国家にはならなかったことは誰でも知っている。確かに、GDPは上がったのだろうけれど、多くの矛盾を抱えた国になってしまった。そして、トランプ氏は再選されなかった。 さて、無邪気に、いまさらアメリカのやり方を追従することが一体どうなんだろう? まだまだ勉強が必要だ。

 税金を下げる、規制を撤廃する、事について右も左もない、という主張はその通りだけれど、そのために党が一丸となっているれいわ新撰組については何の言及もないところを見ると、気に入らないのだろう。 そういう意味では、渡瀬氏の党派性が出てるんじゃないかなあ・・・。(あくまで推測だけれど・・・)

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